『キャリアに“迷う”ことも視野を広げる転機になる』
ジョーンズ ラング ラサール・コーポレート営業 竹田ひかるさん【後編】
誰しも迷うキャリアの決断。先輩たちはいつ、何に悩み、どう決断してきたの? 現役で活躍し続ける女性たちに、これまでのキャリアの分岐点と、決断できた理由を語っていただきます。
今回は、前回に引き続き、ジョーンズ ラング ラサール株式会社の竹田ひかるさんをインタビュー。偶然の縁や出会いによってもたらされた、これまでの仕事観についてお話を伺いました。
(→前編記事はコチラ)
竹田 ひかるさん
ジョーンズ ラング ラサール株式会社
シニアマネージャー コーポレート営業本部
大学卒業後、アパレル業界を経て、人材紹介会社へ。タイグロン・パートナーズ株式会社、KMF PARTNERSで計6年のリクルーティング経験を経て、2021年9月にJLLに入社。
人の紹介や誘いから、キャリアが拓いていった
- ― 複数の企業と向き合う人材紹介会社での経験を経て、2021年9月にJLLのインターナルリクルーター(人事採用担当)になった竹田さん。事業会社への転職にはどんな思いがあったのでしょう。
- 「会社にとって大事なカウンターパート(対等な立場の存在)になりたいと思ったとき、採用担当として1社に腰を据えるのも一つの選択肢だなと考えていました。前職で不動産会社を多く担当していて、取り扱っているものが実物資産で価値が目に見えるところも好きでしたし、JLLは前職の上司が担当していて、人の良さがいいなと思っていました。
漠然とこれからのキャリアを考えていたとき、JLLで働いていた高校の先輩から誘われ、それが入社の決め手になりました」
- ー 人材領域で、エージェントとして採用にかかわってきた竹田さんでしたが、「JLLの人間として、会社を代表して候補者に会う」のは、また別の仕事だと感じたそうです。
- 「JLLには14ものビジネスライン(事業部)があり、それぞれが現場主導で採用を行います。人事は一次面接のスクリーニングを的確に進めるために、現場の仕事を徹底的に理解し、JLLの魅力を候補者に正しく伝えていく必要があります。
そこで、とにかく現場に向かい、『ジョブディスクリプション(職務記述書)にはこう書いてありますが、実際はどういう仕事ですか』『収益にどうつながっているんですか』『このポジションで入ってきた人は、入社後にどういうキャリアを築いていけますか』など、候補者視点で知るべきことを細かく、しつこく聞いて回りました。ときに失礼な質問もあったと思うのですが、どの事業部の方も嫌な顔一つせず、あらゆる疑問に向き合ってくれました。
JLLでは、 “採用は会社の成長を支える”という意識が全社で共有され、誰よりもまず経営陣が採用を重視しています。採用担当として、とてもありがたい環境でしたね」
- ー 採用は縁をつなぐ仕事であり、自身のキャリアも“ご縁”ありきで広がってきたと話す竹田さん。現在のコーポレート営業本部への異動も、部門トップを務めるイギリス人COOの採用面接に、通訳としてたまたま同席したことがきっかけでした。
- 「『君は会社の魅力を伝えるのが上手だから、営業に来ないか』とスカウトされたんです。ちょうど、また営業がやりたいなと思っていたタイミングだったのでうれしくて、お受けすることにしました。
JLLは、個人の意向やチャレンジへの意欲を、とてもフラットに評価しチャンスをくれる会社。年齢や性別に関係なく、ライフステージに沿って一人ひとりの意見を尊重し、仕事とのバランスを考えてくれます。もっと挑戦したいという人には管理職ポジションを任せ、異動の決断も早い。組織として”個“を見て動くという姿勢が、働きやすさにつながっているのだと思います」
素直に周りを頼るフラットさが人との縁をつなげてきた
- ー 周りのサポートや助言にリードされる形で、「ケセラセラと生きてきちゃった」と笑う竹田さん。「素敵な“縁”をもらってきたからこそ、私も“縁”を与えられる人になりたい」と、これからのあり方を話します。
- 「好きな言葉に、『小才は縁に出会っても縁に気づかず 中才は縁に気づいても縁を生かさず 大才は袖すりあった縁をも生かす』というものがあります。江戸時代の武将、柳生宗矩の言葉で、大きな才能の持ち主はどんな縁も何かにつなげられるということ。まさに、私の営業人生の指針のようで、これこそが手に入れたいスキルだと腑に落ちました。
縁を生かすために何か特別なことをしているわけではないけれど、『分からないから教えてください』『知らないので学びたい』という発信は、臆せず続けてきました。もしかしたら、それが周りを巻き込み、縁をつなげてきたのかもしれません」
- ー 仕事選びに迷いに迷い、遠回りした経験があるからこそ、「迷うことはすごくいいこと」と竹田さんは話します。
- 「迷っているときというのは、普段考えないことに思いを巡らせて視野が広くなっているとき。自分が大事にしている価値観は何だろうと、壮大なテーマに真剣に向き合う機会が、“迷う時間”だと考えています。
迷うだけ迷って決められないのなら、決め切るだけの理由がそこにはないということ。次の新たな道に進むことだけが正解じゃない。今は決めない、という決断もまた、大事な考えです。自分で決めたことであれば、あとから答えを見出すことも、正解にすることもできると思っています」
(→前編記事)
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写真:MIKAGE
取材・執筆:田中 瑠子