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カイゼン・マネジメント
【ボトムアップ型 × 行動指示スタイル】

カイゼン・マネジメントとは

カイゼン・マネジメントは、メンバーに対し“行動レベルでの精緻な管理”を行いつつ、現場からの提案やフィードバックも重視するマネジメントスタイルです。

基本的に、上位者からの指示やハイパフォーマーの業務手順を行動基準化(マニュアル化)し、それをメンバーに徹底させる管理手法をとります。

しかし、それに留まらず、メンバーの現場体験を踏まえた提案、フィードバックなどを反映して、必要に応じて、行動基準(マニュアル)がアップデートされる点が大きな特徴です。

カイゼン・マネジメントは、画一的かつ安定的な処理が求められる領域において非常に有効ですが、マニュアルが柔軟にアップデートされる分、マニュアルの周知徹底度合いは、システマチック・マネジメントと比べて下がる傾向にあります。

そのため、業務上のミスが生命・身体などの大きな損害に直結するようなセンシティブな領域で用いるときには、十分な注意を払う必要があります。

その意味では、どちらかというと、接客、営業等のホスピタリティが求められる領域にマッチしやすいマネジメントスタイルとされています。

カイゼン・マネジメントの長所と短所

◆長所
定まった行動基準(マニュアル)に基づいてメンバーが画一的に業務を行うため、組織として、ミスが少なく効率性が良い安定的なパフォーマンスを発揮することができます。また、メンバーの意見を吸い上げながら行動基準(マニュアル)がアップデートされるため、行動基準(マニュアル)が陳腐化しにくく、さらに、現場のフィードバックを有効に取り入れることで効率性のさらなる追求も可能になります。加えて、メンバー視点では、自分の意見が採用されることで、自発性や組織に対する参画意識、エンゲージメントが高まる利点もあります。

◆短所
システマチック・マネジメントと比べると、メンバーの自発性の発揮が期待できますが、カイゼン・マネジメントにおいても、基本的には、メンバーは指示された行動を忠実に遂行することが求められます。そのため、イレギュラーな事態への対応力は依然として低い傾向があります。また、システマチック・マネジメントと異なり、「行動基準(マニュアル)はメンバーの意見で変更可能なもの」という組織内の認識が、行動基準(マニュアル)の不徹底に繋がるおそれがあります。さらに、行動基準(マニュアル)の更新の際、メンバーへのヒアリング、上位レイヤーからの指示やハイパフォーマーの業務手順との慎重な照らし合わせ、新たな行動基準(マニュアル)の周知徹底などが必要となり、その点が管理職にとって負担となる可能性があります。

カイゼン・マネジメントを機能させるポイント

1.明確な指示と丁寧な監督が求められます。そのため、メンバーとの業務上のコミュニケーション頻度を高めなければなりません。また、システマチック・マネジメントと異なり、「メンバーからの改善提案への対応」も発生するため、システマチック・マネジメントよりも、管理職の負荷は高まる傾向にあります。メンバーへの確認やフィードバックの頻度を柔軟に調整する必要があります。

2.システマチック・マネジメントほどではありませんが、メンバーにとっては仕事のやりがいを見出しにくいマネジメントスタイルになります。そのため、業務内容以外の部分でメンバーの満足度を上げることが重要になります。具体的には、メンバーが働きやすい環境を整備すること、メンバー間の人間関係に常に気を配り一体感を醸成すること、メンバーと良好な関係を保ち、自身に対する信頼性を高めることなどが求められます。

3.行動基準(マニュアル)にメンバーの意見が反映されうることで、メンバーの参画意識を高める利点がありますが、同時に、意見が採用されない場合のメンバーのケアも必要になります。なぜ、意見を採用できないのか、言葉を尽くして丁寧に説明することが大切です。



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【制作】Be myself 編集部
【参考】ラリー・E・グレイナー『Evolution and Revolution as Organizations Grow』、曽和利光氏『人事と採用のセオリー』、『EQ こころの知能指数』、バーナード・M・バスが提唱した変革型・取引型リーダーシップ理論、フレデリック・ラルーが提唱した組織フェーズの5段階理論(『Reinventing Organizations』)

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