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マイキャリアストーリー

『自分を掘り下げ考える時間を大切にしてほしい』
サントリーウエルネス・コンタクトセンター 廣瀬奈加子さん【後編】

誰しも迷うキャリアの決断。先輩たちはいつ、何に悩み、どう決断してきたの? 現役で活躍し続ける女性たちに、これまでのキャリアの分岐点と、決断できた理由を語っていただきます。

今回は前回に引き続き、サントリーウエルネス株式会社 コンタクトセンターの廣瀬奈加子さんにお話を伺いました。

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廣瀬 奈加子(ひろせ なかこ)さん

サントリーウエルネス株式会社 コンタクトセンター スペシャリスト
薬剤師 NR・サプリメントアドバイザー

お客様の気持ちを想像し、心が通じ合えた瞬間が醍醐味に

サントリーに残ると決め、配属されたのが、通信販売での事業拡大を決めた健康食品事業部、現在のサントリーウエルネスでした。
そして、着任して3か月後に「お客様センター(現在のコンタクトセンター)」が設立。お客様対応の経験がないまま、「やってみなはれ」の精神で、主担当として働くことになったといいます。
「お客様対応を任せてくれたのは、当時の事業部長でした。最初は、研究開発部門での実績を買われ、学術部門に籍を置いていたんです。でも、私の働き方を見て、お客様対応のほうが向いていそうだと感じたのでしょう。
それまで、ひたすら薬品の原材料に黙々と向き合う仕事をしていたのに、突然、お客様からの問い合わせや、ときに厳しいクレームに対応する仕事を任されることに…。センターを拡大するために、まずは社員がお客様対応を知らなければ始まらないと、4人のオペレーターさんとともに業務を担うことになりました」
始めて1年は、お客様対応の仕事に自分が向いているのかいないのか、考える余裕もないほどにがむしゃらに向き合っていたと話す廣瀬さん。お客様からのお叱りの言葉に落ち込むこともあったといいますが、だんだんと、言葉の裏にある気持ちに気付く余裕が生まれていきました。
「お客様が怒っているとき、厳しいご意見をいただくときは、すごく困っているとき。クレームは、お客様ががっかりされたり、悲しい思いをされたりした裏返しとして寄せられるものです。私たちへの期待があるから思いをぶつけてくださるのだと捉えられるようになると、誠心誠意お話を聞いていこうと心が落ち着いていきました。
こちらの誠意を感じていただけたお客様の中には、お得意様になってくださる方も多く、そうした出会いが、やりがいにつながっていきました」
お客様対応で大事にしていたのは、相手を敬う気持ちと感謝の気持ち。自分がお客様の立場だったらどう見えるか、どんな気持ちになるか、相手になりきって考えることを心がけたと話します。
「2011年からは、商品と一緒にお届けするお手紙(挨拶状)の作成を前任から引き継ぎました。それまでは代理店の方が文面案を作成するのが通例でしたが、私は、自分の名前でお送りするものなのだから、自分で文章を考えたかった。この手紙をもらったらどう感じられるか…と想像しながら毎月ご送付していったところ、いつしか『廣瀬さんからのお手紙を楽しみにしています』『すべてとっておいています』と言ってくださるお客様が増えていったんです。心が通じ合ったときの喜びはとても大きくて、これは、まさに私がやりたかった仕事だと感じるようになりました」

今の仕事が、将来の自分を育てていく

オペレーターとして約10年、お客様対応業務を担ったのち、オペレーターのサポートや相談に乗る育成側に回っていった廣瀬さん。現在はスペシャリストとして、コンタクトセンター全体への研修や育成を担っています。
「自分がお客様対応に苦労してきたことが、今の糧になっています。
例えば、会社の方針で『こういう対応をしてください』と伝えなくてはいけないときがあります。でも会社の立場と、現場でお客様に向き合っているオペレーター一人ひとりからの見える景色は異なります。『そうは言っても、お客様を目の前にして、なかなかこういう対応はできない』『こういう言葉はかけられない』というケースはたくさんあるんです。対応する側の気持ちを理解できるからこそ、『こう伝えるのは大変だと思うから、こんな風に言い代えてみたらどうかな』と提案をしながら、現実的なやり方を見出していける。そこが私の強みかなと思っています」
研究開発職から、お客様対応へ。大きなキャリアチェンジを経て仕事を続けてきた中で、“継続”の秘訣をどう捉えているのでしょうか。聞くと、「私の経験を反面教師にしてほしい」といいます。
「研究員だった約18年は、自分の“内的キャリア”に向き合っていませんでした。長い時間を、漫然と過ごしてしまったなという反省があるんです。
入社当初は、薬学出身で薬剤師だから…と仕事に就いた。それはいわば、外的に定められたキャリアでした。でも、今のコンタクトセンターの仕事では、心の内側から、困っているお客様を助けたい、お客様の身になって考えたいと思えています。それはもともと、自分がお医者さんという仕事に求めていた内的なモチベーションです。『自分は何がしたいんだろう』と、自分に向き合った結果として、やりたかったことが叶えられているのかなと思っています。

今の仕事に対して、本当にやりたいことなのかな、このままでいいのかなと疑問に思っている方がいたら、自分の内なる声を探っていくことを、諦めずに続けていってほしいです。
もしすぐに現状を変えることが叶わなくても、どんな仕事もいずれ必ず自分の糧になっていく。うまくいかない痛みを知っていれば、いろいろな人の気持ちを想像できるようになり、自身の強みになっていきます。今が将来の自分を育てているんだと信じて、仕事に向き合っていってほしいですね」

「前編記事」





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写真:MIKAGE
取材・執筆:田中 瑠子

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