『引っ張っていくよりも“一緒に進む”リーダーとして』<br>アーケム・広報 町田君子さん【前編】のイメージ画像

マイキャリアストーリー

『引っ張っていくよりも“一緒に進む”リーダーとして』
アーケム・広報 町田君子さん【前編】

誰しも迷うキャリアの決断。先輩たちはいつ、何に悩み、どう決断してきたの? 現役で活躍し続ける女性たちに、これまでのキャリアの分岐点と、決断できた理由を語っていただきます。

今回は、株式会社アーケムで経営企画室 広報戦略企画課課長を務める町田君子さんをインタビュー。新会社設立に向けたチャレンジで、大事にしてきた想いを伺いました。

町田君子(まちだ・きみこ)さんのイメージ画像

町田君子(まちだ・きみこ)さん

株式会社アーケム
経営企画室 広報戦略企画課課長

2014年、新卒で株式会社ブリヂストンに入社。販売企画職を約4年、海外営業を約5年経験する。2022年8月の株式会社アーケム立ち上げに向け、準備室のメンバーとして組織づくりを担当。新会社スタートと同時に現職へ。

多様な役割がチームを組み一つの製品を作り上げる
ものづくりの世界に憧れた

ー 2022年8月1日に新会社としてスタートを切った株式会社アーケム。株式会社ブリヂストンの化成品ソリューション事業を前身に、ウレタン事業分野での技術力・提案力を生かし、車輛用のシートパッドから、マットレス、プリンター用の部品に至るまで、生活のあらゆる場面で使われているウレタン製品の生産・開発・販売を手掛けています。 新卒でブリヂストンに入社し、営業を中心としてキャリアを積んできた町田さんですが、アーケムの分社化が決まった段階で、広報立ち上げ準備室のリーダーを担当。企業ロゴやブランド方針の策定、ホームページ立ち上げ、ミッション・ビジョン・バリューの言語化など、会社の土台づくりを任されました。
「私を含め、新会社立ち上げ準備室のメンバーは、お客様のことや技術のことは皆よく分かっていたものの、コーポレート業務の知識を持っている人はごく一部でした。新会社スタートの日程が決まっている中、手探りながら、急ピッチで全員が協力して会社づくりを進めてきました。2022年8月1日からは広報戦略課に移り、現在は2人のメンバーと、理念の浸透に向けた施策づくりやブランド方針・ESG方針の策定などを担当しています」
ー もともと、ものづくりに関わる仕事がしたかったという町田さん。「開発や技術担当、営業、工場のメンバーなどさまざまな役割が一つのチームになり、一つのものを作り出すところに惹かれた」と話します。
「就活時はメーカーを多く見ていました。最初は、目に見え、手に取って触れられる“もの”をみんなで協力して作り上げる仕事がしたいという気持ちで、ブリヂストンに入社しました。
2014年に入社後、初めは化成品ソリューション事業全体の採算を管理する販売企画職に就きました。やりがいはありましたが、自分は商品に直接携わる現場の気持ちが十分に分かっていないという負い目がどこかにありました。そこで、第一線でものを売る営業職を経験したいと希望を出し、2018年から、プリンター部品を扱う事業部の海外営業を約5年間担当しました」
ー 技術力や品質に信頼を得られれば、継続的な取引が続いていくBtoB営業で、海外企業の大手1社を担当。関係構築に奔走した経験は、新会社立ち上げや現在の広報職においても重要な視点につながっていると言います。
「5年間の営業経験を通じて、お客様からの期待に応え稼ぎ続ける大変さを経験しました。だからこそ、広報という立場にあっても、会社のみならず、社会や従業員の期待にまで応えることを意識したいと考えました。そして、自分が利益面でどのように貢献して、事業を成長させるかも常に考えていたいと思います。これからアーケムのウレタンを多くの人に知ってもらい、ブランドとして認めていただくことで、第一線のメンバーが力を発揮しやすい土台をつくっていきたいですね。今後も役割の異なるメンバーと協力しながら、アーケムのものづくりを世界に広げていきます。」

変えたいものと変えたくないもの
それぞれを大切にミッション・ビジョン・バリューの策定を目指した

ー 新しいことを学びたいという思いもあり、新会社の準備立ち上げ室や、広報職への挑戦をポジティブに受け入れられたと話す町田さん。
ブリヂストンからの事業分離という形だったからこそ、“受け継ぎたいもの”と“新たに作っていきたいもの”を改めて見つめ直したと言います。
「何年も一緒に仕事をしてきたメンバーと作っていく新会社ですから、壁にぶつかっているひとに手を自然に差し伸べるような人の親切さや誠実さなど、ブリヂストンの強みを大事に受け継いでいきたいと思いました。
一方で、準備室のメンバーとワークショップを開き議論する中で、『もっと環境の変化にスピード感を持って対応し、社会の期待に自ら積極的に応えていく姿勢を常に持ち続けたいよね』という意見が多くあがりました。
そこで、バリューに“プロアクティブ&スピーディー”を入れ、お客様に先んじて最短距離で進もうと定めました。『今までの振り返りを生かして、新たな価値観にしていきたい』という思いは、ミッション・ビジョン・バリュー策定に際し、現場の意見として肌で感じたものでした」
ー 町田さんが新会社設立の話を耳にしたのは、2021年12月のことでした。翌年8月の事業スタートに向け、何もかも初めての挑戦でしたが「人とコミュニケーションをとるのが好き」という強みが生きたと話します。
「営業が好きだったのも、人の話を聞くことが好きだったからなんです。お客様の要望や意見を聞き、製造拠点のメンバーと話し、みんなの知識や経験を持ち寄ってものづくりをしていく。そのプロセスがすごく好きでした。
広報の仕事も、いろんな立場で働いている人の想いを聞くところから始まり、企画や施策につなげていく。人に向き合う姿勢は、どの仕事でも共通しているなと感じています。
実際に、ミッション・ビジョン・バリュー策定後に各国の拠点メンバーに説明をする機会がありましたが、そこで各国の従業員の意見をヒアリングすることができ、今年初めてのグループ会社間の交流会を企画することができました。一例ではありますが、人事領域においてはバリュー(従業員の5つの行動指針)をどのように人事評価制度に落としこむかを考えるために、各国の人事担当者同士で活発な意見交換を行っています。」

「後編」に続きます。





~あわせて読みたい記事~
◇「数字に弱い」と言われたくない。会計知識を学び自分の強みにしていった(日立製作所・DEI推進/上田さんのインタビュー)
◇歴史ある企業の“変わりゆくタイミング”に身を置きたかった(UBE・総務広報/堀江さんのインタビュー)





写真:龍ノ口 弘陽
取材・執筆:田中 瑠子

  • line
  • リンクトイン

RANKINGランキング

  • 週間
  • 月間