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管理職ラボ

若手と管理職世代で異なる仕事観。世代間ギャップが生まれた背景とは。

「最近の若手は何を考えているのかわからない」そう感じてしまうことはありませんか?

20代と40代では、仕事に対する価値観が大きく異なります。その違いは“やる気の有無”ではなく、育ってきた環境や時代背景に根ざしたもの。本記事では、世代間ギャップを分析する専門家の金間大介氏に、世代間で生じる価値観の違いとその背景、そして現場で起きているすれ違いの正体について伺いました。前後編、前編です。

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監修者:金間 大介(かなま だいすけ)

金沢大学融合研究域教授、北海道医療大学客員教授、一般社団法人WE AT副代表理事、日本知財学会理事
横浜国立大学大学院工学研究科物理情報工学専攻(博士(工学))、バージニア工科大学大学院、文部科学省科学技術・学術政策研究所、北海道情報大学准教授、東京農業大学准教授等を経て、2021年より現職。専門はイノベーション論、モチベーション論など。若手人材や価値づくり人材の育成研究に精力を注ぐ。主な著書に『先生、どうか皆の前でほめないで下さい――いい子症候群の若者たち』『無敵化する若者たち』(東洋経済新報社)、『静かに退職する若者たち』(PHP研究所)など。

組織重視の40代、個人重視の20代

ー若手社員と管理職世代。働くことや仕事に対する価値観の違いとは?
金間:まず世代の境界線について。2012年から2013年頃に就職活動をしていた世代、つまり2026年時点で34歳〜35歳の人たちが境となり、上の世代と下の世代で価値観が大きく変わります。

わかりやすく区切ると、20代と40代という構図。40代より上の世代は仕事において「やりたいことができるか」を優先します。また「(経験などの)コト重視」「組織重視」という特徴もあります。「自分はこういう案件がやりたい」「この会社で頑張りたい」「この部署を盛り上げたい」という価値観です。

一方、20代は安定志向です。ここでの「安定」とは、自分のメンタルが安定しているかどうか。ワークライフバランスの「ライフ」の部分を大切にしています。「個人重視」「自分重視」という価値観です。

また、20代は自分にとって「安定」や「安全」と感じられる範囲・コミュニティがとても狭い傾向があります。そのコミュニティの一つが「家族」です。お父さんお母さんが優しく守ってくれているから、家族が大好きな20代が多いです。もう一つ「同性の友達」も、安心と思えるコミュニティです。

交友関係も非常に狭くなっていて、小・中学校でできた友だちだけを「友だち」と定義し、高校のクラスメートや大学で出会った人はそれぞれ「高校の仲間」「ゼミの仲間」という言い方に切り替えています。私が普段接している大学生に「なぜ友だちとは言わないのか」と聞くと、「向こうも友だちだと思ってくれてるか分からないじゃないですか」と言われます。「家族」「友だち」「それ以外」と少人数でコミュニティを捉える傾向があります。

もちろんその世代の全ての方に同じ特徴があるわけではありません。20代の若手世代にも「やりたいこと」を大切にし、自己実現を重視している人もいますが、それは1〜2割程度。それぞれの世代において冒頭に挙げた特徴を持つ人が約50%程度で、 マジョリティとなっています。

教育・子育てが、各世代の価値観を変えた

ー世代間でそのような価値観の違いが生まれる理由は?
金間:代表的な要因として2つ挙げられます。

1つ目は、教育の影響です。ゆとり教育以前の40代、移行期である30代、そして完全にゆとり教育を受けてきた20代という構造になっています。ゆとり教育を受けてきたかどうかが、仕事に対する価値観の違いにも現れていると考えられます。

2つ目が、経済状況に応じた子育ての影響です。今の20代の親は団塊ジュニア世代、つまり50代です。この世代は氷河期世代で、日本経済が傾き始めた1990年代に就職し、なんとか組織を守って自分の仕事を維持しながら子育てをしてきました。つまり、今の20代は経済的に厳しい状況の中で大切に育てられてきたので、必然的に安定志向が強くなったということです。

ーそういった価値観の違いは、チームで働く上でどのような障壁になるのでしょうか?
金間:40代以上の世代から見ると、20代は組織や仕事よりも個人を重視した振る舞いや言動、主張が強いように見えてしまいます。

例えば、休暇のとり方。40代以上の方からすると、休暇をとる際はチーム内で被らないように調整することが常識という感覚があるかと思います。ゴールデンウィークの合間の休暇を誰がとるか気を遣い合う…というように。

しかし今の20代前半の多くは、チームメンバーの様子を見ずに真っ先に自分がとりたい日に休暇をとる。もちろん有給休暇という個人の権利を使用しているだけですから、悪いことでもないですし、ルール違反をしているわけでもありません。ただ、こういった行為が40代以上の方からは「権利主張が強い」「メンタルが強い」と感じられてしまうのです。

他にも、仕事中に耳にイヤホンをつけて作業をしている20代もいます。本人に悪気はないですし、実際音楽を聞いているわけではなく、作業に集中するために外の音をシャットアウトしているだけかもしれません。しかし、これも40代以上の方からは「仕事中に音楽を聞くなんて!」と驚かれる現象が起きています。 ‎

また、40代以上の方にとっては、自分たちが受けてきた指導方法が今ではできないことも、大きなプレッシャーになっているかと思います。

40代以上の世代が若手の頃は、管理職から「そんなんじゃダメだ」「もっと気合いを入れなさい」「仕事をナメているのか!」などと強い口調で感情面も含めて指導されてきました。

今の時代でもそういった指導が正しいとされているのなら、ここまで世代間ギャップは広がらなかったかもしれません。しかし、これらの指導は今、全てハラスメントとなってしまいます。

20代とのギャップを感じ、直接指摘したいこともあるけど、コンプライアンスは守らなければならない。そのような状況から、自分でモヤモヤを抱えるしかない状態になっている40代は多いと思います。

★後編では、管理職が抱えるこのモヤモヤの解決法をご紹介します。


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(取材・執筆/菱山恵巳子)

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