『違いを前提にコミュニケーションをとっていく』
キヤノンマーケティングジャパン ichikara Lab 室長 吉武裕子さん【前編】
誰しも迷うキャリアの決断。管理職として活躍する女性はいつ、何に悩み、どう決断してきたのか。キャリアの分岐点と、決断できた理由を語っていただきます。
今回は、キヤノンマーケティングジャパン株式会社でichikara Lab(イチカララボ) 室長を務める吉武裕子さんにお話を伺いました。
吉武 裕子(よしたけ ゆうこ)さん
2005年、キヤノンマーケティングジャパンに新卒入社。インクジェットプリンターの販売促進、商品企画業務を経て2020年に「ichikara Lab」立ち上げに携わる。2024年より室長(課長職)として、若年層へのマーケティング強化と新規顧客層へのリーチを担当している。
生活を明るく彩る、キヤノン製品に惹かれた
- キヤノン製品の国内マーケティングや関連するITソリューションの提案を通じて、社会課題の解決に取り組むキヤノンマーケティングジャパン。吉武裕子さんは、2020年4月に立ち上がった初の企業内起業「ichikara Lab(イチカララボ)」で、室長として7人のメンバーを束ねています。手のひらサイズのミニフォトプリンター 「iNSPiC」・「SELPHY」のマーケティングプランニングを進めながら、若年層マーケティングの強化、新規商品・サービスの企画開発に取り組んでいます。
- 2005年に新卒でキヤノンマーケティングジャパンに入社した吉武さん。就職活動で業界を幅広く見る中、「消費者の生活に根付いた製品」を扱う同社に惹かれたと言います。
- 「写真やカメラ、プリンターは、生活“必需”品ではないかもしれません。でも、生活を楽しく、彩りを与えてくれるもの。あれば日常が明るくなるような、そんなキヤノン製品に携わりたいと考えました」
- 入社後は販売促進部に配属され、お客様にキヤノン製品を選んでもらうための店頭演出やイベント企画など営業サポート業務を約5年間担当しました。
- 「当時は、デジタルカメラやプリンター市場が大きく伸びていた時代。その勢いに後押しされ、営業と販売促進とが連携しながら『1台でも多く、自分たちの商品を使っていただきたい』と同じ方向を向いて、同じ熱量で仕事に向き合うことができました。商品に関する社内外の学習会を開いて自ら講師になったり、イベント会社と折衝しながら店頭でのイベントを企画したり。お客様に商品を知ってもらうきっかけづくり、仕掛けづくりはとても楽しく、充実した5年間でしたね」
- 店頭で商品の魅力を知れば知るほど、「この商品がどのようにして生まれたのか」という、より川上の領域で経験やスキルを積みたいと考えるようになったと話す吉武さん。製造元であるキヤノンとどのように連携しているのかにも興味を持ち、インクジェットプリンター「PIXUS」の商品企画部への異動を叶えました。
- 「商品企画部では、『PIXUS』のWeb広告などのプロモーション活動を担当したほか、事業予算づくり、中期的な事業計画立案なども手がけました。いちプロダクトに紐づいた事業がどう作られているのか、経営視点を学べた貴重な経験でした」
4年間のブランクからの復帰。当初の不安は“仕事への意欲”に変わっていった
- その後、第一子の妊娠・出産で一度目の産休育休を取得。その後第二子を出産し、合計4年間の産休育休を取り、長い期間仕事から離れることになりました。
当時は、育休から復帰し子育てと両立している先輩社員が身近にはそう多くなかったため、出産後すぐに復帰することに不安が大きかったと振り返ります。 - 「育児休業中、平日は夫の帰宅が遅く育児を一手に担っていたため、『この忙しさに仕事が加わるのは想像できない』と思っていました。今思えば、一人目の育休明けに職場に戻っても良かったのではないかと思うのですが、当時は、何もかも初めての経験で慎重だったのでしょう。4年間のブランクを経ての復帰は、時短勤務から始めました」
- 復帰して両立をスタートしてみると、働ける時間そのものは短くなったものの、「何かによって時間が奪われたり、制約があったりするわけではない」という感覚になっていったと言います。
- 「復帰するまでは、4年も離れていてまた働けるんだろうかとか、育児との両立ができるんだろうかとか不安ばかりでした。でも、限られた時間の中でどう過ごすかという観点でいえば、仕事へのコミットメントをどう高めるかは、自分の考え方、工夫の仕方次第。育休前の自分と、気持ちやスタンスは変わらないということに少しずつ気付いていきました」
- 復帰にあたり保育園の存在は絶大で、子どもたちが毎日うれしそうに通う姿にもとても助けられたそう。
- 「子どもたちを“預ける場所”というよりも、子どもたちが“楽しく過ごす場所”があるという安心感はとても大きかったですね。彼らが全力で遊んでいる時間を自分はどう使っていこうかと前向きに考えられるようになっていきました」
- 復帰当初抱えていた不安感は、「もっと裁量のある仕事を任されたい」「自分の発想を生かせるような仕事がしたい」という気持ちに変わっていったという吉武さん。復帰の翌年2018年に、日本市場への初導入が決まった小型プリンター「iNSPiC」の市場導入プロジェクトを担当したことが、現在のichikara Lab室長へのキャリアにつながっていきました。
- →「後編記事」につづきます。
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写真:MIKAGE
取材・執筆:田中 瑠子





