社員のモチベーションが低下する要因とは?モチベーションアップ法も
社員のモチベーション低下は、仕事の生産性の低下や優秀な社員の離職を招く要因となります。しかし、モチベーションが低下する要因は人それぞれであるため、企業としての対策が難しいのも事実です。
この記事では、モチベーション低下の要因や、企業や管理職が取り組める社員のモチベーションを高める方法について解説しています。
目次
モチベーション低下の要因
モチベーションの語源は、動機を意味する英語の「motive」と行動を意味する「action」の2つの単語に由来するといわれており、日本語では「動機づけ」や「意欲」を意味します。ビジネスにおいてのモチベーションとは「目標達成や仕事の遂行のために動き出す原動力」を指します。
モチベーション管理についてはこちらの記事に詳しく書かれています。
社員の成果に結びつくモチベーション管理とは?管理のポイントを紹介
モチベーションは勝手に湧いてくる訳ではなく、むしろ内発的・外発的な要因によって容易に低下するものでもあります。
では、モチベーションが低下する要因はどのようなものが考えられるでしょうか?具体的にみていきましょう。
やりたい仕事が出来ていない
例えば、やりたい仕事ができていない時にモチベーションは低下します。
もちろん仕事ですから、時には社員本人が望んでいない業務を担当することもあるでしょう。しかし、少なくとも今取り組んでいる仕事が自分に何かしらプラスになる事柄だと思えることが重要です。
また、「初めは満足していたけれど、ずっと同じ仕事をして飽きてきた」という場合にもモチベーションは低下します。
業務量が多い
次に単純に業務量が多い場合です。
業務量が多ければ、毎日目の前の仕事に追われることになります。そのような状況に陥ると「仕事を早く終わらせたい」ということばかりに意識が向き、本来あった仕事の楽しさや意欲は感じにくくなります。
また、残業が多く睡眠時間が減る、休日出勤でプライベートが潰れることなどが常態化するとさらにストレスが溜まり、モチベーションは低下する一方でしょう。
人間関係の悪化
職場の人間関係は、会社への愛着やモチベーション維持にとって非常に重要な要素です。そのため、職場の人間関係が良くないとモチベーションは低下します。
居心地の悪い職場や気の合わない同僚、信頼できない上司の下では、頑張る気力を失くしてしまいます。
評価や給与に不満がある
評価や給与も社員のモチベーションを大きく左右するものです。
モチベーション向上のためだけに評価や給与を上げる必要はありません。ただし、その判断には公平性や納得感が必要不可欠です。評価基準が曖昧であったり、残業していても残業代が出なかったりする場合はモチベーションは著しく低下するでしょう。
モチベーション低下による企業のデメリット
では、社員のモチベーションが低下すると企業にとって具体的にどのようなデメリットが生まれるのでしょうか?
生産性が落ちる
モチベーションが低下した社員は、仕事に対して自発的な行動を起こさなくなります。自分の役割だけをこなす、上司から言われたことだけをするといった受け身の姿勢になりがちです。それでは成果をあげることはできないでしょう。
もちろん、そういった主体性に欠ける行動は評価にも直結しますから、評価が悪くなることでさらにモチベーションが低下し、負のループに陥ってしまいます。
また、モチベーションが低下した社員は周りにも悪影響を与える可能性があります。職場の雰囲気を悪くしたり、一緒に働いている社員のモチベーションを低下させる恐れもあるでしょう。
結果的にチームや部署全体の生産性が低下し、企業の業績悪化にも繋がりかねません。
このような症状が蔓延した状態を「大企業病」と呼びます。「大企業病」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
会社の成長を阻害する「大企業病」とは?特徴や克服のための対策
チャレンジやアイデアが生まれない
受動的に仕事をこなす社員は、新しく何かに挑戦することがなくなります。言われたことだけをこなすので、そういった社員からはチャレンジやアイデアが生まれてこなくなるでしょう。
変化の激しいこの時代に、時勢に合わせた柔軟な思考を持つことは非常に重要です。チャレンジやアイデアが生まれないことで、社会の変化についていけなくなり、企業の成長が鈍化する危険性もあります。
社員の離職を招く
モチベーションが低下した社員は最終的に「会社を辞めたい」と考えるようになります。
離職者が増えれば、その分一人あたりの業務は増加します。そうなると残っている社員にも負担が増え、さらなる離職を招く可能性もあります。
優秀な社員の離職を防ぐ「リテンションマネジメント」の記事についてはこちらをご参考ください。
優秀な社員の離職を防ぐリテンションマネジメントの重要性
管理職ができる社員のモチベーションアップ法
このようなことが起こらないためにも、管理職が取り組める部下のモチベーションアップの方法を具体的に解説します。
部下のモチベーションの状態を把握する
まず大切なのは、部下のモチベーションの状態を把握することです。今の精神状態や仕事の状況を正確に把握し、必要があればすぐにサポートに入れる体制を整えることが大切です。
モチベーションは短期間で変わるものです。そのため定期的に1on1ミーティングなどを設定し、こまめに部下の状態を把握することが大切です。
また、モチベーションの源泉は人によって違います。部下一人一人にあったモチベーションアップの方法を考えるためにも、チームを組んだ初期の段階では特にコミュニケーションの量を増やして相手を知ることに務めましょう。
キャリアプランを一緒に考える
例えば、「仕事が楽しくない」という悩みを部下から聞くこともあるでしょう。実際、管理職が部下からよく相談される悩みの一つでもあります。
そんな時は、一緒にキャリアプランを考えてあげると良いでしょう。経験が浅い部下は、今の仕事が自分にとって意味のあるものかどうかわからないことが往々にしてあります。そんな部下のキャリアプランを管理職が一緒に考えることで、部下の理想のキャリアに今の仕事がどうつながるか、線をつないであげることができます。
「今の仕事は自分のやりたいことを叶えるために必要」とわかれば、モチベーションが上がる人は多いものです。
人事や上司に相談する
それでも部下のモチベーションが下がってしまう場合、人事や上司に相談し、部署異動を検討をすることも大切です。
仕事とやりたいことが大きく食い違っている、または人間関係が良好でない可能性があります。新しいフィールドに行けば、生き生きと働き活躍してくれるかもしれません。
企業ができる社員のモチベーションアップ法
次に、企業が取り組むべき社員のモチベーションアップの方法を解説します。
仕事がしやすい環境を整える
人間関係でモチベーションが下がることがないよう、社員同士のコミュニケーションが円滑に進む環境を整えることは可能です。
・コミュニケーション目的のITツールの導入
・フリーアドレスの実施
・会議室や休憩室の整備
など、環境やツールを整えることは企業にしかできません。社員のモチベーション低下に悩む企業は、一度検討してみても良いかもしれません。
社内コミュニケーションの重要性については、ぜひこちらの記事もご覧ください。
社内コミュニケーションを活性化する重要性とは?事例を紹介
評価制度の明確化
評価制度の明確化も、企業でなくては取り組めないモチベーションアップ方法です。
悪い評価はモチベーションの低下に繋がってしまいます。しかし、その評価に納得のいく理由があれば、次は頑張ろうと思えるものです。
評価はできる限り客観的で、評価者によって指標がブレないものが良いでしょう。
研修の導入
社員のモチベーション低下を防ぐために、研修の導入も効果的です。
例えば仕事への理解を深めるために、専門的な研修を行うのも良いでしょう。もしくは自分の中にあるモチベーションを喚起するために、キャリア研修を行うのも良いと思います。
他にもセルフマネジメントや管理職に向けたチームビルディング、管理職候補に向けたフォロワーシップ研修など、次の一歩に進めるような研修が効果的です。
ただし研修はあくまで一時的にモチベーションを引き上げるためのものです。社員のモチベーションを持続させるためには、継続して様々な取り組みを行なう必要がある点には注意しましょう。
仕事にやる気をもって取り組める状態「ワークエンゲージメント」の記事についてはこちらをご覧ください。
ワークエンゲージメントとは?高めるための方法や測定方法を解説
まとめ:前向きに仕事ができる環境は組織で整えていこう
社員のモチベーション低下の原因は、本人だけでは取り除けないケースもたくさんあります。モチベーション管理を社員に任せきりにするのではなく、管理職や組織が意識的に介入することで、企業全体の生産性を上げていきましょう。