リソースマネジメントとは?具体的な管理手法や注意点を解説のイメージ画像

管理職ラボ

リソースマネジメントとは?具体的な管理手法や注意点を解説

複数のプロジェクトが並行して進む現代のビジネス環境では、適切なリソースマネジメントが組織全体の生産性を大きく左右します。

 

この記事では、リソースマネジメントの基本的な概念や目的、さらに各資源ごとの具体的な管理手法、導入にあたっての注意点までをわかりやすく解説します。

リソースマネジメントとは?

リソースマネジメントとは、組織の限られた経営資源を効率的に配分・活用するための管理手法です。リソース=人材、時間、予算、モノ、情報などを戦略的に管理することで、無駄を減らし、プロジェクトの成功や成果の最大化を目指します。

リソースとは何を指すのか?

リソースとは、組織が業務やプロジェクトを遂行するために必要なあらゆる資源を意味します。業界や企業、プロジェクト単位でも必要なリソースは異なりますが、主に「ヒト(人材)」「モノ(設備や在庫)」「カネ(予算・資金)」「情報」「時間」が代表的な例として挙げられます。

 

リソースの種類

説明

ヒト(People)

業務に従事する人材とそのスキル・稼働時間

モノ(Things)

使用・消費される物的資源や設備

カネ(Money)

利用可能な予算・資金

情報(Information)

意思決定や作業効率化に寄与する知識資源

時間(Time)

各作業やプロジェクトに必要な時間




これらは相互に影響を与えるため、一つのリソースだけに力を入れても全体の効率は上がりません。

企業が持つ経営資源については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
https://bemyself.pasonacareer.jp/skill/skill-3708/

リソースマネジメントの目的

リソースマネジメントの目的は、限られた経営資源を最大限に活用し、プロジェクトの成功や事業の成長を図ることです。適切にリソースを管理すれば、業務の無駄を省き、コストを抑えつつ、納期や品質を維持できます。

特にプロジェクト管理の現場では、ヒトや時間の最適な配置が成功の鍵となります。経営全体においても、変化する環境に柔軟に対応するうえで、リソースマネジメントは不可欠な視点です。

プロジェクト管理の概要を知りたい方はぜひこちらの記事をご覧ください。
https://bemyself.pasonacareer.jp/skill/skill-3346/

リソースマネジメントのメリット

業務にリソースマネジメントを取り入れることによって得られる主なメリットを紹介します。

業務の可視化と適正配置

リソースマネジメントには、まずリソースの把握が必要です。誰が・何に・どれくらいの時間をかけているのかを明らかにすることで、業務を可視化することができます。

また業務の可視化ができれば、能力や役割に応じた適正な人員配置や、設備などの適切な導入が可能になります。

コスト削減

適切なリソースマネジメントは、無駄な工数や不要な経費などの削減が見込めます。

例えば、業務量に対して人員が過剰であれば、再配分で外注費や残業代の削減ができますし、逆に人員が不足している場合は補填することで納期遅延による損失が防げます。

チームの生産性と満足度向上

適切なリソース配分がされている職場では、仕事の生産性や社員の満足度も向上します。

リソース不足は、働く社員への過剰な負担につながります。負担が減れば、仕事への集中力やモチベーションが維持され、成果も期待できるでしょう。

リソースマネジメントの種類と手法

ここでは「ヒト(人材)」「モノ(設備や在庫)」「カネ(予算・資金)」「情報」「時間」といった代表的なリソースごとに適した管理手法をご紹介します。

人的リソースのマネジメント手法

人的リソースとは、企業や組織が保有する「人材」に関する資源を指します。

社員一人ひとりのスキルや知識、経験、価値観、モチベーション、コミュニケーションなど、人に関わるすべてが人的リソースマネジメントの対象です。単なる労働力ではなく、戦略遂行の中核を担う存在として、経営において「ヒト」のマネジメントは最も重要だとされています。

「ヒト」は人間関係や本人の素養、働く環境によりパフォーマンスが変動する一番不確定なリソースであると同時に、マネジメント次第ではパフォーマンスを大きく引き上げることが出来ます。マネジメント手法としては下記のようなものが挙げられます。

・タレントマネジメント
タレントマネジメントは社員一人ひとりの能力やスキルを可視化し、長期的な視点での育成・配置・評価を行うマネジメント手法です。

・RACIマトリクス
プロジェクトや業務において、「責任者(Responsible)、最終決定者(Accountable)、協力者(Consulted)、報告先(Informed)」などの役割と責任範囲を定義し、明確にすることで、役割の曖昧さによる混乱を防ぎ、チーム内の連携を円滑にする効果があります。

さらに、個人を主体としたピープルマネジメントも、マネジメント手法の一つです。詳しい解説はこちらをご覧ください。
https://bemyself.pasonacareer.jp/skill/skill-2595/

モノのマネジメント手法

モノとは、設備、在庫、資材、商品など、企業活動に必要な「有形のリソース」を指します。製造業に限らず、サービス業やIT業界でもオフィス機器や備品などは業務の基盤を支える重要な資源となります。これらの管理が行き届いていないと、コストの増大や業務停滞の要因にもなります。

モノのマネジメントにおいては、以下のような手法が挙げられます。

・ABC分析
売上やコスト、在庫などの評価軸で商品を分類し、重点的に管理すべき項目を明確にする在庫管理の手法です。管理コストや利益のバランスを最適化できます。

・MRP(資材所要量計画)
生産計画に基づき、必要な資材の種類・数量を適切なタイミングで調達するための管理手法です。無駄な在庫の削減やコスト削減に貢献します。

予算のマネジメント手法

予算は、企業が事業を遂行する上で不可欠な「カネ」に関わるリソースです。限られた資金をどこにどれだけ配分するかは、経営判断やプロジェクトの成果に直結します。予算管理が適切であれば、他のリソースである人材や設備、時間にも良い影響を与え、持続的な運用が可能となります

予算のマネジメントでは、以下のような手法が挙げられます。

・PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)
企業が複数のプロジェクトや事業を行う際に、経営資源の配分を考えるのに役立つフレームワークです。自社の事業を客観的にとらえるため、将来投資すべき事業の判断に役立ちます。

予算管理については下記の記事でも詳しく解説していますので、ご覧ください。
https://bemyself.pasonacareer.jp/skill/skill-3632/

情報のマネジメント手法

情報とは、市場動向、顧客ニーズ、業務データ、ノウハウなど、組織が意思決定や業務遂行に活用する無形のリソースです。近年では「第4の経営資源」として位置づけられています。

情報マネジメントとは、必要な情報を、必要な人に、必要なタイミングで、正しく届けるしくみを整えることです。例えば、以下のような手法が挙げられます。

・ナレッジマネジメント(Knowledge Management)
社内に蓄積された知識や経験を整理・共有・活用する仕組みです。属人化の解消や業務の標準化を進め、組織全体の知的生産性を高めます。

・CRM(Customer Relationship Management)
顧客情報を一元管理し、関係性の強化やマーケティング施策の最適化に役立てる手法です。顧客との接点を可視化することで、営業・販促・サービス対応の精度が向上します。

情報は形がなく、放置すれば分散・消失してしまうため、管理の仕組みと運用の両面から継続的な整備が求められます。

時間のマネジメント手法

「時間」は他のリソースを活かす上で不可欠な要素であり、限りがあるという意味では“制約条件”でもあります。そのため、現代のマネジメントでは独立したリソースとして扱うのが主流です。

「見えないリソース」であるため、適切な管理を怠ると無駄が発生しやすくなります。管理する時は、可視化することが重要です。いくつか手法をご紹介します。

・ガントチャート
プロジェクトのタスクとスケジュールを視覚的に整理する手法です。各業務の進行状況を俯瞰できるため、計画と実行のズレを把握しやすくなります。

・ToDoリスト
日々の業務をリスト化し、実行すべき作業や期限を明確にします。小さなタスクを漏れなく管理するために有効です。

・アイゼンハワーマトリクス(優先度マトリクス)
タスクを「重要×緊急」の2軸で分類し、優先順位を判断するためのフレームワークです。ToDoリストと組み合わせて使うと、今取り組むべき仕事が可視化されるのでオススメです。

リソースマネジメントの注意点とポイント

ここではリソースマネジメントを行う際の注意点やポイントを解説します。

リソースを把握する

まずはリソースマネジメントの下準備として、取り組むプロジェクトや事業にどのようなリソースがどの程度あるのかを明確に把握することが重要です。
前提が間違っていると、後で大幅な計画の見直しなどが発生する可能性があります。

定期的に確認をする

ヒト・モノ・カネ・情報・時間といったリソースは、プロジェクトや事業の状況に応じて常に変化するものです。日々の変化に柔軟に対応するためにも、定期的な見直しが必要です。

週次・月次といった定期サイクルでのチェック体制を整えることで、偏りや無駄を未然に防ぐことができます。特に「ヒト」は一番不確定要素が多く、人間関係や環境によって大きくモチベーションやパフォーマンスが変わることに注意しましょう。

優先順位をつける

リソースには限りがあるため、何にどれだけ割くかは戦略的に判断する必要があります。明確な目的を設定したうえで、優先順位をつけて配分することが不可欠です。

リスクを考慮する

リソースの管理には、リスクへの備えも不可欠です。例えば、特定の人物に知識や作業が集中している「属人化」は、急な退職や病気で業務が停滞するリスクになります。また、情報共有の不足により、必要なリソースが確保されていないといった事態も起こり得ます。
計画が順調に進むものだと思わず、常にリスクに備えながら、リソースの最適化を図ることが重要です。

まとめ|リソースマネジメントを理解し、組織の生産性を最大化しよう

リソースマネジメントは、ヒト・モノ・カネ・情報・時間といった経営資源を、目的に応じて適切に配分・活用するための重要な手法です。

変化の多い時代だからこそ、リソースマネジメントを学び、実践することで、持続的な組織運営と事業の成長の両立を実現していきましょう。

  • line
  • リンクトイン

RANKINGランキング

  • 週間
  • 月間