『上のポジションに挑戦することは、人生の選択肢を増やすこと』
ラクス・配配メール事業統括部 鈴木 彩加さん【後編】
誰しも迷うキャリアの決断。先輩たちはいつ、何に悩み、どう決断してきたの? 現役で活躍し続ける女性たちに、これまでのキャリアの分岐点と、決断できた理由を語っていただきます。
今回は前回に引き続き、株式会社ラクス カスタマーサクセス課でマネージャーを務める鈴木彩加さんにお話を伺いました。
鈴木 彩加(ずすき あやか)さん
株式会社ラクス ラクスクラウド事業本部 配配メール事業統括部 カスタマーサクセス課 課長
大手電機メーカーグループのマーケティング・販売会社でコンシューマー向け販売戦略に携わったのち、ベンチャー企業と人材系企業で新規事業やSaaSの立ち上げ・拡大に従事。2020年10月にラクスに入社し、『配配メール』のCSマネージャーとして、顧客に向き合い事業の成長に尽力している。
SaaSサービスで欠かせない、カスタマーサクセスの組織改革に着手
- 前職でのSaaSプロダクトの立ち上げ経験を経て、2020年10月にラクスに入社した鈴木さん。SaaSサービスを手掛ける会社が多くある中で、なぜラクスだったのでしょう。理由を聞くと、複数のプロダクトを着実にスケールさせている点や、会社が大事にしている価値観や考え方に共感したことが大きかったと話します。
- 「ラクスは、再現性を重視する会社です。単に成果が上がったから評価されるのではなく、なぜうまくいったのかを分析・検証し、その勝ちパターンを実践することにより自分以外の誰もが同じように成果を出すことができるよう、着実な継続を実現するための仕組みづくりに取り組んでいるところに魅力を感じました。」
- 担当する「配配メール」は、メールマーケティングの支援サービスとして2007年に誕生し、累計導入企業は10,000社を超えています。多くのユーザーを有するサービスだからこそ、カスタマーサクセスの仕事の重要性も高いと鈴木さんは話します。
- 「既存のお客様の数が多いからこそ、その継続率が事業全体に大きく影響する。
カスタマーサクセスはSaaSサービスにおいて非常に重要なポジションですが、『配配サービス』ではそれが顕著だと考えています。
私が入社した当時の組織はお客様からのお問い合わせに対応するサポートチームのみでした。しかし、長くサービスをご利用いただくためにはお客様を深く理解し、面談などを通じて活用の提案をしてお客様ご自身が配配メール導入による効果実感をしていただくことが重要であると考え、新設したのが今のカスタマーサクセス課です。
お客様の業務課題や求める成果を直接支援できるようなコンサルティングを強化しました。チームメンバーにもお客様の成果にコミットしていこうと伝え、全員で取り組んだ結果、半年後くらいから徐々に成果が出始め、解約率にも大きな変化が見られました。」
自己成長の必要性を感じ、大学院への挑戦も決めた
- カスタマーサクセス課のマネージャーとして10人のメンバーを束ねる鈴木さんですが、マネジメントの仕事は「なりたいと思っていたのではなく、ならざるを得なくてなったという方が近い」と話します。
- 「前職では、SaaSサービスの立ち上げに際して事業責任者を任され、セールス部門の立ち上げなどを手掛けていました。でも、自分のキャリアに対して、『〇年目にはマネジメントのポジションに就きたい』などと明確なゴール設定があったわけではないんです。新規事業の立ち上げに携わりたい、と一生懸命に取り組んでいたら、その成果を認められて、『次はこのポジションをやってみたらどう?』とチャンスを与えてもらった。そんな感覚が、今も続いています」
- 前職で事業責任者を打診されたときは、「自分のスキルを超えた、身に余る役職を与えられてしまった」と考えたそう。それでも、自分には難しいからと断るのではなく、オファーを引き受けた上で、「どう自分を成長させ価値を発揮していくか」を考え、行動に移していきました。
- 「経営者視点で考えなくてはならない場面が増え、さらに、業務範囲も広がったことから、今の成長曲線では全く追いつけないと思いました。そこで、大学院に通いMBA(経営学修士)を取得しようと決意しました。仕事を終えたあとにオンラインで授業を受けたり、レポートを作成・提出したりと、睡眠時間を削りながら過ごす2年間でしたね。
社会人として年次を重ねていくと、成長を支援してくれる人がどんどん減っていきます。30代になってからは、より自発的に成長する必要があると思うようになり、足りないものは自分で補う行動ができるようになっていきました」
- マネージャーの仕事には、「みんなの力を引き出して、成果につなげる」面白さがあると話す鈴木さん。以前は、メンバー一人ひとりから見てどういう上司であるべきか…と思い悩んだこともあったそう。しかし、「相手の価値観は変化していくもので、本当に理解するのは難しい」と割り切ったことで、やるべきことが明確になったといいます。
- 「マネージャーの一番の役割は、成果を出すこと。目指すゴールをチームで共有し、そのゴールを達成するための再現性を持たせることが大切だと考えています。実施した施策や起こしたアクションに対してどんな変化が表れたのか、定点観測しながらデータ分析による傾向を見つけ出し、費用対効果と施策の継続可否を判断します。
定量面だけでなく、定性的な面も含めて効果を振り返りながら方向性を検討することでメンバーも納得感を持って、目標達成に向けての行動に移していくことができると思っています」
“目指すキャリア”を無理に設定しなくてもいい。今の取り組みが次につながっていく
- 常に一歩先のやるべきことを考え、転職やMBAの取得などチャレンジを重ねていく。その姿は、定まった目標に向けて一直線に動いているように見えます。でも実際は、「キャリアにおいて目標を立てて動いていくのは難しい」と感じているのだそう。
- 「社内の女性メンバーからも、どんなキャリアを目指して働けばいいのかわからない、と相談を受けることがあります。でも、ライフイベントはいつどんな形でやってくるかわからない。長期的なキャリア目標を立てることも難しいし、もし立てたとしても、いろいろな理由で中断されてしまうこともあると思います。長期的なゴール設定をして、そこから逆算しながら目標を着実に達成できている女性って、実際には少ないのではないかと思うんです。
だから、無理に目標設定をしなくても、今やっていることの延長線上にチャンスは必ずある。成果を出しているのなら、周りが次のポジションへの道を示してくれる機会も訪れるはず。目の前の仕事を頑張ることが、実は次のキャリアにもつながっていると思っているので、焦らなくてもいいと伝えています」
- 今後は、もう一段役職を上げることで、自分の視野を広げていきたいと話す鈴木さん。優秀な経営陣や同僚が多いからこそ「自分はまだまだ」と思わされる環境。だからこそ現状に満足せずチャレンジしたいと意欲が刺激されるのだといいます。
- 「今いるところよりポジションを上げることは、人生の選択肢を増やすことだと思っています。私の場合、成長実感そのものが達成感やモチベーションになりますし、視座が上がることで見える範囲や景色も違ってきて、それもまた人生を豊かにする充実感につながると感じています。また、年収が上がることで選択肢は増えていきます。例えば、子育て中の方でしたら、ベビーシッターを利用したり、時短家電を買い揃えることもできるかもしれません。
パートナーとの家事や子育ての分担を変えて自分が仕事に集中しやすい環境を作ったり、経済力があることで、さまざまな働き方、生き方を選択できるようになるのではないかと思います。チャンスを掴めるところにいるのなら、躊躇うのはもったいない。女性であっても何かを諦めることなく挑戦を続ける人がもっともっと増えていけばいいなと思っています。また私自身もそういう支援を自分のメンバーにしていきたいと思います。」
→「前編記事」
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■鈴木 彩加さんのインタビュー動画
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写真:MIKAGE
取材・執筆:田中 瑠子