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部下の指導で大切なポイントとは?タイプ別の指導法も

管理職にとって、部下の指導は、自分のチームや部署の成果を最大化するために必須の役割です。ただ、いざ部下の指導をしてみると思うようにいかない場面も多いのではないでしょうか。

 

この記事では、部下の指導にあたって大切なポイントや、部下のタイプ別指導法について解説しています。

部下の指導における管理職の悩み

部下の指導において、管理職が抱える悩みは様々です。

・部下が思うように動いてくれない
・指導の効果が出ない(成果が上がらない)
・指導方法が分からない
・自分の仕事が忙しくて、指導の時間が取れない

管理職になると、自分が“相談される側”に回るので、なかなか部下の指導について他者に相談できないことも悩みの1つでしょう。

部下の指導は中間管理職のストレスの要因にもなりがちで、多くの管理職が悩んでいることです。

中間管理職が抱えるストレスについてはこちらの記事もご覧ください。
中間管理職はストレスを抱えやすい?ストレス要因や対策を解説

部下の指導で大切にすべきポイント

では具体的に、部下を指導する時にはどんなことに気をつければ良いでしょうか?ここでは部下の指導で大切にするポイントをご紹介します。

部下の人となりや状況を理解する

まずは、部下の人となりや今置かれている状況を誰よりも理解しておくことが大切です。もちろん私生活に踏み込めと言っているわけではありません。あくまで仕事において、直属の管理職が部下の一番の理解者でいるよう努めましょう。そのことが部下の信頼に繋がり、また安心して仕事ができる環境にも繋がるのです。

部下の人となりや抱えている仕事の内容・状況を細かく理解することによって、普段のミーティングの質も向上します。「この人は自分の状況を知ってくれている」という安心感から、部下から管理職へのネガティブな報告も行いやすくなるでしょう。

部下の人となりを知るには時間がかかります。特にチームの発足時はしっかりと時間を割いて信頼関係を構築する必要がありますが、その後も定期的にミーティングの場を設けることが大切です。

チームの形成プロセスに応じた部下へのコミュニケーション方法は、ぜひこちらの記事をご覧ください。
成果につながる「チームビルディング」とは?目的や意識すべきポイント

部下に合わせた目標設定を行う

次に、目標設定は部下に合わせて行うことが大切です。

これまで部下の育成に成功した経験がある、または自分が成長できた経験があると、その成功体験を引きずり、同じ方法を他の部下にも適用してしまいがちです。ですが、部下には一人ひとりの個性があり、成長スピードもそれぞれです。他の人に上手く行った指導方法が目の前の部下に通用するとは限りません。

一人ひとりの特性や成長速度・能力を加味して、目の前の部下に合った目標設定を行いましょう。

また、目標を設定したらモニタリングとフィードバックを合わせて行うことが重要です。定期的にミーティングを設け、今設定している目標の進捗を確認し、必要なら調整を行います。目標に対する成果について、きちんとフィードバックを行うことで、部下のやる気を引き上げ、成長を促すことができます。

目標設定のコツについてはこちらの記事もご覧ください。
管理職の目標設定のコツ。組織やメンバーを成長させるための考え方

仕事は適切に任せ、放置はしない

また、部下に任せる仕事は能力に見合った適切なものをお願いし、放置しないようにしましょう。「任せる」と「放置する」は全くの別物です。

今できる範囲の仕事を渡すのか、少し背伸びが必要な仕事を渡すのか、これは能力だけでなく本人の性格も見て見極める必要があります。いずれにせよ仕事を任せた後は、状況を把握するように努め、危ない状況になりそうだったらすぐに手助けに入れるようにしましょう。特に、部下に少し背伸びが必要な仕事を任せた場合は、注意深く目を配る必要があります。

チームメンバーが成熟してきているなら、リーダーの役割を任せてみるのもおすすめです。こちらの記事に詳しく記載していますので、ぜひご覧ください。
チームの一人一人が影響力を発揮するシェアドリーダーシップとは

ソーシャルスタイルを用いたタイプ別の指導法

前述したように、以前、別の部下に成功した指導が今の部下に効果的かどうかは分かりません。そこで、部下のタイプ別に効果的な指導法を紹介します。今回紹介するのは、コミュニケーションに特化した「ソーシャルスタイル」というタイプの分け方です。

ソーシャルスタイルとは、1968年にアメリカの産業心理学者デビッド・メリル氏が提唱したコミュニケーション理論です。ソーシャルスタイルでは「感情表現」と「自己主張」の2軸によって、人を「エクスプレッシブ」「ドライビング」「エミアブル」「アナリティカル」の4つのタイプに分類します。

それぞれの特徴は以下の通りです。

自分のタイプを知り、相手のタイプを理解することで、相手に合わせたコミュニケーションを取ることができるようになります。

4つのタイプについて、詳しく見ていきましょう。

エクスプレッシブ

「エクスプレッシブ」は感情表現が豊かで、意見をしっかりと述べることができるタイプです。特徴としては「声が大きい」「人の目を見て話す」「身振り手振りを交えて話す」「エピソードや人の話を多くする」「自分から発言する」などが挙げられます。

「エクスプレッシブ」タイプの部下とは、コミュニケーションの量を増やすことが大切です。管理職から話しかけることで、積極的に自分のことも話してくれるでしょう。

また、エクスプレッシブタイプは論理的に筋が通ったことよりも、感情や経験を重視します。そのため、部下のキャリアプランや今後どうなりたいか、どんな仕事がやりたいかを聞き、「本人のやりたいこと」と「組織としてやらなければいけないこと」を結びつけてあげることが必要です。

目標が「やりたいこと」と結びつけば、やや背伸びしたいわゆる「ストレッチ目標」を設定しても問題ありません。数字などの定量の目標だけでなく、「この仕事が終わった時にどんな風になっていたいか」など、本人が楽しさを感じられる目標を設定するとやる気が出るかもしれません。

また声をかける時は相手の感情を大切にしながら、聞き役に回りましょう。ただし、エクスプレッシブタイプの人は、楽しいと思う方向へ脱線してしまう傾向もあります。管理職はしっかり仕事のマイルストーンを置いて、定期的に確認する必要があるでしょう。

エミアブル

「エミアブル」は感情を表に出し、且つ人の話を聞く方が好きなタイプです。特徴としては「話すペースがゆっくりな傾向」「曖昧な表現を使う」「カジュアルな雰囲気」「人の話をよく聞く」などが挙げられます。

エミアブルタイプは自分のことをたくさん話すタイプではありません。人となりを知るためには、まず管理職からの自己開示が必要です。自分のことを話しながら、部下が共感するポイントを見極めていくのが良いでしょう。

また、目標設定ではやりたいことを聞くよりも、ある程度こちらで概要を用意すると良いかもしれません。そしてストレッチ目標を渡す時は、常に寄り添う姿勢を大切にしましょう。

エミアブルタイプは「相手への信頼」を重視します。こまめに声かけを行い、常に見てくれている、心配してくれているという姿勢を見せるよう心がければ、安心して仕事をしてくれるでしょう。特に、エミアブルタイプの部下に対しての「放置」は信頼を大きく損なう行為となります。

ドライビング

「ドライビング」は感情を挟まずにしっかりと意見を述べることが出来るタイプです。特徴としては「結論から話す」「表情が顔に出にくい」「データや根拠について話す」「自分から発言する」などが挙げられます。

ドライビングタイプは効率的に仕事をすることを好みます。ドライビングタイプの人となりを知りたい時は、プライベートではなく「仕事上の話」を積極的にすると良いでしょう。どんなスキルを得たいのか、どんな仕事がしたいのか、将来的にどのようなキャリアを歩みたいのか。そういった実用的な話を短時間で円滑に進めることで、信頼を得ることができます。

目標設定をする時には、エクスプレッシブタイプ同様、「本人がやりたいこと」と「組織としてやらなければいけないこと」を結びつけることが大切です。ただし、エクスプレッシブタイプと異なり、ドライビングタイプの人は「本人がやりたいこと」が初めから仕事に結びついている傾向にあります。仕事に必要な内容を自身で選んで話すからです。だからこそ本人の「WANT」と組織の「MUST」には客観的な根拠を提示して、納得感を持たせることが必要です。

また、ドライビングタイプは過度な干渉をあまり好みません。任せた仕事は手を出さなければいけない場面以外は見守り、進捗のやり取りは短時間で必要事項の共有を心がけるのが良いでしょう。

アナリティカル

「アナリティカル」は感情表現は控えめで発言も少ないタイプです。特徴としては「声が小さい」「1人で黙々と仕事をする」「データや数字を好む」「視線があまり合わない」などが考えられます。

アナリティカルタイプは分析思考であり、エミアブルタイプと同様あまり自分の話をしません。人となりを知るには、管理職が色んなボールを投げながら、どのような内容に興味を持つのかを探っていく必要があります。情報やデータを好むので、丁寧な資料を提供することも良い方法です。

目標設定も同様に、目標までの筋道が見える形になることで黙々と進めていくことができます。管理職が数値とデータを用意すれば自身で目標の筋道を立てられることも多いでしょう。情報がないと動けなくなるタイプなので、管理職は必要な情報を適宜提供していくことが大切です。

まとめ:タイプに合わせた指導法で活躍できる部下を育てよう

部下を指導するためには、まず人となりを知り、部下に合わせた指導方法をとる必要があります。

特に、ソーシャルタイプのエミアブルとドライビング、エクスプレッシブとアナリティカルは真逆のタイプです。たとえ自身と部下の属性が真逆になった場合でも、その違いを意識してコミュニケーションを取ることを心がければ大丈夫。タイプに合わせた指導方法でチームの生産性をどんどん上げていきましょう。

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