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仕事に効く話

潮田玲子さんに聞く、キャリアのつくり方。「子育て中でもキャリアを諦めなくて良い」

キャリアや仕事、人間関係、健康、家族、恋愛…。悩み多き現代女性たちに寄り添う人気企画「お悩み相談室」。今回の回答者は、元バドミントン日本代表の潮田玲子さん。現在は日本バドミントン協会の理事を務め、コメンテーターとしても活躍される潮田さんに、キャリアの悩みに答えていただきました。

潮田 玲子さんのイメージ画像

潮田 玲子さん

元バドミントン日本代表/バドミントン協会理事/一般社団法人Woman’s ways代表
1983年生まれ、福岡県出身。
幼少期からバドミントンを始め、小学生のときに全国小学生大会女子シングルスで全国3位入賞。中学3年時には、全国中学生大会女子シングルスで初の全国大会優勝を果たす。その後、女子ダブルスでペアを組んだ小椋久美子さんとの“オグシオ”ペアで、全日本総合選手権大会女子ダブルスを2004年から5年連続で制覇。2008年には北京オリンピックに出場し、5位入賞を果たした。
2009年からは池田信太郎さんとの“イケシオ”ペアで活動し、全日本社会人大会、全日本総合選手権大会で優勝。2012年には混合ダブルスでロンドンオリンピックに出場し、同年9月に現役を引退。
2014年より公益財団法人日本バドミントン協会の広報委員会を務め、2025年からは理事およびアスリート委員会委員長を務める。2021年には、一般社団法人Woman’s ways代表に就任。

子育てを優先している今、キャリアが止まっているようで不安


(30代・IT業)

育休から復帰してマネージャーとして仕事を任せてもらっています。

ただ、同年代の男性が先に昇進していて、自分はこの先どうなるのか少し不安です。子どもが小さいので今は仕方ないと思う一方、このままキャリアが止まってしまうのも嫌で、転職も含めて考えた方がいいのか悩んでいます。

潮田さんも現役を引退して新しい仕事に挑戦しながら、結婚や子育ても経験されていると思います。仕事と家庭の両方を大切にしながら、自分自身のキャリアも諦めないためには、どんな考え方をしたら良いのでしょうか。

また「今は子育て優先」と考えることと、「本当はもっと上を目指したい」という気持ちをどう両立させれば良いと思いますか?




潮田さんの回答「子育てを優先する時期に、キャリアが止まっているわけではない」

「今は子育てを優先すること」と「キャリアを諦めること」は、まったく別のことです。子どもが幼い時期に、以前と同じ働き方ができないのは自然なことですが、それはキャリアが止まったという意味ではありません。働き方のかたちを変えながら、これまでとは異なる経験や力を蓄えている期間だと捉えてみてください。

アスリートのキャリアにも、けがや不調で思うように練習ができなかったり、試合で結果が出なかったりする時期が誰しもあります。でも、その一見止まっているように感じてしまう期間に積み重ねたことは決して無駄ではなく、後になって大きな力になることがあります。

同年代の人が先に昇進していくことへの焦りについても、全員が同じタイミングでピークを迎えるわけではありません。人にはそれぞれのタイミングがあるので、「もっと上に行きたい」という気持ちを持てていること自体に価値があります。子どもがいることを理由にキャリアに自ら限界線を引くのではなく、目標を持つことは手放さないでほしいと思います。

私も11歳と9歳の兄妹の子育て中です。子どもがまだ小さかった頃、「仕事をセーブしていた時期」とは捉えていませんでした。子どもがいても、自分にとってプラスになると感じたことには、挑戦してきました。もちろん、子どもを預けて仕事へ向かう際には、迷いや後ろ髪を引かれる思いもあったものの、「自分がやりたい」と思うことには取り組みました。例えば、妊娠中や産後に育児セラピストや野菜ソムリエの資格取得にも挑戦しました。そうやってこれまで取り組んだことがない分野に触れたことが、後々の仕事につながっています。

勤務時間が短くなったり、以前のような働き方が難しくなったりする時期でも、それを「蓄える時期」と考えれば、できることはあるはず!特に管理職であれば、子育て中の短時間で成果を出す工夫や、限られた時間のなかで優先順位をつける経験は、マネジメント力にもつながり、将来のキャリアにおける強みになり得るのではないでしょうか。

また転職については、現在の会社に残るか辞めるかという二択で考える前に、「自分は本当は何がしたいのか」を見つめることが最も重要です。家族も自分も大切にできる働き方とは何か、そして今の会社でそれを実現できる可能性があるのかに目を向けてみてはいかがでしょうか。

子育てを優先することは、自分自身が選んだ道でもあります。その選択を他人や子どものせいにしないためにも、自分が納得できる選択を重ねることが重要です。家庭、仕事、自分自身に割く比重は、年齢やライフステージによって変化します。その時々に自分の人生をデザインしていくことが理想的だと思います。


頑張っているのに結果が出ず、仕事のモチベーションが低下


(30代・広告)

最近、仕事で思うように成果が出ず、「自分にはこの仕事が向いていないのでは?」と落ち込むことがあります。出世する未来も見えづらく、やる気も徐々にダウン。でも、仕事はしなければならない状況。

潮田さんも、現役時代に思うようにいかない時期はありましたか?そんなとき、どのように気持ちを切り替え、次の挑戦に向かっていましたか?頑張っているのに報われないと感じたとき、前を向くために大切なことを教えてください。




潮田さんの回答「結果が出ないから価値がないわけではない。我慢の先に結果がついてくる」

アスリートって、調子が良い時期は短くて、結果が出なかったり思うようにいかなかったりする時期の方が圧倒的に長いんです。ほぼほぼそんな時期と言っても過言ではないくらい(笑)。私も「こんなに練習したのにまた勝てなかった」の繰り返しでした。

そんな状況のとき私が大切にしていたのは、結果が出ないからといって自分に価値がないわけではないという考え方。

頑張っているのに結果が出ないと「やっぱり向いてないのかな」と思うのは自然なこと。でも、スポーツも仕事も、努力と結果がいつも比例しているわけではないですよね。うまくいかないときは、モチベーションが低くても良いと思います。あくまで「その日出せる100%」で働けば良いんじゃないでしょうか。

だから、例えば普段に比べて思い通りのパフォーマンスが出せなかったとしても「こんなにモチベーションがない中でよく頑張ったな」って認めてあげてほしい。私だったら「そもそも練習に行っただけでもえらいわ」って思ったりしていました(笑)。

あとは、うまくいかないときほど一度立ち止まって「私は本当はどうしたいんだっけ?」というのを自問自答することも大切。私の場合は現役選手時代、「なんのために競技をやっているかわからない」と思うこともあって。そういうときって、やっぱりモチベーションも保てないし、伸びないんですよ。

なぜ競技をやっているのか、その意義や目的が明確になったときに、先が見えない状況から抜け出せました。特に私が覚えているのは、北京オリンピックが終わってダブルスから混合ダブルスに転向したとき。自分で転向すると決めたものの、全然結果が出なくて「やっぱりダブルスの方が向いていたのかな」とも思いましたし、暗いトンネルの中を歩いているような時期が2年間続いていて。でもやっぱり自分で決めたことだし「途中で投げ出すのは違う!」ということをモチベーションにして耐えていました。

結局、結果が出る人と出ない人の違いって、我慢できるかどうかでもあると思うんです。もうちょっと頑張ればすごい結果が得られるはずなのにその手前でやめてしまうことって多いはず。高校卒業後に社会人としてプレーするタイミングでも、当時の顧問に「3年間は絶対粘れ」と言われていました。本当にこのままやっていけるのかなと思いながらも頑張っていたら、やっぱり3年目に結果が出始めたんですよ。

あとはもしかしたら努力の仕方が違う可能性もあります。一度やり方を変えてみるチャレンジをしてみるのも良いかもしれませんね。人によってブレイクする転換点って異なるので、前向きにいろんな工夫をしながら、そこまで待ってみてはいかがでしょうか。

やりがいを感じない仕事。新しい挑戦がしたい!


(30代・メーカー事務職)

やりがいよりも安定で選んだ今の仕事。大きな不満はありませんが、「このままでいいのかな」と感じることがあります。周りの友人がやりがいを感じながらキラキラ働いている姿を見て、羨ましくも思います。

「安定しているから」だけでこの先長く働けるのか。これが天職と言えるのか。新しいことに挑戦してみたい気持ちはあるものの、それが何かも見つかりません。

潮田さんは、長年続けてきたバドミントンを引退し、そこから新しい仕事に挑戦されてきたと思います。どのようなタイミングで自分の進むべき新たな道を決めましたか?また、どうやってそれを見つけましたか?




潮田さんの回答「仕事だけで自己実現しなくても良い。まずは趣味として好きなことを見つけてみては?」

私自身、アスリート引退後のセカンドキャリアは本当に悩みました。「やりたいことってなんだろう?」と考えても、正直なかなかわからないものです。

私の場合は、「やってみないとわからないこともたくさんあるから、とにかく声がかかったものをやってみよう!」と思い、まずは飛び込んでみてから、向いている・向いていない、楽しい・楽しくないという線引きを繰り返し、今の状態に辿り着きました。だからフットワークの軽さはすごく大事なのかなと思います。

ただ、相談者の方が現在すごく安定しているお仕事で大きな不満もないというのは、とても理想的な状態だとも感じます。もちろん、好きなことを仕事にすることは素晴らしいことではありますが、好きなことを別に仕事にしなくても良いし、無理に仕事にやりがいを感じなくても良いのかなとはちょっと思います。

好きなことって、仕事以外でも良くて。自分が「楽しい」と思えることに趣味やプライベートで情熱を注ぐのも一つかなと思います。もしそれが見つからないのなら、やっぱり自分から見つけにいかなきゃいけないと思うんですよね。

アンテナを張って、自分がキャッチできることをキャッチして楽しむ。習い事に通ってみたり、お散歩してみたり、ちょっと気になることを経験してみたり。長い人生、仕事が全てではないので、トータルで見たときに仕事も充実していて、好きなこともしていてプライベートも充実しているというのが理想的なのかなと思いました。

【回答まとめ】

・子育てを優先する時期も、キャリアを「蓄える」時間。自分の目標まで手放さない

・結果が出ないときは、自分を責めずに「今できる100%」を積み重ねる

・答えを探し続けるより、まず動いてみる。経験が次の道をつくる



(取材・執筆:菱山恵巳子)

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