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マイキャリアストーリー

『マネージャーの仕事の面白さや価値を伝えたい』
エッジコネクション 取締役 趙美紀さん【後編】

誰しも迷うキャリアの決断。先輩たちはいつ、何に悩み、どう決断してきたの? 現役で活躍し続ける女性たちに、これまでのキャリアの分岐点と、決断できた理由を語っていただきます。

今回は、前回に引き続き、株式会社エッジコネクションで取締役を務める趙美紀さんにお話を伺いました。

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趙美紀(ちょう・みき)さん

株式会社エッジコネクション 取締役
東京都世田谷区出身。多摩大学経営情報学部卒業。スターバックスコーヒー玉川高島屋S・C店にてSSV(シフトスーパーバイザー)として約60名を統括後、飲食店店舗責任者を経て当社入社。営業責任者として実績を残し取締役就任後、経営企画関連業務を立ち上げ、管掌。

人材育成では
本人が“考える”プロセスが大事

― 2017年に、営業コンサルタントとしてエッジコネクションに入社した趙さん。飲食領域からのキャリアチェンジとあり、当初はわからないことだらけでした。しかし、そこで発揮されたのが、持ち前の貪欲さ。上司だった社長に「何か指摘はありませんか?」と貪欲にフィードバックを求め、改善点を一つ一つ潰していく作業を重ねていきました。
「社長の大村(康雄)は、金融業界から独立してエッジコネクションを立ち上げた人。営業力を上げるためのノウハウには明確なロジックがあり、それが再現性に裏付けられていました。私からすれば、目の前にハイスペックな辞書があるという感じです(笑)。こんな学びのチャンスはないと思い、商談に同席するたびに、『なぜあの話をしたんですか?』『どんな意図があったんですか?』と質問攻めにしていました」
- 「疑問はその場で解消する」ということを徹底した結果、営業成績も自然についてくるようになったといいます。
「『お客様のために何ができるのか』と考え抜いていると、お客様にもその思いは伝わりますし、自分に足りないところもすぐに見えてきます。だから、自分の力だけでは越えられない壁にぶつかったときでも、ひたすら『お客様のために』という思いで、先輩をはじめ周囲に相談して何かしらの糸口を見つけようと動き回っていました。それが結果として、お客様からの信頼につながるのだと、実践を通して学ぶことができました」
- こうした姿勢もあり、入社以来、連続で営業目標を達成。その実績を買われ、2019年には取締役に抜擢されます。大きなポストへの挑戦を、趙さんはどう捉えたのでしょうか。
「お客様への価値提供を追求していくと、『なぜこの業務が必要なのか』『何のためにやっているのか』と、知りたいことがますます増えていくんです。求められている役割は何かを明確にすることが、私にとってはすごく大事なこと。『なぜやるのか』を自分の中で理解し納得した上で動きたいという思いが強いんです。社長に疑問をぶつけていたら、『一度、会社全体のことを見るポジションについてみて、思う存分知りたいことを追求していってはどうか』と提案されました。自分の中のモヤモヤを解消できるポストとして、取締役についたという感覚でした」
- 現在は、経営企画本部の3人のメンバーとともに、SNS戦略や広報案件の獲得、人事計画の立案などを手掛けながら、他部署の部長職の育成も担当しています。メンバー層でもマネジメント層でも、“育成”の本質は変わらないという趙さん。心がけているのは、「本人に考えてもらうこと」だと話します。
「マネジメントの仕事には正解がないので、誰もが不安になるのだと思います。『趙さんだったらどうしますか』『これでよかったんでしょうか』と“答え”を求める質問や相談は多いのですが、簡単に答えを言わないようにしています。私の出した答えが必ずしも正解ではありませんし、本人がどう考えて動くかが大事。頭で理解したつもりでも、現場に戻って実践できるかはまた別の問題です。“わかった”と“できる”をリンクさせて、本人が『こうかもしれない!』と気づくことを何よりも重視したい。そのために、『〇〇さんはどう思いますか?』とまず聞き返すときもありますし、先に大まかな目的や方向性のポイントを伝えて、考えるための軸作りをお手伝いすることもあります。」

期待されることは素敵なこと
新たに立った場所から視点が広がる

- かつては、「いかに自分のキャリアを追求するか」を考えていたという趙さん。取締役を務めて4年が経った今、「会社のために自分自身はどうあるべきか」と自問自答することが増えたといいます。
「人事・採用戦略を考える立場として、社員を増やして利益の拡大を追求すると同時に、働くメンバーの成長にももっとコミットしていきたいです。私自身の経験から言えるのは、マネージャーの仕事はすごく面白いということ。目の前の人がどんどん変わっていく姿を見られるのは、本当にやりがいのある仕事だと思っています。だからこそ、多くのメンバーがそのポジションに立てるように、社員数を増やし、マネジメントポジションを増やし、そこに就くチャンスをたくさん生み出していきたいと思っています」
- 現在、マネジメントポジションの半数以上を女性が務めているというエッジコネクション。20時以降の強制退社や社内ツールの使用禁止など、残業を良しとしない社風が制度設計にも表れ、「働くときは働く」「休むときは休む」と、メリハリをつけやすい環境があります。また、日々の業務効率や成果が数値化されるデータベースの活用により、自分が会社に提供している“価値”を可視化できることも働きやすさにつながっていると趙さんは話します。
「マネージャーになったばかりの社員からは、『自分でよかったのか』『務められるのだろうか』という不安をよく相談されます。でも、マネージャーになったということは、期待されているということ。それだけで素敵なことなのだから、まずはやってみたらいいと背中を押しています。
器が人を育てる、というのはその通りだと思うんです。そのポジションについたからこそ、経験できること、分かることがある。自分の良さに気付くこともあるでしょうし、周りのメンバーに対しても、『こんな良さを引き出したい』と新たに見えてくることもある。やってみるということには、それだけで価値があります。それを伝え続けることで、マネージャーの仕事の面白さを味わえる人を、一人でも多く増やしていきたいです」

「前編記事」





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写真:MIKAGE
取材・執筆:田中 瑠子

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