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マイキャリアストーリー

『現場志向が、助け合うカルチャーを引き出す』
UBE・広報 堀江周子さん

誰しも迷うキャリアの決断。先輩たちはいつ、何に悩み、どう決断してきたの? 現役で活躍し続ける女性たちに、これまでのキャリアの分岐点と、決断できた理由を語っていただきます。

今回は、UBE株式会社 総務部広報グループ グループリーダーの堀江周子さんをインタビュー。異業界転職を経て見えた、新たな学びについて、お話を伺いました。

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堀江 周子さん

UBE株式会社 総務部広報グループ グループリーダー

大学卒業後、大手旅行会社の出版事業部門にて、約20年、旅行情報誌、Webメディアの編集や広報宣伝に携わる。2021年11月にUBE株式会社に入社。

歴史ある企業の“変わりゆくタイミング”に身を置きたかった

― 旅行情報誌やWebメディアの編集として、約20年間、旅行情報メディア領域でキャリアを重ねてきた堀江周子さん。2021年11月より、化学事業を手掛けるUBE株式会社の広報宣伝へと、大きくキャリアチェンジを決めました。 大学時代から世界を旅するのが好きだった堀江さんにとって、旅行の魅力を発信する編集の仕事には「好きなことが詰まっていた」と話します。
「大学卒業後は大手旅行会社の出版事業部門で、雑誌編集者を約10年経験しました。大阪に新たに支社が立ち上がった際は編集長として着任し、地方自治体の観光プロモーションの策定や実施も手掛けました。さらに、広報宣伝やデジタルメディア編集部の編集長など新しい仕事へのチャレンジも多く、今振り返っても幸せな日々でした」
ーそんな恵まれた環境から、まったくの異業種に飛び込んだのはなぜだったのか。 コロナ禍により在宅勤務が広がり働き方が変わる中、「ふと、違う仕事をしてみたいと思った」と話します。
「前職でデジタルメディアの編集長をしたときに、紙からWebへ、媒体自体の大変革と同時に、社内が変わっていくプロセスを一緒に味わうことができたんです。その経験はとても大きかったですね。

100年以上の歴史ある大企業でしたから、『今まで続けてきたからやっている』という非効率的な業務も少なくありませんでした。デジタル化により、そのような仕事が次々と減り、その分の時間を新規事業のアイデア出しに使ったり、社員同士のコミュニケーションを増やすことに費やせたりと、社内の雰囲気が変わっていきました。これだけ大きな会社も変化していけるのだと、わくわくしたのを覚えています。

デジタルの力を使った旅行情報の発信は新入社員のほうが長けていることも多く、若手メンバーから教えてもらいながら必死で勉強していきました。そこで約3年間、新しいことに挑戦する面白さ、環境を変えていく面白さを改めて感じ、まったく別の業界に行ってみるのもいい経験になるはずだと考えるようになりました」
ーせっかく転職をするのなら、今まで触れたことのない業界に行きたいと考えた堀江さん。こだわったことのひとつにあったのが、「歴史ある会社の、変革のタイミングに参画したい」ということでした。
「UBE株式会社も、前職と同じく創業100年を超える企業です。歴史ある大企業が変わっていくタイミングで転職できることはそうそうありませんし、UBEには変革の可能性を強く感じました。
また、前職で編集と広報宣伝の仕事を経験していたことから、メディア側で取材する立場と、広報として取材される立場の両方を知っています。その経験を生かせるのではないかと、広報宣伝での入社を決めました」

助け合う文化に支えられ、大規模プロモーション施策をリード

ー入社後、堀江さんを待っていたのは思いがけない大プロジェクトでした。 UBE株式会社は、2022年4月に宇部興産株式会社から社名変更をし、そのためのプロモーション活動の責任者に任命されたのです。
「入社するとすぐに、『来年度に社名変更があるから、これまでの経験を生かして新社名のプロモーションを実施して欲しい』とバトンを託されました。
テレビCMやWeb広告、交通広告、SNS発信や動画配信など、どんな内容をどのチャネルを使って届けるべきか、プロモーション戦略策定から実施までを、社内中の皆さんの力を借りて進めていきました。本当に忙しかったけれど、UBEにとって重要なターニングポイントで広報宣伝の仕事ができたのは、とても幸運でしたね」
ー広報宣伝としては経験があっても、化学メーカーの基礎知識はゼロ。何をどうプロモーションするか、戦略を考えるのは大変だったのでは。そう聞くと、「分からないので教えてください!と、あらゆる部署のメンバーにひたすら話を聞いて回った」と話します。
「研究員や、営業や管理部門などの担当者に、『こんなプロモーションをやろうと思っているのですが、いかがでしょう』と意見をぶつけては、フィードバックの声をひたすら集めました。
UBEには、驚くほど協力的なメンバーばかりいるんです。研究員の皆さんは、理系の基礎知識すらない私にも、分かりやすいように丁寧に説明してくれて、『自分の仕事を社外に発信する機会はなかなかないから、ぜひ伝えたい』と言ってくれました。外から来た私の意見を尊重してくれ、『UBEをより良く変えていってほしい』と背中を押してもらいました。
UBEではこれまであまりやってこなかったデジタルプロモーションを仕掛けることができたのも、“助け合う社風”があってこそ。入社してからずっと、助けられて、教えてもらってばかりなので、これからの仕事でお返ししていかなくては…と思っています」

何を伝えたかではなく、相手に“どう伝わったか”を考える

ー現在はグループリーダーとして2人のメンバーを見ている堀江さん。マネジメントの面白さを、「メンバーそれぞれの力を合わせて最大限の結果につなげていくこと」と話します。ただ、そう思えるようになったのは苦い経験があったからだといいます。
「前職で初めてマネジメントを任されたのは、大阪支社が立ち上がったときでした。生まれ育った横浜を離れて大阪転勤になり、初めての編集長に。それだけでも大変だったのですが、メンバーが全員年上だったんです。
編集長だからしっかりしなくちゃ、自分が動いて決めていかなくちゃと気負いすぎて、心身の限界まで働いてしまいました。そして、もうこれ以上頑張れないと思ったときに、『自分の力だけではチームは動かせないんだ』ということに気付かされました。
年上とか年下とかは関係なく、チームで結果を出さなければいけない。自分が一人で何とかするなんて無理なのだから、チームで最大限の力を出せるように動こう、とようやく思えるようになりました。
UBEに入社して、『分からないから教えてください』と周りに働きかけられたのは、自分だけの力でできることは少ししかないと思えたことがとても影響しています」
ーチームの力を最大化するために、堀江さんが心がけていることは2つ。相手の話をきちんと聞くことと、伝え方を考えることだといいます。
「メンバーに指示をする立場なので、こちらの思いや意図が“伝わるように伝える”ことが大事です。
メンバーの理解が浅いなと思っても、相手を責めるのではなくて、私の伝え方が悪かったんだなと考えてみる。どうすれば伝わるのだろうかと、いつも自分を振り返るようにしています」
ー旅行情報メディアの編集職と、化学メーカーの広報宣伝職という、カルチャーの異なる組織でキャリアを重ねている堀江さん。インタビューの最後に、大事にしている仕事観を聞きました。
「軽やかに生きていきたい」といつも思っています。
思えば、大学時代にふらっと旅に出て新しい景色や人に出会っていたところから、軸は変わっていないのかもしれません。フットワーク軽く、いろいろな人にお会いしたい、話を聞きたいと動いてきた結果、社内のさまざまな部署の方や社外の関係者の皆さんとつながりやご縁が生まれ、周りに助けられて仕事ができています。何年も前に一緒に仕事をした方と偶然再会して、『また仕事をしましょう!』と言ってもらうことに喜びを感じることもあります。

現場を見に行こう、自分で感じ取りに行こうと動く軽やかさは、これからもずっと大切にしていきたいです。








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写真:龍ノ口 弘陽
取材・執筆:田中 瑠子

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