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マイキャリアストーリー

『自信のベースとなる“技術の柱”を立てたい』
株式会社デンソー モビリティエレクトロニクス事業部 小坂千明さん【前編】

誰しも迷うキャリアの決断。先輩たちはいつ、何に悩み、どう決断してきたの? 現役で活躍し続ける女性たちに、これまでのキャリアの分岐点と、決断できた理由を語っていただきます。

今回は、株式会社デンソーで製品の機能安全アセスメントを担当している小坂千明さんにお話を伺いました。

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小坂 千明(こさか ちあき)さん

株式会社デンソー
モビリティエレクトロニクス事業部
電子PFシステム開発部 セキュリティ開発室
FSCSアセス課 課長

選んだのは、多様なキャリアパスがある環境

国内最大手の自動車部品メーカー・株式会社デンソーで、開発した製品の機能安全アセスメントを担当している小坂さん。ISO規格(国際標準化機構が制定した規格)に沿って正しく設計され機能安全を達成しているかを判断する、重要な役割を担っています。

2013年にデンソーに中途入社する前は、総合家電メーカーでテレビの液晶パネルのハードウェア設計に8年間携わっていました。総合家電メーカーでのファーストキャリアを選択したのは、「やりたいことを絞りきれなかったから」だと話します。
「学生時代は応用物理を学んでいました。大学進学時は、まだ『将来はこの仕事がやりたい』という明確なビジョンがなかったので、得意だった理系分野の中でも、その後の選択肢が比較的広い応用物理がいいだろうと考えました。

就職時に総合家電メーカーを選んだのは、大学院で学んだ液晶研究の知識や経験を生かせると思ったから。自分が得意とする分野は何か、まだぼんやりとしていたこともあり、入社後もいろいろな部署への異動が可能な会社に行きたかったんです。
また、特に女性はライフイベントによってキャリアが止まることもあります。専門領域を絞りすぎることで、その後のキャリアが制限されないように…という思いもありました。
就職した総合家電メーカーには多様なキャリアパスがあり、その意味でも最適な環境だと思いました」
入社後は、液晶テレビの液晶パネルのハードウェア設計を担当。自分が設計した製品が世に出ることに、メーカーならではの面白さを感じ、「製品設計にずっと携わりたい」という思いを強くしていきました。
「自分の強みや専門領域は、働きながら見つけていこう。そう思いながら、配属されたハードウェア設計に向き合っていました。キャリアについて真剣に考えるようになったきっかけは、OJT(現場の育成担当)の先輩にもらった『エンジニアは何かしら柱となる技術を持っていればどこでも生きていける』という言葉でした。ハッとさせられ、まずは自分の専門を一つ作ろうと、ハードウェア設計を技術の柱にしようと考えました」

ほかの専門領域に枝葉を伸ばしていく

”技術の柱“をどう作るか。その視点は、デンソーへの転職でも「意志決定の軸」となったといいます。
「前職は、市場に送り出す“最終製品”に携わる面白さがあった一方で、液晶パネルのハードウェア設計部分だけに設計範囲が狭まってしまう、という懸念がありました。ちょうど、会社が事業買収などで揺れ動くタイミングが重なり、『まったく違う業界で、違う製品もやってみたい』という気持ちが芽生えていきました。

そこで惹かれたのが、企業向け(BtoB)製品を主軸とするデンソーでした。消費者向け(BtoC)の家電メーカーは、どうしてもマーケティングありきで製品仕様が進む印象があり、消費者ニーズや価格設定の観点から、最先端技術を使った設計に制約が生じることも少なくありません。もちろん、制約の中で仕様を作りこむ面白さもありますが、企業向け(BtoB)製品ではまた違った視点が求められるでしょう。デンソーという、世界トップクラスの技術を持つメーカーに入ることで、顧客ニーズを技術的にどう満たすかを考えられるのではないか。どっぷりと技術に浸かれるチャレンジングな環境として、とても魅力を感じました」
デンソーに転職後は、自動車に搭載するヘッドアップディスプレイ(フロントガラスに車速やナビのルート案内などの情報を映し出すシステム)のハードウェア設計を担当。お客様から出てくる仕様要件を精査しながら、技術面でもコスト面でも最良のものを提供することに面白さを見出していったといいます。
その仕様の中に“機能安全”のISO規定が組み込まれ、設計の立場から“機能安全”に携わった経験が今のキャリアにつながっていきました。
「ハードウェア設計に、前職で8年、デンソーで6年携わってきました。テレビでも自動車部品でも一定の知識と経験を身につけられた。そんな自信がついてきたとき、『このままハードウェア設計者として技術を極めていくのがいいのか、ほかの領域に枝を伸ばしていくのがいいのか』、考えるようになりました。

そんな中で、目に留まったのが“機能安全”です。“機能安全”とは、もともと危険性を有するものに対して、安全機能を持つシステムを用いることで許容できる範囲までリスクを減らすという考え方です。
この考え方は、自動運転技術の進化とともに、ますます重要になります。故障しない車を作るのももちろん大事ですが、故障が起きた時にいかにリスクを減らしドライバーと歩行者を守れるか。そうした視点で安全性をとらえる考え方そのものが面白いなと思っていました。

そこから、『 “機能安全”を新たな技術の柱として専門的にやってみよう』と考え、2021年、異動希望に手を挙げました」

「後編記事」につづきます



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写真:Astudio 齊藤朱里
取材・執筆:田中 瑠子

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