『“なるようになる”と気負わずに進んでほしい』<br>三菱UFJ信託銀行・投融資管理 内山由紀子さん、人事 足立悠貴子さんのイメージ画像

マイキャリアストーリー

『“なるようになる”と気負わずに進んでほしい』
三菱UFJ信託銀行・投融資管理 内山由紀子さん、人事 足立悠貴子さん

誰しも迷うキャリアの決断。先輩たちはいつ、何に悩み、どう決断してきたの? 現役で活躍し続ける女性たちに、これまでのキャリアの分岐点と、決断できた理由を語っていただきます。
今回は、三菱UFJ信託銀行株式会社 投融資管理部の内山由紀子さん、人事部 採用・キャリアグループの足立悠貴子さんにお話を伺いました。

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内山由紀子さん

三菱UFJ信託銀行株式会社 投融資管理部 審査室 オルタナティブ投融資審査G 課長

途上国の開発援助で働くことを目指して、新卒で外務省外郭団体の派遣でウガンダの日本大使館にて勤務。その後、東ティモールやキルギス・米国の国際機関での業務に従事後、帰国。外資系の格付け機関、日系のコンサル会社を経た後、2016年に三菱UFJ信託銀行に入社。投融資管理部にて、オルタナティブ商品の出資・融資商品のリスク評価のチームで6人のメンバーのマネジメントを担う。

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足立悠貴子さん

三菱UFJ信託銀行株式会社 人事部 採用・キャリアグループ 上級調査役

新卒で三菱UFJ信託銀行に入社。受託財産業務を担う日本マスタートラスト信託銀行に出向し、資産管理業務を6年半ほど経験する。その後に三菱UFJ信託銀行の人事部に異動し、研修・新卒採用を担当。現在は、キャリア採用業務に幅広く携わっている。

せっかく働くなら楽しそうなことを、と開発援助の道を選んだ

― 現在の仕事内容や、これまでの経歴について教えてください。
内山:
インフラや不動産向けの投資や融資案件の審査を行うチームで、課長として6人のメンバーと案件のリスク評価をしています。
案件のリスク評価というのは、案件や案件の置かれている環境を確認して、投資したお金や融資で貸すお金がきちんと返ってくる目処はあるのか、リスクの評価を行うこと。営業担当が「ここにお金を出したい」と持ってきた案件に対して、お金を出しても問題がないか、気を付けることはないかを見極めるのが私たちチームの仕事です。

足立:
私は新卒で2010年に入社し、資産管理業務(企業年金や投資信託などの運用資産をお預かりし、資産の決済・保管などを行う業務)を約6年半経験しました。その後、人事部に異動し、社員研修の企画や運営、新卒採用業務を経て、現在はキャリア採用を担当しています。


内山:
私が入社したのは2016年なので、まだ足立さんは採用担当ではなかった時期ですね。

足立:
そうですね。内山さんが前職までにどんな経験をされて、なぜ当社を選んだのかぜひ伺いたいなと思っていました。社会人のキャリアはどのようにスタートされたのでしょうか。


内山:
大学卒業後は今とはまったく違うキャリアで、途上国の開発援助に関わっていたんです。外務省の外郭団体に応募する形でウガンダの日本大使館で勤務、その後も20代のころは主に海外生活。1つ1つの契約期間が短い仕事だったので、東ティモールやキルギス、米国の国際機関の業務にも従事しました。

足立:
グローバルに活躍されていたんですね! 社会人1年目からウガンダに駐在されて、そこから複数の国で働いたバイタリティに驚きます。


内山:
国際機関などの仕事は、若い人のポストの契約期間は数年単位のことが多く、キャリアップのためいろいろな現場を移っていくのが一般的なんです。
また、周りで働く外国人の同僚たちは、修士課程で開発学などを学んでいて、修士を取得していることがスタンダードでした。そこで私も専門性を身につけようと、イギリスの大学院で「ITと開発」を学んだ時期もありました。

足立:
そもそも、どうして海外に目を向けたのでしょう。


内山:
大学は経済学部でしたが、たまたま開発援助について勉強する学生団体に参加したのがきっかけでした。当時はアジア旅行が流行っていて、私もよくアジアを含む海外に出かけていました。旅していると、日本にはない独特のエネルギーが刺激的で、途上国の開発援助の仕事なら興味を持って続けられるかな…と考えていました。

足立:
学生時代から「こんなキャリアを築きたい」という思いが明確だったんですね。


内山:
いえいえ、そんなことはありません。当時は、「ある程度働いたら結婚して辞めるんだろうな」なんて思っていましたから。
でもまずは、卒業後の何年かは生活の大半の時間を使って働くことになりますよね。どうせ働くのなら楽しそうなことをやろう、それなら海外で働くのは楽しそうだから、途上国の開発援助に携わろう、せっかくならすぐに海外で働き始められる環境を選ぼうと絞っていった結果が、ウガンダでした。

一度離れて気づいた、仕事を持つことの大切さ

― 20代を海外で過ごしてから、今に至るまでにはどんな選択がありましたか。
内山:
開発援助を手掛ける中で、「民間のファイナンスで専門性を身につけたい」と考えるようになり、30代前半で帰国しました。開発援助の分野でインフラ案件が好きだったので、将来的にその領域に活かせる専門性がつく会社で働きたいと、外資の格付け機関(金融商品や企業の信用度合を評価し、等級にして付与する企業)でストラクチャードファイナンス商品のチームに入りました。

足立:
それが、今の審査の仕事にもつながっていくんですね。


内山:
そうですね。ただ、実は一度、仕事を離れたときがありました。
夫がインドに転勤することになり、「私もインドで仕事を探そう」と、ついていくことにしたんです。仕事を辞めるつもりはなかったのですが、赴任直後にリーマンショックが起こり、転職どころではなくなってしまった。
エネルギーを持て余して、仕事から帰宅した夫にマシンガントークをぶつける日々だったので、夫も大変だったはず。それもあって「あなたは絶対に働き続けた方がいい」と強く言われていました(笑)。この経験から「誰かのためにキャリアを選ぶと、いい状態にはつながらない」と実感しました。なので、夫をおいて先に帰国し、日系のコンサル会社に入りました。

足立:
その後、お二人のお子さんを育てながら仕事を続けていらっしゃいます。どのように両立されてきたのでしょうか。


内山:
前職のコンサル会社は出張が多く、赤ちゃんのうちは出張のない仕事に限定しながら、ある程度成長したところで出張も再開して、と思っていましたが、2人目の子どもを出産してからは、「出張が頻繁に入る今の働き方では続けるのが難しい」とはっきりと感じるように…。これまでの経験も活かしつつ、自分が興味もあって専門性を高めることができ、かつ無理なく働くことができる環境を探そうと動き始め、当社と出会ったんです。2人目が0歳での転職だったので、赤ちゃんの時は、周りのサポートなしには成り立ちませんでした。実家の浜松から祖父母に来てもらったり、ベビーシッターさんにお願いしたり。近所の料理が上手な方に、夕ご飯を作りに来てもらったこともありました。
ただ、今は子供も小学生になり、少し落ち着いてきました。面白いと思う仕事ができていますし、家族との時間も取りやすくなり、今のところ子どももすくすく育っている。“両立”が叶っているなと感じています。

働き方は、個人の属性を問わずみんなで変えていくべきもの

― 持続可能な働き方に向けて、お二人の取り組みや考えをお聞かせください。
足立:
どんなバックグラウンドの人でも長く働ける環境づくりへ、人事・採用としてもまさに力を入れているところです。
当社では産育休・配偶者海外転勤等同行休職などの休業制度、短時間・時差・在宅などの勤務制度、ベビーシッターサービス利用補助制度など、必要とされる制度は揃っていますし充実しています。これからの課題は、これらの制度の“活用”をより加速させていくことでしょう。そこで、「実際に使ってどうだったのか」、社員の声を集めて社内ポータルサイトで発信するなど、さまざまな取り組みも進めています。
昨今の大きな変化は、男性の育休取得率が90%を超えたこと。平均取得日数は13日とまだまだ道半ばではありますが、男女問わず育休を取ることが、社内ではスタンダードになりつつあります。


内山:
それは現場でも感じています。働き方は、性別やそのほかの属性に関係なく、みんなで変えていかなければ意味がないですよね。
私が前職で育休をとっていたときも、復帰したあとも、夫はそれまで通りの残業続きの生活でした。夜遅くに帰ってきてお皿洗いをするなど、夫も大変だったと思うのですが、1日中子どもを見ていた私は、「残業できていいなぁ」と思うこともありました。「(家事や育児を)手伝うよ」と言われて、「手伝うんじゃなくて、夫婦ともに当事者なの!」と家庭内ハレーションが生じることもたびたびありましたね(笑)。
残業をどう減らしていくか、短時間勤務や在宅勤務など働き方の多様性をいかに広げていくか。性別問わずみんなで変えていくことが、働きやすさにつながっていくと思っています。

「なるようになる」と気負わずに進んでほしい

― 内山さんは課長職としてマネジメントを任されています。どんな思いでメンバーに向き合っていますか。
内山:
メンバーは年上の方が多くて、経験のある専門人材ばかり。教えてもらうことも多いですし、チームで動くからこそ、(不動産など)オルタナティブ商品の扱う範囲も広がり、プロダクトの知識が深まります。
当社制度である「メンタリングプログラム」を受けることができたのも、とてもいい学びでした。

足立:
1年間に4回、管理職ポジションの方が役員と1on1を重ねるプログラムですね。


内山:
「経営者視点で物事を考えよう」とよく言われるけれど、どういうことなのかつかみにくいですよね。でも役員と実際に話すことで、「経営者層に入ってくる情報はこんな風に違うんだな」「毎日、そうやって判断を重ねているのか」などと実態を少しだけ知ることができました。新しい世界に触れることができた、貴重な経験でした。

足立:
多くの社員もそうだと思いますが、私にとって、内山さんはロールモデルの一人になっています。


内山:
そういってもらえてうれしいです。
2022年4月に課長職になったとき、メンティーだった女性メンバーから「課長になられたんですね!おめでとうございます。すごく勇気づけられました」とメッセージをもらったことがありました。私は「女性としてのロールモデルになる」という強い意志を持って課長になったわけではないのですが、自分が管理職として身近にいるだけで役立つことがあるんだなと思いましたね。

― これまでの仕事を通じて、学んだことや得た考え方などはありますか。
足立:
私は受託財産業務から大きく職種を変えて人事領域にいますが、もともと人事の仕事をやりたかったわけではありませんでした。
でも、やってみるととても面白かった。研修や採用は、「働く人と人との巡り合わせをどう作るか」に直接触れることができる仕事です。その出会いから新しい事業が生まれていくと、人が会社を作っていくのだなと実感します。

入社時には「金融というインフラ事業に携わって、社会の発展につなげたい」と漠然としたことを考えていましたが、今は当時の自分が想像もしていない分野にいます。だから、「なるようになる」とすごく思います。
自分はこういう働き方がしたいと思っていたものが、途中で変わることはたくさんある。そのときどきで考え方は変わっていきます。だから、決めた道を進まねばならないと気負わずに、行った先で何かを見出せるよ、と気軽に進んでみてもいいんじゃないかなと思っています。


内山:
いいですね。「なるようになる」というのは、私もそう思います。
今は子ども2人がすごくかわいいけれど、生まれるまでこんな気持ちを持つとは思ってもみませんでした。子どものために転職することになるなんて、価値観の変化に自分が一番びっくりしています。

足立:
内山さんもそうなんだ!と、気持ちがラクになりました。
採用に携わっていると、やりたいことが分からない、やりたいことを見つけなくてはいけないと切羽詰まっている方と少なからずお会いします。だからこそ、計画通りじゃなくても、そもそも計画を立てなくても、その都度の判断が自分を作っていくのだと発信していきたいなと思っています。









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写真:龍ノ口 弘陽
取材・執筆:田中 瑠子

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