『女性を応援してくれる会社は必ずある』
三井金属鉱業株式会社・サステナビリティ推進部 曾根さん【後編】
誰しも迷うキャリアの決断。先輩たちはいつ、何に悩み、どう決断してきたのか。現役で活躍し続ける女性たちに、これまでのキャリアの分岐点と、決断できた理由を語っていただきます。
今回は前回に引き続き、三井金属鉱業株式会社サステナビリティ推進部で活躍する曾根さんにお話を伺いました。
曾根(そね)さん
三井金属鉱業株式会社
サステナビリティ推進部 CSR室 室長補佐
この会社なら子育てと仕事を両立できる」と確信
- 転職活動を進める過程で、小さな子どもがいることがネガティブに捉えられる現実に直面した曾根さん。そんな中でも、「女性の活躍を後押ししてくれる企業はあるはずだ」と信じ、出会ったのが三井金属でした。面接の際、勤務制度や休暇制度についても快く答えてくれたことで、「子育てしながらでもここでなら働けそうだ」と確信したそうです。
- 「三井金属の面接では、『子どもがいても全く問題ない、制度を使ってフルタイムで働けるならぜひそうしてほしい』との言葉ももらいました。また、子どもの急な体調不良で休むことになった場合などについて質問したところ、コアタイムなしのフレックス制度や、子ども1人につき年間5日間有給で使用できる看護休暇、中抜け制度があることを教えてもらいました。実際に利用している社員が多く、制度がしっかりと運用されていることも確認できたので、ここでなら子育てと両立できると確信し、入社を決めました。
2017年に入社してからは、これらの制度を活用しながら様々な新しい企画を実行しました。同僚の理解もあり、また、計画的に業務を進めることができる部門だったため、国内出張や海外出張もこなすことができました」
- コロナ禍を受けて同社は、完全テレワークへ移行。その迅速な経営判断がとてもありがたかったと、曾根さんは話します。
- 「もともと2020年の東京オリンピック開催に向けて、テレワーク化の準備が進められていましたが、結果的には新型コロナウイルス感染拡大で緊急事態宣言が発令されたのをきっかけに、完全テレワークが導入されました。
私が入社した2017年頃は、紙の申請書に上司や部長の押印をもらう必要があったり、回覧板が回っていたりするような状況で、やや古い会社という印象を持っていました。ところが、コロナ禍に入ってすぐに完全テレワークが導入され、そのスピード感には正直驚きましたね。そのおかげで、子どもの学校が休校になったり保育園が登園自粛になったりしても、勤務時間を確保し業務を遂行することができました。
アフターコロナとなった今でも、当社では完全テレワークが浸透しています。そのため、ご両親の介護のため実家に戻って仕事を続けている人、単身赴任だったけれども自宅で家族と生活しながら仕事をしている人、通勤の負担がないために療養休暇から早期に復帰できた人などもいます。子育て世代に限らず、さまざまなバックグラウンドを持つ従業員が、ワークライフバランスを保ちやすい環境になってきています。制度が充実し働き方の選択肢が増えたことで、私もこれから先、新たな困難に直面したとしても、働き続けられるのではと感じています」
出産や子育てで立ち止まることは、自分を見つめ直すチャンス
- また、同社ではダイバーシティ推進に力を入れており、女性管理職も増加。多様な人材が認められる企業風土への変化を実感していると言います。
- 「三井金属にはもともと男性従業員が多く、男性管理職の割合が非常に高い現状がありました。しかし、今は幅広い視野を取り入れていこうと、女性や外国籍の方、様々な個性を持つ方を含めたダイバーシティを推進しています。そうした取組みの第一歩として、まずは女性活躍を重点的に進めるため、さまざまな制度が整ってきています。
私が入社した2017年当時は、子育てをしながら働いている女性は数えられる程度しかいませんでしたが、今では産休・育休を経て復帰し、活躍している人も大勢います。この2〜3年で女性管理職の数も増えてきました。
また、働きがい改革の推進によって、若手からシニア層まで年齢問わず全ての従業員の活躍に重点が置かれ、一人ひとりがキャリアビジョンを描きやすい土壌が作られつつあります。個人のキャリアビジョンを会社が認識しサポートするような仕組みは、入社当時にはなかったので、ここ数年での変化を実感しています」
- 曾根さんは、ご自身の今後のキャリアビジョンについて次のように語ります。
- 「今後10〜20年先を見据えると、資源の不足やエネルギー不足がさらに深刻化していくのではと危機感を持っています。一方で、地球規模でゴミは増え続けています。
資源が不足するのであれば資源循環に取り組まなければなりませんし、社会を存続させるにはサーキュラーエコノミー(循環経済)への変革が求められるでしょう。当社グループは素材産業に位置しているからこそ、次の10年は逆に大きなチャンスだと私は考えています。私たちには、資源循環を実行する責任があるとも思います。こういったことを後押しするような仕事をしていきたいです。
三井金属グループは2022年に『探索精神と多様な技術の融合で、地球を笑顔にする。』というパーパスを制定しました。まずはこのパーパスを従業員一人ひとりがそれぞれの価値観で理解を深めてもらいたいと思っています。例えば、自然の中での体験を通し、社会や環境の問題を知って考える参加型のプログラムを立ち上げました。
プログラムではまず、従業員一人ひとりが『今、社会や環境で起きている問題は何か?』を知ることの大切さを共有します。そして、今の仕事、さらには今後の夢ややりたいことが「社会や環境の問題を解決する方向に繋がっているか」という目線で考え、発想していくきっかけを提供します。それは、言い換えれば今の仕事、夢ややりたいことの意義を問うことでもあります。仕事を問題の解決にリンクさせて考えていくことで、皆さんの新たな行動や次のビジネスチャンス につなげていってもらえればと考えています」
- 最後に、キャリアに悩む女性たちへのメッセージとして、曾根さんはこう語りました。
- 「女性が仕事を続けていくことや管理職になることは、まだまだ難しいと感じる場面が多いかもしれません。しかし少しずつではありますが、女性を応援しようとする企業は増えてきていますし、制度面からバックアップできるよう環境を整えている企業もあると思います。
私は20代の頃、がむしゃらに働いて経験を積んできました。その働き方を30代以降も続けられる人もいますが、出産や子育て、その他の事情で立ち止まる人もいます。私自身は出産、子育てで立ち止まりましたが、その時期は、これまでの仕事で取り組んできたことを棚卸しし、これからの人生で取組みたいことを改めて見つめ直す機会だったようにも思います。
迷いのある時期は、自分のキャリアビジョンを納得いくまで見つめ直し、新たな気づきがあったのであれば、それを思い切って軸に据えて向き合っていけば良いのだと思います。進む中で現れる壁の中には、社会や企業の制度をうまく活用することで越えられるものもあるはずです。焦らずに、自分のやりたいことを信じて歩んでいくと良いのではないでしょうか」
→「前編記事」
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写真:MIKAGE
取材・執筆:北森 悦