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女性のキャリアをどう考える?理想のキャリアプランの設計や考え方

多様な働き方が認められつつある現代ですが、女性がキャリアを形成する上で悩むことはまだまだ多くあるのが現状です。

出産や結婚などのライフイベントを控え、今後のキャリア形成に迷っているという人も多いのではないでしょうか。

 

この記事では働く女性の抱える悩みや、理想のキャリアプランの設計方法、考え方について詳しく解説しています。

女性に多いキャリアの悩み

最初に、働く女性が抱えているキャリアの悩みについて見てみましょう。人によって抱える問題は様々ですが、一般的によく語られる悩みとしては次のようなものがあります。

男女格差

まず、男女間の給与や昇進・昇格などに差が出てしまうという悩みです。

男性に比べて女性の方が非正規雇用の割合が高いので、男女の平均賃金のみを見て安易に比較することはできませんが、雇用形態・性別・年齢別の賃金を確認しても事実として女性の方が給与水準が低い傾向にあります。

厚生労働省の調査によると、正社員・正職員の給与の最大値は男女ともに55〜59歳がピークにきますが、男性の平均は440.8万円に対して、女性は316.3万円です。

引用元:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」より

こうした男女格差は、かねてより国も問題視しており、1999年には男女の社会への平等な参画を目的とした「男女共同参画社会基本法」が制定されました。また2015年には、女性の働き方改革・推進に的を絞った「女性活躍推進法」が制定されています。

それでも依然として男女格差は問題となっており、世界経済フォーラム(WEF)が評価する「ジェンダーギャップ指数2024」では、日本は146カ国中118位、先進国の中では最下位と、まだまだ改善が求められている状態です。

ライフイベントとの両立

また、結婚や出産というライフイベントがキャリア形成に大きく影響を及ぼすのも女性に多く見られる悩みです。特に出産を考えている場合、産前産後はどうしてもキャリアに空白が生まれるので、新しいプロジェクトへの挑戦や昇進のタイミングにも慎重になるのは当然でしょう。
そして「家事・育児は女性が担うもの」という価値観が社会にはいまだ根強く残っています。そのため、出産を終えて職場復帰をした後も、家事・育児については、男性よりも女性の方に大きく負担がかかりがちです。結果として、仕事との両立が難しくなり、キャリアを諦めざるを得ない場合もあります。

子どもを持つ女性が管理職についたり、大きな責任を伴う仕事を任されるうえでは、周囲の理解と協力が不可欠になります。それにも関わらず、周りの理解が得られず、いわゆる「マタハラ」を受けたり、業務量を故意に増やされたりという嫌がらせを受けるケースも残念ながら存在しています。

理想のロールモデルが見つからない

理想のキャリアを描こうとしても、ロールモデルになりそうな人が近くにいないというのも働く女性の悩みの一つです。

例えば「結婚・出産をしてもキャリアを諦めずに働き続けたい」と思った時に、そのような働き方をしている先輩がいなければ、自分でそのルートを作らねばなりません。ましてや、結婚・出産後に女性管理職を務めている人となるとさらにロールモデルは少なくなるので、どうしても心理的ハードルが高くなりがちです。

実際、厚生労働省の「令和4年度雇用均等基本調査」によると、管理職等に占める女性の割合は14.7%で、これは世界的にみても低い数値です。それもあり、2023年より、一定規模以上の企業に対して、「女性管理職比率」「男性育休取得率」の開示が義務化されており、多くの企業が取り組んでいる問題でもあります。

企業としてもモデルケースとできる人材が少ないのが現状であり、多くの働く女性が直面している問題です。

女性のキャリアアップは難しい?

ライフプランを考え始めると、どうしても今の日本が抱える現実的な問題に直面してしまいます。では、本当に女性のキャリアアップは難しいのでしょうか?

結論から言うと、そんなことはありません。

女性活躍推進については、国も企業も、現在、必死で取り組んでいる社会問題です。ここ数年、法律の制定や、企業への各種情報の公表義務化など、女性の社会進出をどんどん後押しする方向で進んでいます。そういった意味では今が過渡期であるとも言えるでしょう。

では、キャリアアップや理想のキャリアプラン実現のために具体的に今何ができるでしょうか。

キャリアプランの考え方

自分のキャリアを考えるためには、まずキャリアプランを立てることが大切です。ここでは、キャリアプランの考え方とポイントについていくつかご紹介します。

自分の理想の人生設計を考える

キャリアプランの正解は、人それぞれです。悩んだ時は、自分の理想の人生設計にまで立ち戻って考えることが大切です。

「人生において大事にしたいものは何か」「結婚・出産・子育て・住宅購入・移住・ジョブチェンジ・リタイアその他、何歳までにどのようなライフイベントを迎えたいか」「何を重視して働いていくのか」「自分が理想とする働き方は何か」、それによってキャリアの方向性が定まってきます。例えば、プライベートよりも仕事に重きをおいて思いっきり働きたい場合。昇進を目指す道だけが正解ではなく、他にも選択肢はあります。仕事の領域を広げたいのか、専門性を追求したいのか、人と関わりたいのか、誰かを育てたいのか。このように自分の人生でやりたいことによってキャリアプランは大きく変わります。

「自分にとって理想の人生像がわからない」という方は、一度自分が何をしている時が一番楽しいか、達成感を感じるかを考えてみましょう。自分が魅力を感じている方向に、「やりたいこと」が見えてくるかもしれません。やりたいことが思いつかない人は「何をしたくないか」という逆のアプローチを取ってみるのも良いですよ。

「やりたいこと」の見つけ方は、ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。
女性リーダーのキャリアアップのために!仕事で「やりたいこと」の見つけ方

また自分のキャリアや部下のキャリアを描く時に参考になる考え方の一つとして「人生の一つの要素としてキャリアをどう描くか」という見方もあります。この考え方に関しては下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
人生の役割からキャリアを考える「ライフキャリアレインボー」とは

社内外にロールモデルを探す

理想のライフプランを落とし込んだキャリアプランを描けたら、ロールモデルを探してみるのもおすすめです。しかし前述したように、身近にロールモデルとなる人物がいないことも多いです。

そのような時は、社外に目を向けてみましょう。最近は社外にメンターを作るサービスなども充実しており、外部の人と結びつくことが昔よりも簡単になっています。外部のサービスも積極的に利用してみましょう。

ロールモデルが見つかったら、今の生活や仕事のリズムについて具体的に聞いてみましょう。ロールモデルになる人物は、自分の理想です。今の自分の状態と比べることで、キャリアプラン達成のために何が必要なのかがわかります。その際にもし「自分には難しいかも」と思っても大丈夫。もう一度理想のキャリアプランを描き直せば良いのです。

アクションプランを考える

さて、納得できるキャリアプランが描けたら、次にアクションプランに落とし込みましょう。

あなたの理想を実現するためには、この1年何をすれば良いでしょうか。例えば昇進したいのであれば、どういった行動をすれば評価につながるかを行動ベースに落とし込みます。行動ベースにまでプランを落とし込めると、結果に○×がはっきりとつけられ、自分で自分をしっかりマネジメントできるというメリットがあります。
逆にプランを固めてしまうと働きづらくなる、という方はもう少しゆるく設定しても構いません。とるべき行動を言葉にして落とし込み、意識することが大切です。

そして可能ならキャリアプランは3年先、5年先のように未来まで描くのがおすすめです。理解のある上司であれば、あらかじめキャリアプランを共有しておくのも良いと思います。プランの実現に向けて、協力が得られるかもしれません。

また、理想のキャリアプランを実現していくためには日々のセルフマネジメントが不可欠です。セルフマネジメントについてはぜひこちらの記事もご覧ください。
セルフマネジメントとは?必要な能力・高め方・メリットを解説

女性のキャリアプラン例

続いて、女性のキャリアプラン例をいくつか紹介します。

女性管理職を目指す

「管理職を目指したい」という場合は、まず自社にロールモデルがいるかどうかを確認しましょう。いない場合は、今の上司に「管理職になるための道筋」を相談してみるのも良いでしょう。管理職の適性がどう判断されるのかは企業によるので、一概にどの力を鍛えれば良いかとは言えません。ただ管理職への推薦には上司の評価が必要となることが多く、管理職になりたいという意思を伝え、協力してもらうのが良いでしょう。

また、自社での管理職就任が難しい場合、女性の管理職を推進している会社に転職するという手もあります。そのために、今の会社でどのような実績を積む必要があるのか、一度転職エージェントに相談してみるのも良いでしょう。

先日Be myselfが実施した『管理職女性の働き方の実態に関するアンケート』では、別の女性メンバーに管理職になるのを進めたいかと言う問いに対して、実に59%が「どちらとも言えない」と答えています。管理職が合う・合わないは人によるということでしょうし、何よりもやりたいか・やりたくないかの意思が大切になるのではないでしょうか。

中間管理職が具体的にどういった仕事をしているかについては、こちらの記事もご覧ください。
中間管理職の役割とは?求められる能力やストレス対策を解説

スペシャリストになる

管理職ではなく、「今やっている仕事のスペシャリストになりたい」というケースもあると思います。

その場合、まずは専門職でのキャリアコースが自身の会社にあるかを確認しましょう。場合によっては部署異動や自分の描きたいキャリアプランに合わせて転職する、独立するなどの方法も考えられます。

なお、出産や育児をライフプランに組み込んでいる場合、転職や独立のタイミングは慎重に考える必要があります。自分の理想のキャリアプランを現実に落とし込み、実現可能な道筋を立てることが重要でしょう。

まり、該当する数値が低ければ低いほど、ワークエンゲージメントが高いと判断します。

この測定方法では「Exhaustion(疲弊感)」「Cynicism(シニシズム:仕事そのものから距離を置く無関心な態度」「Professional Efficacy(職務効力感)」という3つの尺度を用いて設問を構成し、バーンアウトの状態を数値化します。

自分の時間を大切にして働く

キャリアアップは魅力だけれど、自分の時間を大切にして働きたいという方もいるでしょう。そういった方はまず自分の時間がどの程度確保されているのが理想なのかを考えて、キャリアプランを組むと良いでしょう。

休日がしっかり確保できれば問題ないのか、余暇の時間は何時間くらい欲しいのか、毎日コンスタントに欲しいのか、何日かまとめて欲しいのか、理想の自分時間というのも人により様々です。譲れない条件を並べて、その条件を確保できる働き方を考えてみましょう。コロナ禍以降、リモートワークが推進されている会社も増えました。通勤時間がなくなる分、自由時間も増えて、プライベートとの両立がしやすくなっています。

また、育児休暇や時短勤務などの制度が充実している会社であれば、仕事とプライベートのバランスを上手くとって働いている先輩女性社員もいるでしょう。子育てしながらキャリアアップしている人に話を聞くこともできます。

理想のキャリアプランを叶える上でのポイント

最後に、理想のキャリアプランを叶える上でのポイントを挙げます。

理想を描く

キャリアプランを叶える上で大切なのは「まずは理想を描いてみる」ということです。

もちろん、今働いている会社の状況や自分を取り巻く環境など、現実的な問題はたくさんあります。ですが最初から「これもできない、あれもできない」と考えていると、モチベーションが下がってしまいますし、気分が塞いでしまいます。

まずは自分がワクワクできるような理想を描きましょう。現実問題に落として考えるのはその次で構いません。

周囲の理解を得る

理想のキャリアプランを実行に移していくためには、周囲の理解や協力が不可欠です。

育児をしながら管理職になりたい、という場合は、夫婦間での協力体制が必要でしょう。キャリアを形成していく上でやりたい仕事や、身につけたいスキルがあるのであれば、上司の協力があると心強いです。

周囲の理解がないまま自分のやりたいことを進めていくと、不和の原因やトラブルにもなりかねません。何より会社に勤めている以上、仕事は一人で行うものではなく、周りの協力を得られた方が、ずっとスムーズにキャリアプランを実行に移していけるはずです。

時には休憩も大切

最後に、キャリアプランをしっかり固めて突き進むのは素晴らしいことですが、頑張りすぎると疲れてしまいます。

特に結婚や育児といったライフイベントは、体力や精神面でも大きな変化を起こします。家事や育児で今まで通りに仕事をすることが難しくなりがちなのも事実です。そういった時に頑張りすぎると、急に糸が切れたように動けなくなってしまうこともあります。

「しんどいな」と思ったら一度足を止めて休むことも大切です。リフレッシュすることで、きっとまた前向きに頑張れるようになるでしょう。休むのは少しも悪いことではないですよ。

まとめ:自身のキャリアとしっかり向き合いながら考えよう

近年は多様化する社会の変化に応じて、女性の社会進出や活躍が積極的に推進されるタイミングでもあります。その分、女性のキャリアの選択肢が広がって来ていますが、迷った時はしっかりと自身のキャリアプランと向き合い、ぜひ理想のキャリアを実現してください。

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