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仕事に効く話

管理職のリスキリングには、PRスキルがお勧め

管理職になると、これまで以上に多彩な能力を求められる場面が増えていくのではないでしょうか?

最近は「リスキリング」という言葉もニュースでよく聞くようになり、何かを始めないといけないと思いつつも、どのような新しいスキルを身に付けていけばよいか迷っている人も多いのではないかと思います。

今回はそういった方のために、組織やコミュニティ内で唯一無二の存在となるためのスキル、「PRスキル」をご紹介します。

PRスキルとは?

そもそも、PRスキルと聞いて、それがどのようなものかピンと来る人は少ないのではないでしょうか。

PRはパブリックリレーションズ(PublicRelations)の略語になります。「組織を取り巻く個人や集団との良好な関係性の構築」という意味を持つ言葉です。
もっと分かりやすく説明すると、第三者と信頼関係を築く活動のことを指します。

PRについては、企業の宣伝活動の一つである“広告”と混同する人が多くいますが、広告とPRは全く別物です。広告は、広告予算を使い企業や個人が自分たちの都合で出すタイミングを設定でき、自社の商品のここが良いです!と「自ら発信できる活動」のことです。
一方で、PRは第三者が良いと思った商品・サービスを「広げる活動」です。
信頼や協力体制を作ることが大事であり、共感を得ることで広がっていきます。

両者の違いを説明するうえでよく言われるのは、広告は「Buy me(買って欲しい)」、PRは「Love me(好きになって欲しい)」ということです。

一方的な発信ではなく、メディアなどの第三者を通じて自分たちのファン(共感者)を増やす活動がPRになります。
PRというと、企業が行うイメージがあるかもしれませんが、私たち個人個人も行うことができます。PR力を高めることで、皆さん個人のファンを増やし、信頼関係を築くことができるのです。

PR力が高い人を一言で言うと

・伝える力
・情報収集力
・他者との関係構築力

上記3つの力を持っている人だと私は考えます。


正確に情報を社内・社外に伝える力、メディアやクライアント、お客様はもちろんのこと、社内の様々なところから情報を得る力、
また、信頼を得て協力を促すという部分でリレーションを築く力はPRとしてとても大事になってきます。

管理職にこそ必要な“PR視点”

PRをするためには、社内の情報を集め、世の中の動きに目を向け、どんな情報が流行っているのか、社会課題になっているのかをキャッチアップすることが大事になってきます。

そういった、ある意味、常に情報収集をしながら適材適所で最適な判断をするというところは管理職にも求められている部分ではないでしょうか。

管理職になるまでは、個人のパフォーマンスを上げ、成果を出すことだけが求められていたと思いますが、管理職はそうはいきません。
部下を育成し、目標達成のための業務を遂行させることや、経営層の考えを部下に浸透させ、同じ方向を向いて成果を最大限発揮させることで部下の評価を上げる必要があります。

情報を正しく伝えなくてはいけないですし、同時に部下の考えも汲み取って指導していく必要もあります。


他部署や会社の状況を瞬時に判断することで、自分の部署での役割を明確にし、業務に落とし込んでいく。その、「多角的に情報収集し、わかりやすく伝える部分」こそ、PRに通ずると思っています。

PRスキルが身に付くことによるメリット

企業などが行うPR活動の大きな部分は、「メディアPR」といって、メディアに対して、情報をお届けする活動が主なのですが、その事前準備として、私たちはメディアの研究を念入りに行います。

自分たちが出したい情報ではなく、相手が欲しい情報はなんだろう?をまず考えます。

もちろん、自分たちの商品・サービスを知ってもらいたく掲載されたいと思うので、自分たちが出したい情報を届けるのですが、まず考えるべきは、自分たちの商品・サービスがどうやったら魅力的に映るのかではなく、相手はどういう情報を求めているか?なんです。


例えば雑誌であれば、「年代はどのくらいの層が読者層なのだろうか?」「コンセプトは何か?」をきちんと調べ、出す情報を変えます。

仮に「女性限定エステ」を行っている会社だとして、30〜40代の女性に知って欲しいということであれば、

その雑誌が求めているのが、40代のバリバリ働く女性に向けた情報ということであればマッチしますし、求めているのが、50〜60代の男性向けの情報ということであればその雑誌は「女性限定エステ」の情報は求めていないということになります。

露出すれば良いということではなく、メディアが出したい情報と自分たちが出したい情報というのがマッチする必要があるのです。

このように、「相手に合わせた提案を考える」という癖づけができるのがPRスキルになります。

また、「簡潔にかつ、正しく情報を伝える」という部分も、PRスキルの大事な要素です。

企業がPRを行う際、説明のわかりやすさを重視して、どんどん言葉が付け足されていくことがあります。しかし、1番大事なのは「情報が正しく伝わるか」という部分です。
簡潔に正しく伝えるために、ときに、言葉を削ぐ必要があります。


このようなスキルは、組織の中で、経営者の思いや言葉を部下に伝える際や、逆にチームや部署の情報をトップの経営者に伝える際にも有効になります。

これまでのスキルと掛け合わせて唯一無二の人材へ

これまでの話を総合すると、PRとは「コミュニケーション全般の活動」とも言えます。
特に、PRの本質である「思いを汲み取り発信する力」は、管理職の方が今後、より経営層に近いポジションになった際にも発揮されるのではないでしょうか。

また、例えばメディアPRをする上では、(1)企画検討、(2)プレスリリースの執筆、(3)メディアへの連絡、(4)取材立ち会いなどが必要となりますが、これらに対応するために、思考・ライティング・アプローチ・対面コミュニケーション等のマルチなスキルが培われることになります。

こうした面からも、PRスキルの習得は、日々の業務でマルチなスキルが求められる管理職にとても適していると考えられます。


私が運営するPR塾には、PR未経験の会社員をはじめ、経営者や個人事業主、専業主婦など様々な立場の方が参加していますが、皆さん口を揃えて「学んで損がないスキルだった」と言ってくださいます。

PRスキルを学んだ結果、
・元々あったスキルとPRスキルを掛け合わせ、社内キャリアの充実に生かした人
・PR職に職種変更した人
・自社(または個人事業)の売上を伸ばした人
・副業・複業で新たな収入の柱を作った人(塾生・卒業生の平均:5〜20万円/月ほど)

なども多くいます。


リスキリングの一環で「PRスキル」を学ぶことは、まだ一般的ではないかもしれませんが、PRスキルは間違いなく今後のキャリアの可能性を広げるスキルになります。

経営層に近い立場にある皆さんにこそ、ぜひPR力を身につけていただきたいです。

株式会社LITA 笹木 郁乃(CEO PRプロデューサー)のイメージ画像

株式会社LITA 笹木 郁乃(CEO PRプロデューサー)

1983年、宮城県生まれ。山形大学工学部卒業。愛知県の自動車部品メーカーに研究開発職として勤務後、寝具メーカーのエアウィーヴや鍋メーカーの愛知ドビーでPRを担当し、売上拡大に貢献する。2016年に独立し、2017年にPR会社(現・株式会社LITA)を設立。企業向けのPR支援や、経営者や個人事業主にPRスキルを伝える「PR塾」などを展開している。著書に『SNS×メディア PR100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)、『0円PR』(日経BP)など。

株式会社LITA会社 HP
インタビュー記事①
インタビュー記事②

 

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