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管理職ラボ

「若手社員がわからない」と感じたら。若手を動かすマネジメントのコツとは

「最近の若手は何を考えているのかわからない」そう感じてしまうことはありませんか?

20代と40代では、仕事に対する価値観が大きく異なります。その違いは“やる気の有無”ではなく、育ってきた環境や時代背景に根ざしたもの。本記事では、世代間ギャップを分析する専門家の金間大介氏に、若手世代へのマネジメントのコツを伺いました。前後編、後編です。

 

前編はこちら  https://bemyself.pasonacareer.jp/skill/skill-4524/

 

 

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監修者:金間 大介(かなま だいすけ)

金沢大学融合研究域教授、北海道医療大学客員教授、一般社団法人WE AT副代表理事、日本知財学会理事
横浜国立大学大学院工学研究科物理情報工学専攻(博士(工学))、バージニア工科大学大学院、文部科学省科学技術・学術政策研究所、北海道情報大学准教授、東京農業大学准教授等を経て、2021年より現職。専門はイノベーション論、モチベーション論など。若手人材や価値づくり人材の育成研究に精力を注ぐ。主な著書に『先生、どうか皆の前でほめないで下さい――いい子症候群の若者たち』『無敵化する若者たち』(東洋経済新報社)、『静かに退職する若者たち』(PHP研究所)など。

管理職の役割は「万歩計」。気持ちや感情ではなく、行動をフィードバックする

ー世代間のギャップがある中で、管理職に求められるマネジメントとは?
金間:大前提として、感情や価値観は基本的に本人のものです。他人が指摘したり変えたりできるものではありません。

特に40代以上は組織に加え、感情面にも重きを置きます。仕事でも「チーム一丸で」「絆を大事に」「家族のように」といった価値観が強いと思います。しかし、20代は「仕事は仕事」という価値観なのです。まずはその感覚の違いを理解することが重要です。 ‎

20代のことを「モチベーションが低い」「仕事の意欲を見せない」「主体性を発揮してくれない」と悩んでいる40代も多いと思います。しかし、彼らのそういった気質や価値観は、管理職の責任ではありません。管理職がなんとかすべき案件でもないと思います。

価値観は本人のものです。相手の感情までコントロールするのは、仕事の範疇外です。そこで管理職が気を揉むのは、貴重な時間とエネルギーを浪費することなので、ぜひそこは割り切ってください。

では管理職はメンバーの何を見てマネジメントすべきかというと、「行動」です。メンバーの行動を見て、その行動に対してフィードバックをしてください。

特に、ピンポイントな行動に対する具体的なフィードバックが重要です。例えば、褒める際は「今日の資料、冒頭の箇所が見やすかった。ありがとう」と、具体的に。ダメ出しする時も「今度から資料は2ページじゃなくて1ページに収まるように気をつけて」といったフィードバックです。管理職の役割は「万歩計」だと思ってください。万歩計は正確に歩数を測ってくれるだけで、アドバイスや押し付けもありませんよね?

ちなみに、20代が上司に求める要素は「わかりやすさ」です。「わかりやすいことを言ってくれる上司」が信頼されます。

一方、40代以上の世代は、感情のつながりや「心から分かり合えた」という感覚を重視します。実際、人徳がある上司を尊敬してきたかと思います。このように求める管理職像も異なるのです。 ‎しかも今の40代以上は「こういう感じだから、あとはよろしく」という世界で長年仕事をしてきました。だから仕事を分解してピンポイントでフィードバックすることにも慣れていないのです。

40代以上の方は、部下に対して具体的な行動に対するわかりやすいフィードバックをし続ける。決してそこに感情をのせない。言うが易しという状況ですが、それができれば、信頼・尊敬され、若手社員があなたから学ぼうとする姿勢も強くなっていきますよ。

伝統企業こそ20代の価値観を取り入れて仕組み化しよう

ー20代の若手社員の強みを活かすためには? ‎
金間:若手の価値観をうまく活用して、仕組みとして整えることだと思います。

ある大企業で、優秀な若手社員に課長のポストを提案したところ「私とAさんとBさんの3人でならやります」という返答あったそうです。「皆一緒ならやる」という発想です。課長を3人でやる、という発想は僕にもなかったもので、聞いた時は驚きました。

今の40代以上の世代は、若手社員にはリーダーシップを発揮してもらいたいという感覚が強く、優秀なメンバー=チームを引っ張る牽引役を想像します。しかし、安定志向が強い20代にとって、一人でチームを牽引することは不安定な状況に晒されることでもあります。だから「リーダーも皆でやりたい」と思うのです。

その価値観を変えることはできません。いっそのこと、20代の価値観に合わせた体制を整えてしまう方が良いかもしれません。先ほどの場合なら、課長を3人体制にして、コミュニケーション担当、顧客担当、技術担当といった具合に担当を決めたり、ローテーションで課長を持ち回り制にするという新しい仕組みに切り替えてしまう。そうすれば20代は頑張ってくれると思います。 ‎

20代の中にも1〜2割は存在している自己実現重視の人たちは、そもそも伝統企業を選びません。入社したとしてもすぐに辞めてスタートアップ企業に転職したり、同期で会社を立ち上げたりするケースが増えています。すると安定的な仕事や環境を用意している企業には、安定志向の強い若者が集まる構造になってきています。最たる例が自治体かもしれません。

そこで伝統的な企業では、20代が大切にしている「皆で」という価値観を仕組み化することを提案します。一人がリーダーシップを発揮するような組織から、皆の力を発揮できる組織へ。難しいことですが、ゆるやかに移行させることができたとしたら、良い結果につながるのではないでしょうか。‎

ー上下の世代に挟まれている30代は、どう立ち回るのが良いでしょうか? ‎
金間:40代以上の感覚も20代の感覚もわかるのが30代だと思います。わかるが故のしんどさもある世代です。

40代以上の管理職から見たら、30代も20代と同じ「若手」で一括りにされがち。「君、若いから新入社員の面倒見てよ」なんて言われますよね。すると内心で「いや、あの子と私は全然違うから」と感じてしまう。

でも両世代の価値観が分かるのは、とても貴重なポジションなので、ぜひ強みとして活用してください。世代の橋渡し的な役割にもなれると思います。

もし調整役が苦手だとしたら、極めたいスキルに集中して自己投資をし、プロフェッショナル路線を目指すのも良いと思います。そうすることで、両世代に挟まれる煩わしさが少しは低減されていくはずです。

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(取材・執筆/菱山恵巳子)

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