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マイキャリアストーリー

『人生の主人公に代わりはいない』
NEC・人材組織開発統括部 大橋康子さん【前編】

誰しも迷うキャリアの決断。先輩たちはいつ、何に悩み、どう決断してきたの? 現役で活躍し続ける女性たちに、これまでのキャリアの分岐点と、決断できた理由を語っていただきます。
今回は、日本電気株式会社(以下、NEC) 人材組織開発統括部の大橋康子さんをインタビュー。採用のキャリアにつながった、これまでの仕事の選択について伺いました。

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大橋康子(おおはし・やすこ)さん

日本電気株式会社 人材組織開発統括部 タレント・アクイジショングループ ディレクター
営業からキャリアをスタートし、新卒、中途採用媒体の立上げ・制作に関わる。人事採用コンサル・アウトソーシング企業を経てインハウス人事へ転向。LINE株式会社にて中途採用、HRBPリードの経験を積み、2021年よりNECにて中途採用のディレクターに従事。

今あるものを生かして最先端を取り入れる
NECの組織変革に飛び込んだ

- 年間600名の中途採用を進め、組織変革を続けているNEC。2021年に入社した大橋康子さんは、採用全体を統括するディレクターとして、20人以上のチームメンバーを束ねています。
前職のLINEでは、600人ほどだった従業員数を一気に1800人まで増やしていく組織拡大フェーズで、中途採用を担当。そこで見えてきた組織課題に向き合うべく、HRBP(人事・人材開発等における経営者・事業責任者のパートナー)組織の立ち上げにも携わったといいます。
急成長を遂げたベンチャー企業・LINEから、124年もの歴史を持つ大企業・NECへ。「無から有を作るのではなく、すでにあるものを生かしながらより良くしていく」チャレンジが、魅力的だったと話します。
「LINEに入った2014年当時はちょうど採用が本格化するフェーズでした。常時500ポジションで採用ニーズがあるくらい、毎日新しいことが次々と起き、制度や仕組みがなければ作り、“荒野に町をつくる”かのような6年間でした。
一方、NECは“規制の多い古都”に近いものがあるかもしれません。でも、古い町並みのいいところは残しながらも、最先端のトレンドを入れていこうという組織変革は、私にはやったことのない領域でした。新しい挑戦だからこそ、学びがあると思ったんです」

約3000社の人事との出会いが
「採用を変えたい」という思いにつながった

- インハウス人事を2社経験している大橋さんが、これまでのキャリアで大事にしてきたのは「採用のあり方を変えたい」という思い。そもそも、採用や人事領域に関心を持ったきっかけは何だったのでしょう。
「学生時代は、世の中にどんな業界や職種があるのかすら、よく分かっていませんでした。ただ、長く働き続けるためのライフプランについてはそれなりに考えていたんです。20代は何が得意で不得意なのか、何が好きか嫌いかもわからない時期。ひとまず、与えられた仕事は何でもやろうと決めていました。得意なことや好きなことが見つかったら、一歩深く踏み込んでいくのが30代。できれば小さい会社で経営とは何かを学びたいと思っていました。40代になれば、この分野で食べていこうという道が見えているはず。自分なりの正解やインパクトを残し、50代になったら社会に還元しようと、人生を設計していました」
- 20代は与えられた仕事を何でもやると決めていた大橋さん。そのため、どんな仕事でキャリアをスタートさせるか、特段こだわりはなかったといいます。そんな大橋さんが、就職活動を進める中で、「働いている人が皆、自由でユニークだった」と選んだのがリクルートグループの制作会社、リクルートメディアコミュニケーションズでした。そこで、多くの人事担当者と出会ったことが、採用への課題意識へとつながっていきました。
「入社後は営業職からスタートし、紙媒体の制作やWeb媒体の立ち上げも任されるようになりました。それまでリクナビは、それぞれの営業担当が受注から制作までをワンストップで担当していましたが、ほどなくして、制作がセンター化されることとなり、そのお客様対応チームのリードを私が担うことになりました。約3000社の人事の方々と話す中で、だんだんと各社がどんな採用をしているのかが見えてきて。すると、『どうして、そんな採用をするんだろう』『どうして、そんな考え方なんだろう』と疑問に思うことが増えてきたんです。こうした疑問が、採用に目を向ける原動力になりました」
- 1社だけではなく、できるだけ多くの企業の採用課題に向き合いたいと、採用業務のアウトソーシングを請け負う会社に転職した大橋さん。10年間で、上場・非上場、内資・外資と約60社の採用プロジェクトを担当し、新卒・中途、派遣や業務委託、障がい者採用とあらゆる採用形態に携わりました。
「目の前に解決すべき課題があり、提案から実行まで短期のプロジェクトベースでお客様と一緒に取り組んでいく。その働き方が大好きでした。やればやるほど知識がついていきますし、採用を通じて経営課題に触れられるところも刺激的でした。でも、だんだんと採用課題と解決方法のパターンが見えてくるようになり、自分が描いた通りにプロジェクトが進んでいくことが、”同じことの繰り返し“と感じるようになってしまったのです。私が持つナレッジをすべて注ぎ込んだら何が起こるのか。計画と実行、検証と改善までトータルで見られる自由なフィールドを探していたとき、LINEに出会いました」
- 組織拡大のフェーズにあり、採用が経営課題に直結していた当時のLINEは、これまでと違うチャレンジができる、大橋さんにとって理想のフィールドだったといいます。
「新しい社員が一人入ることで事業が伸びていったり、新規事業の部署を丸ごと採用したりと、今日と明日の景色が一変していく毎日でした。組織をリードする執行役員と一緒に採用を進めることも多く、人を採用するとは、経営そのものなのだと肌で感じる日々。その中で採用だけでなく組織で起きる課題に向き合いたいと考えるようになり、約3年の採用担当を経て、HRBPを立ち上げました」
- 事業拡大に伴う変化が激しく、組織課題は尽きることがなかったというHRBPでの3年間。ふと自分のキャリアを振り返り、「やっぱり採用が好きだ」という思いに気付いたといいます。
「採用の仕事は、その会社の扉を守る仕事だと思うんです。候補者にとって、入りたいと思う扉になっているか。開けたときに居心地が良さそうだなと思ってもらえるかどうか。
ここにはあなたの希望が叶うチャンスがありますよと、直接話ができるのが採用の仕事です。夢と希望を語れる、ほとんど唯一の職種だと思い、新しい環境でもう一度採用に向き合おうと考えました」

「後編」に続きます。

■大橋康子さんのインタビュー動画






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写真:MIKAGE
取材・執筆:田中 瑠子

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