『キャリアに“迷う”ことも視野を広げる転機になる』<br>ジョーンズ ラング ラサール・コーポレート営業 竹田ひかるさん【前編】のイメージ画像

マイキャリアストーリー

『キャリアに“迷う”ことも視野を広げる転機になる』
ジョーンズ ラング ラサール・コーポレート営業 竹田ひかるさん【前編】

誰しも迷うキャリアの決断。先輩たちはいつ、何に悩み、どう決断してきたの? 現役で活躍し続ける女性たちに、これまでのキャリアの分岐点と、決断できた理由を語っていただきます。

今回は、ジョーンズ ラング ラサール株式会社の竹田ひかるさんをインタビュー。偶然の縁や出会いによってもたらされた、これまでの仕事観についてお話を伺いました。

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竹田 ひかるさん

ジョーンズ ラング ラサール株式会社
シニアマネージャー コーポレート営業本部

大学卒業後、アパレル業界を経て、人材紹介会社へ。タイグロン・パートナーズ株式会社、KMF PARTNERSで計6年のリクルーティング経験を経て、2021年9月にJLLに入社。

芸大に進学し就活で全落ち。 だからこそ得た、人材領域との出会い

― アメリカ・シカゴに本部を置く総合不動産サービス会社、ジョーンズ ラング ラサール(以下、JLL)の日本法人で働く竹田ひかるさん。 前職まで人材紹介会社での約6年の営業経験を経て、2021年9月にJLLに入社し、タレントアクイジションとして、中途・新卒採用領域を担当してきました。23年6月からはコーポレート営業本部で、全社に14ある事業部を横断したビジネスソリューション提供を担っています。 人材領域での営業経験が長い竹田さん、「学生時代からは想像もできなかったキャリア」だと話します。物心ついたころから、身体表現や舞台、ファッションの世界に惹かれていた竹田さんは、芸術・デザイン分野に強い京都精華大学に進学。国内で初めてマンガ学部を設置したユニークな校風で知られ、「周りの学生はみんな浮世離れしていた」と振り返ります。
「5歳から15年以上クラシックバレエを続け、舞台に立つたびに、舞台を作っていくスタッフの仕事がカッコいいなと思っていました。ダンサーやアーティストの表現にかかわる仕事がしたいと京都精華大学の文学部に進み、映画批評や音楽評論、服飾の歴史などを学びました。
でも、いざ就職に向けて動き出すと、学んできたことの何を仕事にできるのか、まったく分かっていないことに気付きました。世間知らずで、社会にどんな仕事があるのか見当もつかなかった。舞台関係の会社や映画の配給会社、洋服に関わる仕事として繊維の専門商社など、複数社を受けましたが、ことごとく落ちて全滅に。大学4年の2月になっても就職先が決まらず、途方に暮れていました」
ー そんなとき、学生時代にアルバイトをしていたアパレル店から声をかけてもらい、契約社員としての入社が決まります。イタリア製ブランドの服に囲まれ店舗に立つ仕事は、学生時代から好きで続けていたこと。ただ、社会人として1年が経つと、次第に物足りなさを抱くようになりました。
「アルバイト時代とやっていることが変わらないと思ってしまったんです。今思えば、捉え方次第でいかようにも仕事を面白くできたのかもしれませんが、10年先、20年先も同じ仕事をやっているのか…と先が見えなくなってしまった。『学生時代と変わらず、社会のことを何も知らずにいてはダメだ』という強い危機感から、会社との契約を更新せず、もう一度就職活動をしようと動き始めました」
ー そうして出会った次のキャリアが、人材紹介会社の営業職でした。たまたま話をした転職エージェントが人材紹介会社のリクルーターを探しており、勧められた道が今のキャリアにつながっていきます。
「転職に向けて動き出したものの、働く上で何を大事にしたいのか、まったく言語化できていませんでした。転職エージェントの担当者に『どうしたらいいと思いますか』と思いの丈をつらつらと相談していたところ、人材紹介会社を選択肢の一つとして示されました。
社会を広く知りたいのなら、いろんな会社の、いろんな仕事の人に出会え、会社や組織の成り立ちを体系的に学べる仕事は勉強になる。これからのキャリア探しのファーストステップとしていいのではないかと、やってみたい気持ちがわいてきました」
ー アパレル店時代、売上ノルマを追うのが好きだった竹田さん、営業として数字を追う仕事にも興味がありました。実際に始めてみると、水を得た魚のように、仕事の面白さにのめり込んでいったそうです。
「人材紹介会社の営業職は、見ず知らずの候補者に“お話を聞かせてください”とアプローチできる仕事。同じ職種の人でも、候補者によって全然違うエピソードが出てきますし、仕事の延長線上にある人生観、大事にしている価値観は人それぞれ。本当に様々な人が、それぞれ違うことを考えながら仕事をしています。それを実感すること自体がすごく面白くて、多いときには月に80人もの候補者と面談をしていました」

インターナショナルスクールで学んだ 人と比べず、そのままを受け入れる大切さ

ー 竹田さんが持つ、人に対するフラットな目線や、周りから得た情報を素直に咀嚼していく姿勢はどこから来ているのか。そのルーツを聞くと、インターナショナルスクールに通っていた中高時代のエピソードまで遡っていきました。
「中学受験をしようと学校選びをしていたとき、『校則が厳しそうだから嫌』『この制服は着たくない』などとわがままばかり言っていて、受けられる学校がなくなってしまったんです(笑)。ふと目にしたパンフレットが、芝生の校庭がある、私服で通えるインターナショナルスクールで、ここがいいな、と入学を決めました。

その学校は、帰国子女を中心に、日本の学校やカルチャーにうまく馴染めなかった子の居場所になろうと設立されたところでした。だから、来ている子たちのバックグラウンドもさまざま。容姿や年齢、性別に関係なくいろんな人がいるのが当たり前でした。『この人は、こういう考えを持った人』だと、周りと比べられたりせずにそのまま受け入れられていた。広い視野で人を見る大切さを肌で感じられる学校でした」
ー その環境で得たフラットな姿勢は、企業や候補者とひざを突き合わせて対話を行う人材紹介会社の仕事にも生きたと話します。
「その会社のカルチャーにどういう人が合っているのか、四季報やホームページからは得られないリアルな情報を知ることができたのも面白かったですね。組織と個人の相乗効果は、その組み合わせによっていかようにも変わっていくでしょう。その可能性に触れられるのも、人材紹介業ならではの醍醐味だと思います。
候補者の側も、年収が大事、仕事内容が大事、家族との時間が大事…などと、思いは人の数だけ違います。何度も面談を繰り返しながら一人ひとりの根っこにある価値観に向き合っていく作業が好きで、人材領域に飛び込んだのはとても良い選択だったなと思っています」


(→後編に続く)








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写真:MIKAGE
取材・執筆:田中 瑠子

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