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リーダーズ座談会

部下を叱ることってある? 管理職が本当にすべき指導法とは

社内では相談しづらい悩みや本音を語る、女性管理職のオンライン匿名座談会。今回のテーマは、「部下への叱り方」について。上司が部下を叱るのが当たり前だった時代もありましたが、今ってどうなの? 様々な業界の女性管理職に、部下への指導法を語ってもらいました。



【参加者】
Aさん(28歳):IT業。Webサービスの開発を行う部署の部長。部下は7名。

Bさん(32歳):運輸業。今年昇格し、2名の部下を抱える係長に。

Cさん(42歳):金融業。7人の部下を抱えるマネージャー。育児時短勤務中。

「叱る」ことではなく目標達成のための「支援」こそ管理職の役割

ーー皆さんは部下に何かを指摘する時に、「叱る」ことはありますか?
Aさん:いや、私は良くも悪くも「叱る」といった手法を取ることはないですかね。叱るって、相手の良くない部分を強くとがめるイメージがあります。部下に何か思うことがあっても、強い態度を取ることはないですね。

Bさん:私も叱る機会は今のところないです。管理職になってまだ半年ほどということもありますが。

Cさん:私もないです。というか、私だけではなく周りでも「叱る」ことで部下に指導しているような管理職って今は聞かない気がします。40代なので、新卒時代などはありましたが…。

Aさん:たしかに、私自身も上司に叱られた経験がないですね。注意・指導レベルのことはありますが、それも教え諭す感じの伝え方をしていただいていました。

Bさん:そうですよね。もちろん私も部下に指摘することはあります。でも、「こうしてください」ではなく「こうしてほしいと思っています」と、なるべく柔らかい表現にしています。
それに、部下がこちらの期待に応えられていない時は、一旦、コミュニケーションの問題を疑います。単に私の意図が部下に正しく伝わっていないだけかもしれないので。

Aさん:なるほど。私も叱るのではなく、「目標に未達であることを指摘して、行動をどうするか問いかける」という手法で指導しています。そもそも、管理職の役割は目標達成への支援だから、そのための行動変容に「叱る」ことがあまり効果的ではないのかも…と思っています。

Cさん:叱ったところで部下の目標達成に近づくわけではないですよね。私の現在のチームは中途入社が多く、長く社会人経験を積んできたメンバーばかり。叱って個人のやり方を変えるのではなく、それぞれの武器をチーム内でどう活かすかを考えてマネジメントしています。どちらかと言うと指導よりも支援の方が近いかも。

ミスの原因まで掘り下げると意外な盲点があることも

ーーそのように部下へ指導する際の悩みはありますか?
Cさん:結局は、各々の性格にあったフィードバックをしないといけないので、指導の仕方は毎回悩みますし、正直疲れますよね(笑)。

Bさん:わかります! 同じことを指摘するにも人によって言い方を変えなければいけない。なにが適切な伝え方なのかは、いつも頭を悩ませます。

Aさん:ですよね。私も伝え方が悪く、前提となるゴールの共有がうまくできていなかったために、指導がうまくいかない場面がありました。その時は目標の再確認をして、軌道修正をしました。

Cさんミスが発生した時、なぜそれが発生したかまで掘り下げると意外なボタンの掛け違いがあることに気付くことってありますよね。だから頭ごなしに叱るのはもったいない。

指導の際、部下自身に「気付き」を与える問いかけを

Bさん:指導の際には一緒に問題を掘り下げることで、部下自身に「気づき」を与えられそうですよね。

Cさん:たしかに。かつて、部下に対して細かな指摘や指示をし過ぎてしまったことがあるのですが、その部下は指示待ち状態になり、なんでも上司の意向を汲むようになってしまいました。
逆に、部下と一緒にミスの原因から再発防止策を考え、さらにそのフロー変更を部下に任せたところ、ミスが減っただけでなく部下のモチベーションが上がったことがあります。

Aさん:それで言うと、まさに「気付き」を提供できて良かったと感じた経験はあります。悩んでいる部下の話を聞くと、すでに当初の目標は達成できているのに、それに無自覚だったということがあって。「すでに本来の目標をすでに達成できている状態なのでは?」と問いかけをしました。その一言で、自身の現在地を把握できて、問題も整理されたようです。

Bさん:そうなれば、ある意味あとは勝手に成長してくれそうですよね。行動を認めるようなポジティブな問いかけだったのも良かったのかも。

部下の指導には、コーチングスキルも必要

Aさん:そもそもこっちだってネガティブな指摘はしたくないですもんね…。褒めて伸ばす方がラクですよ(笑)。

Bさん:本当にその通り! だからこそ、部下自身の力で問題解決できるように導くためのコーチングスキルも必要だと思っています。

管理職のコーチングスキルに関する記事はこちら
「部下の育成につながる! 管理職が身に付けるべきコーチングスキルとは」


Aさん:なるほど。やっぱり管理職って根気強いコミュニケーション能力が必要なんですよね。相手の合意を得て、同じ認識のうえで気持ちよく会話できる状態だと、目標達成に向けて一緒に伴走できるような関係性になりますもんね。

Bさん:そのためにも、大前提として論理的に説明できる言語化能力も必須だと思います。そう思うとプロセスを無視して結果だけに対して「叱る」のは、やっぱりちょっと古い指導なのかなとも個人的には感じます。

Aさん:管理職は指導者というより、あくまで支援者。目標達成に向けた支援・気づきを提供するマネジメントをこれからも意識していきたいですね。



今回の座談会では、3人とも部下を「叱らない」という結果に。でも、それはあくまで強い言葉での叱責はしないという意味。指導すべき時は伝え方に気を付けるということで、決して部下のミスや問題を放置するということではありません。管理職は部下を支援する立場として、適切なコミュニケーションでの指導が必要なのです。

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