管理職でも転職はアリ? <br>これからのキャリア形成、どう考えている?のイメージ画像

リーダーズ座談会

管理職でも転職はアリ?
これからのキャリア形成、どう考えている?

リーダーが抱える悩みは、なかなか社内では相談できないもの。他のみんなはどう解決しているのか探るべく、女性管理職のオンライン匿名座談会を実施! 今回のテーマは、「これからのキャリア」について。今後の転職・出世に関して、業界を超えた意見交換の中で見えてきた本音とは!?



【参加者】
Aさん(43歳):金融系企業勤務
7名の部下を抱えるマネージャー。4歳と7歳の子どもの育児中で、時短勤務をしながら管理職として働く。

Bさん(44歳):マスコミ系企業勤務
10名の部下を抱える部長職。雑誌の編集責任者。長くクリエイティブ職で働く。

Cさん(48歳):生命保険企業勤務
6名の部下を抱える地方支部のマネージャー。営業職として現場も担当している。

身に付けた専門性は、自信にも武器にもなる

――はじめに、皆さんのこれまでのキャリア変遷について教えてください。
Aさん:私はこれまで金融業界の中で2回転職しています。同じ業界での転職だったので、ネットワークも広がりましたし、専門性も深く身に着いたと思っています。

Bさん:29歳まで別の企業で事務職をしていましたが、30歳になる前に長く続けられる仕事に就きたいと思い、転職をしました。最初はアルバイトの編集者として現在の会社に入社し、業務委託、契約社員を経て、37歳のときに正社員に。もともと自己肯定感が低いタイプなのですが、「編集者」という専門職に就けたことで、30代になってやっと自信をもって生きられるようになりました。

Cさん:専門性が自信になる感覚、とてもわかります! 私は元々、別業界のアルバイトで働いていたのですが、今後の収入面の安定や福利厚生を考え、23歳で現在の会社に正社員で入社しています。以来、もう20年以上営業職を続けています。営業としてのスキルは身についていたので、出産・育児を経てもやっぱり仕事を続けようと思えました。

Aさん:たしかに。私の場合、産後もバリバリ仕事をこなそう! というより、「何かしらで社会とつながっていたい」とは思っていたので、仕事に復帰したのですが、それでも管理職になれた。これまで自分が身に付けたスキルや専門性は裏切らないんですよね。

管理職のキャリアの悩みは、転職では解決しない?

――ということは、今後の管理職としてのキャリア形成にもあまり悩みはないのでしょうか?
Aさん:いや、そんなこともなく(笑)。やはり管理職になってからは、責任も増えた分、キャリアについてより悩むようになりました。仕事と育児との両立が想像していた以上に難しくて、この先も同じ、もしくはそれ以上のパフォーマンスをだせる自信がなく、不安に感じます。

Bさん:管理職と育児の両立は、どちらも気が休まらなそうで大変ですよね……。私の場合は結婚が遅く、ただ今、妊活中です。30代はほぼ仕事しかしてこなかったので、無事に妊娠できたら、最低でも5年は仕事よりも家族を優先したいと考えていて。そうなると管理職を降りるしかないのかなと考えてしまいます。

Aさん:「仕事を辞めたい!」とは思っていないのですが、もう少し子供を優先した働き方にシフトはしたいんです。だから、これからも仕事の専門性は磨きたいものの、昇格を目標とはしておらず。でも会社としては、キャリアアップして昇格を目指してほしいという意向があって、そのギャップが悩ましいです。

管理職になると責任が増える分、よりワークライフバランスのとりかたが難しい! ※画像はイメージです。

Cさん:私の場合、管理職とは言え営業としての自分の予算も持っています。自分もチームも目標を達成しなければならないプレッシャーがあり、特に部下の育成に煮詰まった時などは、疲弊してしまって環境を変えたくなりますね。でもいきなり転職するのは、部下に対しても無責任な気もしています。

Aさん:この生活がずっと続くのかと思うと、体力的にも先々のことを考えてしまいますよね。

Cさん:かといって同じ管理職クラスでの転職だと、結局いま抱えているプレッシャーからは免れないのかなという気もしています。

Bさん:たしかにそうですよね。たとえば営業力や、私の場合だと編集スキルのような”個人として活躍できる“専門性だけでなく、マネジメントスキルやチームビルディングスキルも同時に磨かないと、転職したとて今の悩みの突破口は見つからないのかもしれないですね。そういう意味で、管理職の転職はハードルが高いのかも。

Aさん:業務の中で経験を積むだけではなく、スキルアップのための行動は必須ですよね。私もこれからは会社が開催してくれる勉強会や研修には可能な限り積極的に参加しようと思っています。

キャリアのモデルはいなくても、仕事術のモデルはいるはず

――そういった今後のキャリアを考える時、ロールモデルになるような方はいますか?
Aさん:いないですかね。たとえ子育て中の上司でも、抱える仕事量、子どもの年齢や家族の協力度はバラバラですし、状況が全く同じ人はいないので。自分で自分の道を切り拓くしかないと思っています。

Cさん:私も「ついて行きたい!」 と思う上司はいましたが、ロールモデルとは違う気もします。身近にいた女性の上司は次々と50代で退職しているので、これから先、参考にできる方はいないですね。

Bさん:私も、ライフスタイル面でのロールモデルはいないです。ただ、「マネジメントスキル」のロールモデルとして、現在の上司を参考にしています。とても低姿勢で、部下が抱える問題は一緒に解決策を考え、できないことは自分が引き受けるスタンスなんです。威厳やカリスマ性で目立つのではなく、寄り添い、自ら動く姿勢を見せることで部下に尊敬されたいと、私も思っています。

Cさん:素敵な上司ですね! そもそも女性上司が少ないので、キャリア形成という意味で参考にできる方がいない悩ましさもありますが、仕事のスキル面では男女関係なく参考にできる方はいますよね。キャリアは自分で模索するしかないですが、これからも管理職としてのスキルは先人たちから吸収していきたいです。

管理職のスキルは、キャリアを考える時にも活きる!

――最後に、管理職になったことでキャリアにどんなプラスがあったのか、教えてください。
Aさん:自分のことだけでなく、メンバーのモチベーションアップやチームをどう上手く回すかなどを考えるようになったので、さまざまな立場や視点で物事を考えられるようになりました。家族と過ごす時にもそのことを大切にしているので、余計な衝突が減ったかも。大変ながらも仕事と家庭を両立したキャリアを歩めているのは、このマネジメントスキルのおかげかもしれないです。

Bさん:マネジメントスキルって仕事以外にも活きますよね。私も会社全体の利益を意識するようになったから、物事を俯瞰で見られるようになりました。だからこそ今後のキャリアについても、闇雲に「出世したい」と思うのではなく、自分にとって、家族にとって、仕事仲間にとってのベストは何かを考えるようになりました。

Cさん:わかります。俯瞰の視点があるから、ベテランと呼ばれる年次になっても、成長し続けられている気がします。たとえば、いっときの数字が思うように伸びなくても、落ち込むのではなく冷静に原因と対策を考えられるから、さらに大きな結果につながるというように。


今後のキャリアに悩むということは、それだけ選択肢が広がっているということでもあります。管理職でも家庭との両立もできるようになってきているからこそ、自分らしいキャリアとは何か、しっかりと考えたいですね。
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