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マイキャリアストーリー

『 “楽しく働ける環境”を自ら作りにいく』
第一三共・グローバルDX デジタル&テクノロジー部 福間明子さん【後編】

誰しも迷うキャリアの決断。先輩たちはいつ、何に悩み、どう決断してきたの? 現役で活躍し続ける女性たちに、これまでのキャリアの分岐点と、決断できた理由を語っていただきます。

今回は、前回に引き続き、第一三共株式会社 グローバルDX デジタル&テクノロジー部の福間明子さんをインタビュー。子育てとの両立やマネジメントポジションへの挑戦など、キャリアの中で感じた葛藤とその乗り越え方についてお話を伺いました。

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福間 明子(ふくま あきこ)さん

第一三共株式会社
グローバルDX デジタル&テクノロジー部
ビジネスエンゲージメントグループ長

専門外の部署でマネージャーに。
自分だからできることを見つけていった

― 研究開発本部のプロジェクトマネジメントを経験した福間さんは、その後、広報・IR(Investor Relations)での機関投資家対応の仕事に就くことになります。異動の理由には、研究開発本部で自ら進めていた女性活躍推進の活動があったのでは、と話します。
「女性活躍推進の本部内ボランティア活動として、月に1回、“ランチタイムに身近な人から学ぼう”という企画を立てて動いていたんです。きっかけは、アメリカ人の研究開発本部長から『社内の女性活躍推進のために、あなたに何ができるか考えてほしい』と宿題を出されたことでした。そこで、本部内で初期メンバーを5人集め、“ウーマンズ・フォーラム”という会をスタートすることに。月ごとにテーマを設定して、社内のいろいろな方に『今度こんな話をしてください!』と、お願いに回っていました」
― 当初は、「子育てとの両立」をテーマにすることが多かったといいますが、参加してくれたメンバーの声から、それでは偏っていると気づかされたのだそう。
「性別やライフイベントの有無にかかわらず、働く誰にとっても価値ある情報を届けられたら。そんな思いから最終的には“ワークプレイス・フォーラム”に名前を変え、タイムマネジメントやリーダーシップなどとテーマの幅を広げていく中で、社内に顔が知られるようになっていきました。
プロジェクトマネジメントとして会社の状況を上層部の方に報告する機会も多く、投資家への説明をミッションとする仕事に向いていると思われたのかもしれません」
― 広報・IRでの機関投資家対応を経て異動した現在のデジタル&テクノロジー部では、異動と同時にマネジメントポジションに就くことになった福間さん。「ITは大の苦手」と自認していただけに、マネージャーが務まるのか、これまでの異動の中でもっとも不安が大きかったと話します。
「上司からは、『プロジェクトマネジメントという点では、対象が薬かITかの違いだけだよ』と言われましたが、そんなこと絶対ない (笑)。何年もIT領域で知見を重ねてきた専門家集団のメンバーに、何とか追いつかなければと気負っていました。でもすぐに、私が1年やそこら頑張っても、メンバーのレベルには到底追いつけないと分かったんです。それならば、自分ができることを見つけてやっていこうと考え直しました」
―まず取り組んだことは、DX部門の“社内広報”でした。
「メンバーはみんな、ビジネス側が仕事をしやすくなるようにとコツコツと社内ITの導入や改善に取り組んでいるのに、注目されるのはシステムトラブルが生じたときだけ。『動かない』『仕事が進まない』などと文句を言われてしまう状況を変えたいと思いました。
社内広報としては、ワークプレイス・フォーラムの場を使って、IT部門がどんな思いで仕事をしているのかプレゼンする機会を設けました。また、私のようにITリテラシーが高くない社員向けに、身近なTipsを紹介するショート動画『仕事ハックステーション』を作って発信する活動もスタート。一緒にやってくれるメンバーを募り、動画配信は1週間に1回程度を継続中です。IT部門も頑張っているんだなと、私たちの社内認知も徐々に広がっていると感じています」

なぜ働くのか。考え抜いた経験が、社内発信の原動力になっている

― 身の回りの課題を見つけ、解決に向けて手と足を動かす。福間さんの行動力の源泉はどこにあるのでしょう。
「せっかく働いているのだから、誰かの・何かの役に立ちたいんです。研究開発でも広報でもITでも、周りに深い知識を持った専門家ばかりいる環境だったからこそ、私に何かできることはないかと考えるようになったのかもしれません。
自分の強みだと思えるのは、協力してくれる人を見つける目利き力。女性活躍推進活動の立ち上げでも、IT部門の社内発信でも、同じ思いを持っている方、つながりを求めている方に『一緒にやってみない?』と声をかけて仲間を増やしてきました。人を見る力は、プロジェクトマネジメントの経験が役立っていると思います」
― 子育てとの両立に悩んだ時期を経て、現在、娘さんは高校生になったそう。働く母の姿を見て、「私と同じ高校1年生のタイミングで、薬学部を目指したいと言い始めた」と話します。
「小学生の頃は、授業参観を途中で抜けて仕事に戻ったときに『どうして帰っちゃったの』と号泣されたこともありました。中学受験の塾通いのときには、『夕方に温かいお弁当を届けてほしい』と泣かれ、中学に入ってからは数か月間、不登校になった時期もありました。その都度、娘のイベントを最優先に仕事のスケジュールを調整してもらったり、中学生のときにはリモートワークに切り替えて、娘が家にいる時間を一緒に過ごせるようにしたりと、上司や同僚には本当に助けていただきました。
いつからか、『私も手に職をつけて仕事をしたい』と娘から言うようになり、彼女なりに何かを感じとって育ってくれたのかな、と思っています」
― 娘を保育園に預けるたびに葛藤した経験が、「自分にとって仕事とは、働くとは何か」を真剣に考えるきっかけになったという福間さん。振り返れば、どんな経験も今の自分につながっていると話します。
「このまま働き続けていいのかと悩んだ時期もあったけれど、『世の中に役立ちたい』という思いが強かったんです。仕事は続けよう、続けるのなら楽しくやろう、と思えるまで考え抜いたことは大きかった。だからこそ、どの部署に行っても、誰もがいきいきと働いてほしいという思いがすごくあって、そのために自分は活動しているんだなと思っています。

最近は、女性活躍推進の機運が高まっている分、マネジメントポジションを打診されても“女性だから”オファーされたのでは、と思う人がいるかもしれません。
でも、来たチャンスには乗ってみたらいい。自ら選択したキャリアもそうですし、会社など外部から勧められたポジションだったとしても、とりあえず乗ってみてから考える。動き始めてから、どうやればいいのかを探っていっても、何とかなるものだと思っています」

「前編記事」


■福間明子さんのインタビュー動画





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写真:MIKAGE
取材・執筆:田中 瑠子

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