イライラしない、抱え込まない。管理職たちがたどり着いた“困った部下”への対処法のイメージ画像

リーダーズ座談会

イライラしない、抱え込まない。管理職たちがたどり着いた“困った部下”への対処法

社内では相談しづらい悩みや本音を語る、女性管理職のオンライン匿名座談会。今回のテーマは「困った部下への対処法」。
指摘を素直に聞けない、ジェネレーションギャップ、遅刻癖…、部下の対応に頭を悩ませ、改善してきた3名の管理職がの本音で語り、たどり着いた対処法を公開します!



【参加者】

Aさん(38歳):出版業界の営業部門課長職1年目。部下は3名。

Bさん(47歳):IT業界。クリエイティブ部門で15名を束ねる課長職。

Cさん(35歳):運送業界の係長3年目。部下は2名。

トコトン素直さがない部下に疲弊…

ーこれまで扱いに悩まされた「困った部下」はいましたか?
Aさん:遅刻癖が治らない部下には辟易としました。「今日だけは絶対に遅刻しないで」と言っても遅刻してくる。しかも言い訳がどう考えても嘘なんです。周りに迷惑がかかっているのに悪びれもしないので、怒り以前に驚きがきましたね。

Bさん:私は課長職なのですが、一つ下の係長職が、スケジューリング能力と仕事を振る采配力不足で疲弊しました。メンバーの制作物へのチェックが甘過ぎて、結局私が差し戻し。「そもそも」の話から始まるのでメンバーは何度もリテイクすることになり、疲弊。朝から晩まで8時間通しで打ち合わせをする日も続きました。

Aさん:それは辛過ぎます…。そういう方って、自分の能力を過信しすぎてしまっているんですかね…。私もこちらの指示とは全く異なる成果物を出され、なぜこうなるの?と思ったことがあります。

「言ったことと違うよね」と言うと「聞いてない」「やっているうちにこういうことになった」と返ってくる。途中でわからなくなったり状況が変わったら伝えてほしいと言っても、やっぱり報告も相談もない。

Cさん:こちらが指摘した時に素直に受け止めようとしない部下には困りますよね。たとえどんな小さなミスでも、こちらは意味があって指摘しているわけで。どうすればこちらの意図が伝わるのかと悩んだものです。

部下との関係は、コミュニケーション次第で解決することも

Bさん:あと40代になると、20代の部下とのジェネレーションギャップに困ることもあるんですよ。メールやチャットの返信をしない、口答えをする、遅刻してくる、お願いした業務をやらない…など、20代の部下ばかりの部署に配属されたばかりの時、チームをうまくコントロールできず、大変でした。

Aさん:その状況、どうやって改善したんですか?私も世代による価値観の違いを感じることがあります。

Bさん:その時は急な組織改編だったので、部下たちのこれまでの背景ややりたい仕事などを全く知らずに上長になった状況でした。正直、パワハラと思われてしまうのも怖くて、最初は業務上の会話しかしていなかったのですが、やはり根本解決にはコミュニケーションだなと。

個別に話したり飲みに行ったりしただけでメンバー全員が本当に驚くほど即レス、前のめりになったんです!自分を知ってもらい、親しみを持ってもらうことの重要性を感じています。いまはそれも管理職の義務だと思い、日頃から積極的な声かけを行っています。

Cさん:確かに、本人とコミュニケーションをとらないことには性格や本音もわからないんですよね。私も扱いにくいと感じる部下ほど普段から雑談レベルでも様々なことを話すように意識しています。

あとは指摘は気づいたときにすぐにする。後から言われても部下もイラっとすると思うので。まあ、結局指摘の回数は多くなるので、問題が改善するのかはわからないですが。

Aさん:そうなんですよね。結局、人は変わらない。部下へのモヤモヤって飲みに行ったりするとグチ大会になってしまいがちですが、それもそれで最終的には自分の気持ちも良くないですよね。

先ほどの遅刻癖がある部下は、「こうなってほしい」という私の期待も重荷なのかなと思い、これはどうしようもなく相性が悪いのだと割り切り、配置換えをしてもらうことにしました。

Bさん:正直、相性の部分はありますよね。私も若手とのジェネレーションギャップはコミュニケーションの活性化で解決したのですが、仕事を回せない係長問題はそうもいかず…。全員が疲弊して部署が空中分解しかけたんです。結局、経営陣が介入して組織改編が行われました。

中間管理職のポジションだった係長は別の部署に異動となり、指揮系統が私に一本化され、見通しが良くなったことで状況も改善。経営陣がテコ入れしてくれたのも、メンバーがそれを受け入れてくれたのも、日々私が真摯に仕事をしていたのを見てくれていたからこそなのかなあと思います。

Cさん:その通りだと思います。日々の信頼があるからこそ、何かあった時には周りが助けてくれるものですよね。



管理職側からの自己開示も心掛ける

ー皆さんのこれまでの苦労が感じられます…。では「困った部下」と向き合う中で、ご自身にとってプラスになったことはありますか?
Aさん:自分の考え方がアップデートされたかなと思います。過度の期待は自分にも相手にも利なし、ということを知りました。

管理職は部下にとって、教師でも親でもないです。いくら「こうなってほしい」と我々が思ったところで、最終的に仕事は本人の責任。フラットな気持ちで、ある意味、仕事の関係だと割り切って、6割できれば十分と思えるようになってから自分の心もラクになりました。

Bさん:そうそう、管理職である以上、困った状況でも絶対に感情的になってはいけないんですよね。一発で管理職として信用を失ってしまいますから。なので私は絶対にイライラしないよう、自身のメンタルケアを心がけるようになりました。

Aさん:「イライラしない」というのは部下とうまく付き合っていく上での一つのキーワードですよね。部下の態度が悪いなと感じてもこちらは怒るのではなく、いい意味で流す。

変な言い訳を部下からされた時は「そんなことあるんだね〜」「すごい大変だったね」とか、まともに受け取った風を装っていました(笑)。いちいち引っかかるのも疲弊するだけなので、「世の中にはそういうこともある」と、いっそ飲み込むようにしていました。

Bさん:本当にどうしようもない部下と向き合うのは疲弊してしまいますからね!そして適材適所という考え方もあるので、状況によっては配置替えを上長に相談しても良いと思います。

改善の余地がありそうな場合は、こちらから自己開示をするようにして、心理的障壁がなくなるよう積極的なコミュニケーションも心掛けています。

Cさん:そうですよね。私も話しかけやすい上司でいるようにしています。例えば、忙しくても忙しそうな態度を出さない。話しかけられたら作業を止めて向き合う…といった日頃の態度です。

Bさん:素晴らしいです。そういう行動を管理職がとっていれば、部下も自己開示をしてくれて人物像がよく見えてるようになるんですよね。その結果、部下を一人の人間としてよく見た上での仕事の割り振りと声かけができるようになり、チームの生産性も上がる気がします。

解決が見込めないなら、上長など周囲に頼ろう

Aさん:逆に「理想の部下」ってどんな部下ですか?私は大前提として素直であってほしいなと思います。嘘をついたりうまく立ち回ろうとしたりするのは結局バレるので厄介です。仕事のスキルがそこまででも、素直で信頼できる部下が一番な気がします。

Cさん:わかります。まずは素直に人の意見を受け止められる部下が良いですね。あとは積極的に周囲とコミュニケーションをとって、自分の意思も伝えられることが、チームプレーには必要ですよね。

Bさん:うんうん。思っていることは溜め込まずに伝えてほしいですよね!

それに部下の立場の若い子の意見を聞くと、基本的に上司の人となりに興味を持っているそうです。彼ら彼女らも「この上司はこういう人だからこうしよう」と攻略法を考えているはず。だからこそ私たち管理職側も「何がしたいのか」「何をしてほしいのか」をオープンにした方がチームのためだと思っています。

ただ、問題を感じたら自分の上の役職者にすぐに相談することも大切。上長に相談したらその時点で自分の問題から「会社の問題」になり、解決策も見えてきます

自分で言うのもなんですが、今まで真摯に仕事をしてきたからこそ私たちは管理職になっているはずなんですよ。その姿勢さえ守っていれば、周りも助けてくれると思います。

Cさん:そうですね。部下との関係に悩んでいる方がいたら、上司や同僚の力も借りながらチームで乗り越えれば良い。

私たちがいつも頑張っている姿は、部下も見てくれているはず!周りに頼りつつ、意識して部下と話す機会を意識して増やしてみたら、良い方向に行くこともありそうです。





「困った部下」との関係は、誰にでも訪れるマネジメントの試練。しかし3名の話から見えてきたのは、“相手を変える”よりも“自分の捉え方を変える”ことで状況が少しずつ変わるという実体験でした。完璧を求めず、感情に流されず、必要なら上司や仲間に頼る。その姿勢が、チームを動かすきっかけになるのかもしれません。

  • line
  • リンクトイン

RANKINGランキング

  • 週間
  • 月間