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マイキャリアストーリー

『肩の力を抜いて、自然体でチャンスに向き合っていく』
アルプスアルパイン株式会社 C1営業部長 山崎明子さん【後編】

誰しも迷うキャリアの決断。管理職として活躍する女性はいつ、何に悩み、どう決断してきたのか。キャリアの分岐点と、決断できた理由を語っていただきます。

今回は前回に引き続き、アルプスアルパイン株式会社で部長を務める山崎明子さんにお話を伺いました。

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山崎 明子(やまざき あきこ)さん

電子部品営業担当 C1営業部 部長
1990年、アルプス電気(現アルプスアルパイン)に新卒入社。海外顧客の営業窓口を起点に、営業本部で幅広い業務を経験。グループマネージャーを経て、2025年より現職。東日本・北関東エリアの法人営業を統括し、3グループ・32名のマネジメントを担う

マネージャーに昇進。周りの目を気にしすぎて何をすべきなのかを見失っていた

営業一筋でキャリアを重ねてきた山崎さんに、グループマネージャー昇進の打診があったのは40代のことでした。ただ、当初は抵抗感があったと言います。
「営業が好きでしたし、自分で動くほうが合っていると思っていたからです。担当のお客様とのコミュニケーションを自分の裁量で進められて、必要なときには上司に相談すれば良いでしょう。周りに女性の営業マネージャーがいなかったこともあり、自信もなかったですし、自分が上司になったら、男性の部下はどう受け止めるだろうと考え、ためらいがありました」
気持ちを切り替え「次のキャリアのステージを考えて、挑戦してみよう」と引き受けたマネージャー職。就任した後も「一人の担当営業でいたときのほうがよかったのでは」と思ったこともあるそうです。当時は、女性マネージャーというだけで「なぜこの人が課長なのか」というような声が耳に入ってきたり、女性である事でハンデイキャップもある、と言われた事もありました。
「周りにはとにかく気を遣っていました。でも、相手のことばかり気にしていたら、やりたいこともやれないし、本来すべきことも進められなくなります。だんだんとそう気づき始め、『全員からよく思われようと振る舞うのは辞めよう』と、マインドチェンジしました」
マネージャーになって感じた最大の変化は、入ってくる情報量が格段に増えたことでした。経営視点を踏まえた上で営業部門として何をすべきか、組織全体を見て考えるという視座は、営業担当時代にはなかったものだったと言います。
「一つひとつの業務やプロジェクトの背景にある経営意図や戦略が見えてくると、『それなら、あの強みを持ったメンバーが適任なのでは』とチームを見渡して考えるようになりました。メンバー一人ひとりが強みを発揮できる環境づくりが、私の役割だと思えるようになりました」

年齢や性別に関係なく、みんなが居場所を感じられる組織を作りたい

2025年からは、3つのチームを束ねる部長ポジションに昇進し、32人のメンバーを見ている山崎さん。「残りの会社生活でやれるところまでやってみよう」と前向きに受け入れた背景には、後輩たちに“チャンスの枠を拡げたい”という思いがありました。
「私に務まるのだろうかという気持ちはありました。でも、日々接する社外のお客様で同じ年代の方は、どんどん上のポジションに上がっていきます。それならば私も立ち位置を変えていくべきだろうと思うようになりました。
周りに女性の営業やマネジメント職が決して多いとは言えないので、業界的にも、社内へのメッセージとしても、『こういうキャリアの選択肢もあるんだ』と発信していきたい。マネージャー枠を優秀な後輩たちに引き継いでもらうためにも、まずは私が動こうと思っています」
部長になり、「メンバーが自信を持って活き活きと働ける環境づくり」への意識は日々高まっています。
「上長から、『部長の仕事は人事が5割』と言われていますが、まさにその通り。部長としてまず目指すべきは、メンバーにとって、“何かあったときに相談ができ、必要な判断を担う人”になること、小さな意見や思いに対しても耳を傾けられるような、誰もが対話をしやすい場や時間をもっと持ちたいと思っています」
現在、32人のメンバーの約半数はベテラン社員で、私の営業としての先輩も再雇用され同じ職場で働いています。社会全体として若手の育成に目が向きがちな中、長年培ってきたベテランの経験やノウハウを十分に発揮できる環境づくりこそが課題だと話します。
「当社で働く社員みんなが、『自分の働く場所、働く意味がある』と思える環境を作っていきたいんです。
ダイバーシティ推進というと、とかく女性活躍と言われがちですよね。でも私は、その言葉に違和感があり、『女性に限らず全員が活躍すべきでしょう』と言ってきました。同じように若手育成もフォーカスされがちですが、年齢や性別も関係なく、それぞれが持っている強みを生かして、みんなが同じようにモチベーションを持ち続けられる職場にしていきたいです。
これまで『男性だったらこんな言動をとられることはないんだろうな』と思うような理不尽な経験もしてきました。だからこそ、いろいろな立場のマイノリティが抱えるモヤモヤや悔しさを、少しだけ想像ができるのかもしれません」
相手のことを「考えすぎて動けなくなっていた」マネージャー職から部長ポジションへ。「みんなに好かれようとしなくて良い」と、良い意味での気持ちの切り替えを経て、少し肩の力が抜けるようになったと話します。
「10人いたら10人全員とうまくいくのは難しい。うまくいかない関係性にばかり目を向けていると落ち込んで何もできなくなってしまうので、理解してくれる人との関係構築に集中したほうが良いと思っています。
マネージャー職への挑戦も含め、新しいことに向かうときは、自然体でいることが大事。肩に力を入れて成果を上げようと向かっていくと、自分への期待感が大きい分、少しうまくいかないだけで落胆してしまいがちです。
“どんなことならできるのか”、無理をしない範囲で考えながら、目の前の仕事に集中して、挑戦に向き合ううちに、自分なりの“芯”が肉付けされて骨太になっていきます。
訪れるチャンスには、これからも軽やかな気持ちで向き合っていきたいです」


「前編記事」





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写真:MIKAGE
取材・執筆:田中 瑠子

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