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読むと元気になる「インタビュー」

絶対はないと柔らかく捉え、周りを信頼し動いていく マネージャー職と子育ての両立で学んだ考え方

2022.11.25

女性なら誰しも迷うキャリアの決断。先輩たちはいつ、何に悩み、どう決断してきたの? 現役で活躍し続ける女性たちに、これまでのキャリアの分岐点と、決断できた理由を語っていただきます。

第3回は、GMOあおぞらネット銀行株式会社 お客さまサービス室 室長の伊沢有里さんにインタビュー。マネージャーとして、2人の子どもの親として、大事にしてきた考え方を聞きました。

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伊沢有里さん

GMOあおぞらネット銀行株式会社 カスタマーサクセス統括チーム長 兼 ビジネスセンター長(取材時はお客さまサービス室長)。大学で建築学を学んだ後、メーカーに新卒入社。カスタマーサポート職に従事する。その後、ネット銀行に同職として転職。カスタマーサポートだけでなく、マネジメント経験も積んで、2018年にGMOあおぞらネット銀行に転職。当時はあおぞら銀行がネット特化型の事業を立ち上げて間もない頃で、創立期の組織編成からマネジメントに従事している。

学生時代に描いた“一つを極める人生”に、少しずつ近づいていく

「仕事でも趣味でも、何か一つのことを極める人生に憧れていました」

GMOあおぞらネット銀行株式会社でお客さまサービス室の室長を務める伊沢有里さんは、学生時代に描いたキャリアをそう話します。
大学卒業後にメーカーに入社以降、前職のネット銀行を経て、現在まで一貫してお客さまに応対するカスタマーサポート職に従事してきました。子どもの頃から芯を持って行動する友人に恵まれていたこともあり、自信を失ったり周りを羨ましがったりした時期もあったといいます。

「今の姿を20年前の自分が見たら、ちゃんと自分が決めた道を貫いて進んでいるんだな、と少しは安心するかもしれません」

大学では建築学を学んでいた伊沢さん。両親が建築業界の仕事をしていたため、「一番身近な仕事で、その世界を覗いてみたかった」からだと話します。
しかし、たまたまアルバイトでコールセンターの仕事につき、その面白さに魅了されたのだそう。

「当時、犬が飼いたくてお金が必要だったんです。ちゃんと稼げそうな仕事をと思いコールセンター業務についたのですが、やってみたらとても面白かった。コールセンターの仕事は、電話に応対するまで、どんなお客様からどんな問い合わせがくるか分かりません。受けたお電話でお客様の声をきちんと聞き、要望にどうお応えして終話するか、常に自分の力が試されているような緊張感と責任の重さが、私には合っていたんです」

アルバイトの一学生に対しても、きちんと教育し、評価してくれる周りの社会人にも恵まれ、「この仕事を続けたい」と思うようになったといいます。
その思い通り、卒業後はメーカーでカスタマーサポート職の経験を積んだのち、ネット銀行の同職に転職。金融領域を選んだのは、「生活に欠かせないからこそ、お客様からの問い合わせ内容の幅も広く、サポート価値の高い分野だと思った」からでした。

その後、前職でのマネジメント経験を経て、2018年にGMOあおぞらネット銀行に入社します。同じ業界内で転職を決めたのは、組織の立ち上げ期のタイミングが重なったからでした。

「歴史あるあおぞら銀行がネットに特化した事業を立ち上げたこと自体が、金融業界内での大きな変化でした。そこで、お客さまサービス室が新たに立ち上がると知り、『銀行での組織づくりに、ゼロから携われる機会はめったにない』と思いました。私が入社したときには、あおぞら銀行からの出向メンバーが組織立ち上げの準備を進めており、私はそのバトンを引き継ぐ形で室長に就任しました」

現在は、お客さまサービス室のメンバー9人に加え、2022年11月よりインサイドセールスを担うビジネスセンターのマネージャーとして、15人のメンバーと共に仕事をしている伊沢さん。お客さまサービス室では、お客さまからの問い合わせの応対のほか、その声を業務改善につなげるVOC(ボイス・オブ・カスタマー)業務のマネジメントを担当しています。

「インサイドセールスもお客さまと最初に接点を作り、サービスのご案内や継続的なご利用のサポートを行う点では、お客さまサービス室の業務と共通した部分が多いんです。
両部署ともに、直接お客さまとやりとりするのは、私ではなく部署のメンバーです。皆さんがよりやりやすいように環境を整えるのが私の役割ですが、一人ひとりの強みをどう引き出していくのか、自分のノウハウをどう伝えるべきか、正解のない仕事なので、『この仕事を極めた!』と言い切れるまで、まだまだ道のりは遠いなと感じています」

子育てと仕事の両立の一方、“当事者”になりすぎないことを心がける

伊沢さんはマネージャーとしてフルタイム勤務を続けながら、3歳の長女、1歳の長男の子育てを両立させています。2020年と2022年にそれぞれ2か月半の産休(育休)を取得。現在は、GMOインターネットグループの従業員向けの社内託児所『キッズルームGMO Bears』(渋谷・セルリアンタワー内)に、2人の子どもを預けながら仕事を続けています。
2か月半という比較的短い育休期間を経て復帰を決めたのには、伊沢さんなりの子育ての考え方があったからだといいます。

「育休は、もちろんもっと長く取れますし、会社からも取ってくださいね、と言われていました。でも私は、たまたま出産後の体力の回復が早く、仕事にも早く戻りたかった。そして、子どもたちには、両親以外にも多くの大人と出会い、いろんな人から刺激をもらってほしいなと思っていました。
『GMO Bears』は、職場からすぐ近いので、復帰直後は、授乳のために仕事を抜けさせてもらうこともあったり、何かあったら見に行けるという安心感があります。夫と二人で送迎をしているので、渋谷までの子連れ出勤にも慣れてきました。在宅勤務のときには、あえて毎回異なるベビーシッターの方に来ていただいて、さまざまな大人に触れる機会を作っています」

子育てとの両立を始めたことで、はじめて“当事者”としての大変さを知ったという伊沢さん。前職で、マネージャーとして最初に“産休育休から復帰したメンバー”を持ったときのことを、思い出して、今では反省することもあるそうです。

「今思えば、メンバーの気持ちや大変さを全然わかっていなかったなと思うんです。例えば、子どもの送迎で仕事を早く抜けなくてはいけないとき、良かれと思って『こちらは大丈夫だよ』と声をかけがちです。でも、言われる側は『あなたの仕事には代わりがいる』と捉えてしまって、自分は不要な存在なのかも…と思い悩んでしまったりするんです。『“お母さん”はあなた一人だから』というのもよく聞く表現ですが、それが本人を追い詰めてしまうこともある。私自身も、 “お母さん”をせずに働いているのは悪いことなのかなと思ったことがありました。声のかけ方には、より一層意識を配るようになりましたね」

一方で、“当事者になりすぎない”ことも、マネジメントする立場として心がけていることだといいます。

「子どもを持つ当事者になると、その気持ちがよく理解できる故に、そうじゃない方たちへの配慮が薄くなりがちです。今はいろんな生き方、家族のあり方がある。子どもを持つ人、持たない人、さまざまな人生設計があります。子どもを持たない方への負担が増えるようなことがないように、子どもがいると大変だから仕方ないよね、とはなりすぎず、そこで線引きをしないように常に意識しています」

後悔のない道を選ぶことが「自分を大事にする」ということ

子育てとマネージャー職のフルタイム勤務をどう両立させているのか。そこには、伊沢さんなりの物事のとらえ方がありました。

「“絶対はない”ことと、“周りを信頼する”ことを、常に大事にしてきました。
絶対はない、というのは娘が教えてくれたこと。『今日はこうしよう』と計画を立てていても、子どもは思うように動いてくれません。予定をいつも流動的に捉えていなければ、『こんなはずじゃなかった』とストレスが溜まってしまう。状況が変わった時点で、『じゃあ、予定を変えよう』『こっちの道を進もう』と変わる余地を予め持っていくと、仕事でもプライベートでも、目の前のものごとにうまく対応していけるんです。
もう一つは、周りを信頼して、甘えられるところは甘えること。メンバーや家族にお願いできるところはお願いしようと思っています。ただ、信頼するのと責任を受け渡すのは違うので、『ここをお願いしたい』と信じて頼るけれど、何かあったときは、その人に任せた自分の責任として対応する。その考え方は大事にしたいと思っています」

これからは、お客さまサービス室の仕事を続けながらも、空いた時間で、子どもに関する資格取得を目指したいと話します。

「これから産休育休を取り、子育てと仕事を両立させるメンバーが増えていくでしょう。もし、メンバーの子どもに何かがあって対応しなければならなくなったとき、私が専門資格を持っていたら安心感があるかなと思うんです。今の私が伝えられるのは、あくまでも個人的な、ややイレギュラーな体験談。このやり方がみんなにとっていいとは限りません。専門資格を持つことで、安心して仕事を続けられる人が増えるのなら、それも一つの貢献の仕方かなと思っています。

これまでは、その時々で“自分の今の気持ち”に対して後悔のない選択をしてきました。自分の気持ちを優先して考えたのなら、その先でつまずくことがあっても『自分が選んだ』と納得できます。メンバーにも、2人の子供たちにも、そうやって自分で選ぶということを大事にしていってほしいですね」

※所属・組織等は2022年10月取材時の情報となります。

写真:三浦えり
取材・執筆:田中瑠子