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会社の成長を阻害する「大企業病」とは?特徴や克服のための対策

「社員が隣の部署の仕事や他の人の仕事に全く興味を持たない」「社員全体のモチベーションが下がっている気がする」「新しいチャレンジが生まれない」そんな社内環境が常態化してきたら、「大企業病」のサインかもしれません。

 

この記事では、会社の成長を阻害する大企業病について、特徴や克服のための対策をご紹介します。

大企業病とは

大企業病とは、保守的でネガティブな組織体制や組織風土を指します。柔軟な変化を要求する現代の社会では、大企業病は会社の成長を阻害する大きな要因となってしまいます。

大企業病は、業績の安定した大企業で起こりやすいために、その名が付けられました。しかし、中小企業やベンチャー企業にも起こり得る可能性は十分にあるので注意が必要です。

大企業病に陥った組織の特徴

大企業病の特徴として、いくつか代表的な例をご紹介します。

自分の仕事以外興味を持たない

まずは、社員が自分の仕事以外に興味を持たなくなる状態です。

特に業務が細分化され、目の前の仕事さえやっていれば問題ない状況だと、社員は自分の仕事以外に興味を持たず視野狭窄になりがちです。

実際は、一人だけで完結する仕事はほとんどなく、社員は大きなプロジェクトの一部を担うことが大半です。しかし、自身の仕事にしか興味を持っていない場合、俯瞰的な視点を損なってしまいます。そうなると、仕事を進める上での判断軸が、プロジェクトの目的達成に向けたものではなく、「昔からこうしていたから」という自分の経験や従来のやり方に固執したものとなってしまい、予想外の出来事が起きた時の対処が非常に弱くなってしまいます。

新しいチャレンジをしない

続いての特徴は、「新しいチャレンジを嫌う傾向」の蔓延です。

大企業病に陥った会社では、社員のチャレンジに対する評価制度がないことが多く、上司も部下の失敗を嫌います。失敗を減点と取られる風潮があると、社員がリスクをとってまで新しいことに挑戦しなくなるのは自然なことです。

社員の働くモチベーションが低下

こういった閉塞的な環境は、社員のモチベーションの低下も招きます。

「必要最低限の仕事だけ終わらせればいい」「それは私の仕事とは関係がない」といった姿勢で仕事をする社員が多くなれば、当然生産性は落ち、個々のアウトプットにも影響が出てきます。最悪の場合、目先の数字や目標ばかりを追いかけるばかりに、コンプライアンス意識が低下し、データ改竄や不正に走るケースも出てきてしまいます。

優秀な人材の流出

そして、会社に新しい風を吹き込むような人材に対して排他的にもなります。その結果、チャレンジ精神旺盛で意欲的な優秀な人材ほど、大企業病に陥った会社には魅力を感じず、他社に流出してしまいます。

優秀な人材を繋ぎ止めるための「リテンションマネジメント」についての記事はこちらです。
優秀な社員の離職を防ぐリテンションマネジメントの重要性

顧客ニーズより社内ニーズを優先する

大企業病に陥った会社の社員の関心は「上司からの評価」や「日々の仕事の負担」に向きます。つまり、「顧客が何を求めているか」「どうしたら顧客に喜んでもらえるか」といった“顧客の視点”を忘れがちになってしまうのです。

会社というのは取引相手=顧客がいて初めて成り立つものです。“顧客の視点”をないがしろにしては、顧客離れが進み、業績は悪化してしまうでしょう。

意思決定が遅い

さらに、大企業病が蔓延する会社は風通しが悪く、形式を重んじることから意思決定に時間がかかる傾向があります。

このような会社では、決済処理が綿密にマニュアル化されているケースが少なくありません。そのため、必要以上に多くの承認者が設定されていたり、社内の決定を通すための資料がたくさん必要だったりと、プロセスに不必要な工数がかかっている場合があります。
そしてそのことに気付いても、大企業病が蔓延していると柔軟な対応がとれません。結果として意思決定が遅くなり、重要な商談や取引といった会社としての大きなチャンスを逃してしまう可能性もあるのです。

ハラスメントの温床になる

また社員が内向きで視野狭窄になってしまうと、物事の善悪の判断も曖昧になってしまい、ハラスメント行為も起きやすくなります。

ハラスメントについてはこちらの記事でも詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。
ハラスメントの種類とは? 職場でパワハラが発生する理由、管理職としての対処法

大企業病の要因

では、大企業病に陥る要因にはどのようなものがあるのでしょうか?

業績が安定している

まず、会社の業績が安定していることが挙げられます。もちろん、このこと自体は決して悪いことではありません。

業績が安定していることで変化を嫌う風潮が蔓延してしまうことが問題です。何か新しいことをしようとする行動が忌避されるようになったり、淡々と仕事をする波風を起こさない人が目に見えて評価されるようになると、会社の成長は停滞し、大企業病につながっていくでしょう。

変化を促す風土がない

また社内にチャレンジを促す取り組みや、現状の変化を促す取り組みがない場合、どうしても会社は現状維持に傾いてしまいがちです。型のないところで変化を起こすことは並大抵ではなく、変化を歓迎する風土は「仕組み」によって作る必要があります。

社内コミュニケーションが少ない

社内コミュニケーションが少ないと、他者への関心は薄れてしまいがちです。他部署や他者への無関心は、視野狭窄につながり、「自分さえよければいい」「自分たちの部署さえよければいい」と、自身の都合ばかり優先する社員を育ててしまうのです。

またコミュニケーションが少ない会社では、上層部のビジョンが社員に伝わっていないケースも多々あります。中間管理職が役割として機能していないことも多く、部署内でのコミュニケーション量も減っているので、他者への無関心が加速する傾向にあります。

コミュニケーション不足が与える影響や、中間管理職の役割についてはこちらの記事をご覧ください。
コミュニケーション不足が職場に与える影響とは?原因や対策を解説
中間管理職の役割とは?求められる能力やストレス対策を解説

見直されないルールが多い

細かな社内規定やルールの見直しを行っていないと、大企業病の要因になり得ます。

市場は常に変化するものなので、ルールもその変化に合わせて柔軟に変化するのが自然です。なぜそのルールが決められているのか・目的は何かについて考えなくなっている場合、大企業病に陥る可能性があります。

大企業病を克服するための対策

続いて、大企業病を克服するための対策をいくつかご紹介します。

会社の理念や目標の共有の場を設ける

会社の方針や目標、どういった想いをもって経営しているのかなど、理念や目標については定期的に共有の場を設けることが大切です。

そうすると、社内で一体感が生まれ、自然と社員同士に関心が向くようになります。社員同士の無関心が解消されれば、視野も広がるでしょう。

人事評価制度を見直す

人事評価制度を見直し、減点方式ではなく、チャレンジを促すような評価方針を作りましょう。
失敗してもその過程を評価される制度や仕組みがあれば、社員は安心感を持って新しいことに取り組めますし、上司もこれを応援できるでしょう。

社内コミュニケーションを活発にする

社内コミュニケーションを活発にし、他人に興味や関心を生むことも大切です。

とはいえ大企業病の懸念がある会社では、自発的な社内コミュニケーションを期待するのは難しいことです。会社側が社員が交流する仕組みを作ることも大切です。

定期的に研修や外部講演を行う

研修や講演によって、外部から新しい意見を取り入れることも効果的です。

社内にいると自分たちの状況はなかなか客観的に見えてきません。同じ会社の人の意見に対しては、排他的になりがちでも、外部の人間からの意見であれば耳を傾けることができるかもしれません。定期的に外部の意見を取り入れることによって、視野を広げることができるでしょう。

研修設計から、コンサルティング会社などに協力を依頼するのも一つの方法です。

変化を意図的に起こす

一度蔓延した大企業病は根深く、なかなか自然に改善するものではありません。改善を決意した時は、極端に思えても、変化を意図的に起こしていく必要があります。

大幅な組織変更、部署異動など、物理的に変化を起こす方法は会社であればいくつも挙げられます。目的を明確にした上で、会社が主導して取り組んでいくことが大切です。

まとめ:大企業病は企業規模に関わらず起こりうる

会社が大きくなり業績が安定することは、もちろん非常に喜ばしいことですが、転じて現状維持を望む姿勢にならないように気をつけることが大切です。

今の時代の多様性に合わせ、意図的に変化を意識し、会社の成長が止まらないように考え続けることが重要です。

 

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