『仕事を楽しむために自分の“得意”を知ることが大事』
MIXI・みてねプロダクト開発部 小野寺旬さん【前編】
誰しも迷うキャリアの決断。先輩たちはいつ、何に悩み、どう決断してきたの? 現役で活躍し続ける女性たちに、これまでのキャリアの分岐点と、決断できた理由を語っていただきます。
今回は、株式会社MIXI みてねプロダクト開発部 プロダクト開発Mグループ マネージャーの小野寺 旬さんにお話を伺いました。
小野寺 旬(おのでら じゅん)さん
株式会社MIXI
Vantageスタジオ
みてねプロダクト開発部
プロダクト開発Mグループ マネージャー
チームでモノづくりを進め、職種を“越境”する働き方に強みを見出した
- スポーツ、ライフスタイル、デジタルエンターテインメントなど幅広い事業領域を持ち、各種サービスを展開する株式会社MIXI。小野寺旬さんは、子どもの写真・動画共有アプリ「家族アルバム みてね」事業部でエンジニアリングマネージャーを務めています。担当しているのは、写真プリントやフォトブック、DVDなど、写真をもとにしたアナログ商材を提供するサービス。機能開発を手掛けるエンジニア5人のピープルマネジメントや、エンジニアの成果を最大化するためのサポート業務を担っています。
小野寺さんがMIXIに入社したのは2022年7月。エンジニア職一筋でキャリアを築いてきた中で、多様な職種のメンバーがワンチームで動く働き方に惹かれたといいます。 - 「『家族アルバム みてね』では、エンジニアとデザイナー、プロダクトマネージャー、QA(品質保証)が1つのチームを組んで、プロダクトに向き合っています。MIXI全体は大きな組織ながら、それぞれの事業領域で小さなチームが権限を持っていて、仮説検証を繰り返すアジャイルなやり方の価値が認められている。良いプロダクトを作ることに真摯に向き合う姿勢がいいなと思い、入社を決めました」
- エンジニア職としてファーストキャリアをスタートさせ、大手IT企業からWeb系の事業会社まで、これまで3社を経験してきた小野寺さん。大学ではデザインやプログラミングを広く学び、「ロジカルに考えながらモノづくりに携わるエンジニア職」に、自分の“好き”と“得意”を生かせそうだと感じたといいます。
- 「もともとデザインや絵を描くことが好きで、モノづくりの道に進みたいと思っていました。でも、大学の授業で多くのグループワークを経験し、クリエイティブな発想力はそんなになさそうと気づかされた。周りのメンバーの意見を束ねながら、ロジカルに道筋を立てていくほうが自分の力を発揮できそうだと思うようになったんです」
- 大学卒業後に入社した大手IT企業では、150人いたエンジニア職の同期の優秀さに「この世界ではやっていけない」と早々に挫折感を味わっていたそう。「技術力の点では、今も自信はない」と笑いますが、いろいろな立場の人の思いを汲んでシステムや仕組みに落とし込んでいくプロセスに、だんだんと強みを見出していきました。
- 「1社目のIT企業では情報システム部に配属され、社員が使う業務システムの開発などを担当しました。ほぼ未経験からプログラミングスキルを叩きこんでもらう中で、消費者向けのサービス開発をやってみたいという思いが芽生えてきました。5年ほど在籍していたので、働く環境を変えてみたいな…という好奇心もあって。マンガや本が好きだったことから、電子書籍のEC事業を手掛ける会社に転職しました」
- そこで、電子書籍の配信に向けた、社内用の業務システムの開発を手掛けた経験が、他職種との連携に面白さを感じるきっかけになりました。
- 「そのプロジェクトは、社内の運用チームの課題を吸い上げ、要件定義への反映や設計まで任される自由度の高い案件でした。手を動かしてモノを作るだけのエンジニアではなく、別の組織の人とコミュニケーションを取りながら物事を動かしていく。そんな経験を経て、エンジニアが越境して多様な立場の人と一緒に改善していくことで、チームにいい影響を与えられると気付かされたんです。
特出した技術を持っていない私でも、チームでモノづくりを進めていくためのソフトスキル面では、強みを発揮できる。そう思えてから、エンジニアとして、自分なりの居場所を得た気がしています」
産休・育休で約1年半仕事を離れ、仕事の意味を捉え直した
- 次に小野寺さんが選んだのは、女性向けメディアとECモールを手掛けるWeb系サービス会社でした。電子書籍を手掛けていた前職は組織規模が大きく、業務委託メンバーの管理や調整業務が多く発生していました。「より小規模な組織で、自ら手を動かす側でいたい」と、小さなチームで働ける環境を求めて転職を決意したそう。
そこで働くなかで大きな転機となったのが、妊娠・出産を経験し、一時的に仕事から離れたことでした。 - 「子どもが0歳のうちに保育園に入れて復帰する予定が、落選してしまい育休を延長することになりました。結果的に、1年半ほど仕事から離れることに…。コロナ禍も重なり、家の中で子どもと二人きりで過ごす時間がとても長くなり、改めて、『働きたい!』と強く思うようになりました。これまで、仕事を通して社会との接点を持っていたこと、それが自分にとってやりがいや楽しさにつながっていたことを実感しました。
出産前は、職場復帰できなくてもそれはそれでゆっくり過ごせばいいかな、などとのんびり構えていたのですが、実際には、家にいるだけでは得られない充実感を思い出して渇望するようになっていったんです。仕事への思いが日に日に高まっていた感じでした」
- 復帰後は1日7時間の時短勤務を選択しましたが、やってみると、フルタイムでやっていたときとパフォーマンスや役割がそこまで大きく変わらないことに気付いたといいます。「もっとできる!」という思いの強さから、職場環境や働き方に物足りなさを感じるようになった小野寺さん。MIXIへの入社へとつながっていきました。
- →「後編記事」につづく
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写真:MIKAGE
取材・執筆:田中 瑠子