マネジメントスタイルの選び方~6つのスタイルの使い分け~のイメージ画像

管理職ラボ

マネジメントスタイルの選び方~6つのスタイルの使い分け~

2022.12.14

マネジメントスタイルとは?

管理職キャリアを歩む方にとって、「メンバーをどのようにマネジメントするか」は、最大の関心事だと思います。一方で、あなたの周りの管理職に目を向けたときに、マネジメントのスタイルが人により異なると感じることも多いのではないでしょうか。

 

本来、“組織にとっての最適なマネジメントスタイル”は、マネジメントする組織の規模や置かれた状況、マネジメントの対象となるメンバーの資質や業務内容、レイヤーなどにより異なります。そのため、これらを把握したうえで、最適なマネジメントスタイルを使い分けるのが理想的です。

 

現在、世の中で広く使用されている「マネジメント」の概念は、20世紀初頭から活躍したオーストリア人経営学者、ピーター・F・ドラッカーの影響を強く受けていると言われています。ドラッカーは『Management』という著書の中で経営学を体系化した、“マネジメントの父”とも呼ばれる存在です。

 

そのドラッカーは、マネジメントを、「組織の成果を上げさせるための道具・機能・機関」と定義していました。そのうえで、マネジメント業務を5つの業務に分類をしています。

 

①目標設定
②組織作り
③コミュニケーション
④評価
⑤人材育成

 

これら5つの業務に対する、アプローチ方法や意思決定方法、注力度合いの違いが、マネジメントスタイルの違いとして表れることになります。

 

冒頭でお話したように、マネジメントスタイルは組織の状況を踏まえて最適なスタイルを使い分けるのが理想ですが、人それぞれが持つリーダーシップ傾向や価値観の違いから、どうしても、得意なマネジメントスタイル・苦手なマネジメントスタイルが出てきます。

 

まずは、自分自身の得意なマネジメントスタイル(本稿では「コアマネジメントスタイル」と呼びます)を知ったうえで、そのコアマネジメントスタイルに調整を加えながら、他のマネジメントスタイルを使い分けて行くのがおすすめです。

 

マネジメントスタイルの分類

マネジメントスタイルに関しては、これまでにも様々な切り口から分類が行われていますが、ここではラリー・E・グレイナーが提唱した5段階企業成長モデル(ラリー・E・グレイナー『Evolution and Revolution as Organizations Grow』、曽和利光氏『人事と採用のセオリー』)やダニエル・ゴールマンが提唱した6つのリーダーシップスタイル(『EQ こころの知能指数』)、バーナード・M・バスが提唱した変革型・取引型リーダーシップ理論、フレデリック・ラルーが提唱した組織フェーズの5段階理論(『Reinventing Organizations』)などをもとに、“意思決定プロセス”“管理手法”を切り口とした6つのマネジメントスタイルをご紹介します。

 

ハンズオン・マネジメント
【トップダウン型 × 求心力スタイル】

ハンズオン・マネジメントは、組織の目標設定やメンバー個々人の目標設定、その他の意思決定の場面で、ほぼ一人で決断を下すのが特徴です。

 

一方で、メンバーの管理手法としては、役割分担は行うものの、定まった管理は行わず、メンバーが壁に直面してから、直接・リアルタイムに指導する形を好みます。

 

メンバー一人一人に目が行き届く人数(4~5名程度)で構成され、なおかつ、管理職のプレイヤーとしての業務遂行能力・知見がメンバーと比較して優れている組織にマッチするマネジメントスタイルとされています。

 

例えば、創業社長がプレイングマネージャーに近い形で組織運営に携わる小規模企業(スタートアップ企業、町工場など)やユニット制度を採用する企業におけるユニット組織、部門横断型の短期プロジェクトチームなどがこれに当たります。

 

◆長所
組織としての意思決定が速く、イレギュラーな事態が起こったときの対応力に優れます。また、一旦、役割分担だけを行えばある程度は機能するため、組織の洗練をそれほど必要とせず、組織立ち上げの準備期間が少ない状況でも、一定以上のパフォーマンスを発揮できるのも強みです。

 

◆短所
管理職への依存度が高く、組織のパフォーマンスが管理職の能力に左右されやすい点がネックになります。また、何らかの理由で、メンバーに対する管理職の求心力が低下したときに、組織として機能しなくなるリスクが一気に高まります。

 

 

-ハンズオン・マネジメントを機能させるポイント-

 

1.他のメンバーに対する業務遂行力、高い知見の維持に努める必要があるため、プレイヤーとしても成果を残し、仕事に必要な知見のインプットを怠らないことが重要になります。

 

2.管理職に対するメンバーからの継続的な支持が不可欠です。そのため、メンバーに対し、自身のインテグリティ(清廉、真摯、高潔)やコンプライアンス意識の高さを普段から示す必要があります。また、課題に直面しているメンバーに対し、献身的にフォローする姿勢を見せるなど、メンバーからの信頼性を高めるためのケアも重要です。

 

3.管理職への依存度が高いマネジメントスタイルとなります。そのため、メンバーの管理コストを下げるために、当初の役割分担がキーとなります。

 

4.人手不足で管理職がプレイヤーとしての役割を担わざるをえない組織や軸となるメンバーが離脱し混乱中の組織などで、意図せずに、ハンズオン・マネジメントを採用しているケースがあります。その場合は、ハンズオン・マネジメントを機能させることよりも、一刻も早く人員を補充することを優先させた方がよいかもしれません。

 

システマチック・マネジメント
【トップダウン型 × 行動指示スタイル】

システマチック・マネジメントは、組織にまつわる意思決定の場面で、管理職がほぼ一人で決断を下すスタイルです。管理手法としては、メンバーに対する行動レベルでの精緻な管理を行います。具体的には、管理職として“メンバーそれぞれに行って欲しい行動”をリスト化し、それが適切に実行されているか否かを厳格に確認する手法になります。

 

業務上、“ミスをしないこと”に重きが置かれる領域や定型的な業務が多い領域などにマッチしやすいマネジメントスタイルです。

 

金融・保険、不動産などの官公庁からの規制が厳しい業界や、医療・製薬、建設、運輸、製造など業務上のミスが身体・生命に直結しやすい業界などが例として挙げられます。また、経理部門をはじめとして、その業務上のミスが会社の大きな損害に直結しやすい職種においても、システマチック・マネジメントは有効です。

 

◆長所
明確な行動指示があることで、メンバーのミスを減らし、業務効率を高めることができるため、組織のパフォーマンスが安定するメリットがあります。また、経験の浅いメンバーがいる場合でも早期に戦力化できる点も強みになります。そのため、メンバーの入れ替わりの多い組織でも、常に一定レベルのパフォーマンスを期待できます。

 

◆短所
行動指示から逸脱した行動が推奨されない分、メンバーの自発性が発揮されにくく、イレギュラーな事態への対応力が下がる傾向にあります。また、メンバー視点では、自由を制限されていると感じやすく、仕事のやりがいの低下に繋がるおそれがあります。加えて、法改正や行政官庁からの新たな通達、社内ルールの変更等の変化に応じて行動基準(マニュアル)を随時更新し、メンバーに周知徹底する必要があるため、管理コストが高くなりがちです。

 

 

-システマチック・マネジメントを機能させるポイント-

 

1.システマチック・マネジメントは、メンバーの自由が制限される分、不満を醸成しやすいマネジメントスタイルです。「そもそも、システマチック・マネジメントが有効な場面なのか」を慎重に判断して活用する必要があります。

 

2.システマチック・マネジメントの最大の利点は、メンバーのパフォーマンスの“再現性の高さ”にあります。そして、システマチック・マネジメントを採用する以上、その“再現性”を阻む要因は排除する必要があります。それは、メンバーの創意工夫による業務手順の変更、管理職以外の者からの親切心による業務の助言なども含まれます。

 

3.行動基準(マニュアル)の作成や更新の際、法令やガイドライン、社内規程、ときに上位レイヤーからの指示の落とし込みを要するため、これらのルールの理解を深め、改正動向等にも常にアンテナを張ることが重要です。

 

4.“指示の明確性”“丁寧な監督”が求められるマネジメントスタイルとなるため、①解釈の余地のない具体的な行動基準(マニュアル)の作成②メンバーとの高頻度でのコミュニケーション(確認、指導)が必要になります。

 

5.仕事のやりがいの低下を招きやすいマネジメントスタイルとなる分、メンバーが働きやすい就業環境の整備や業務内外での良好なコミュニケーション、メンバー間のチームワークの醸成などを通じ、管理職あるいは組織に対する愛着をいかに高められるかが、モチベーション向上のポイントになります。

 

アチーブ・マネジメント
【トップダウン型 × 結果主義スタイル】

アチーブ・マネジメントは、組織の目標やメンバー個々の目標など、組織にまつわる意思決定を、原則として管理職単独で行うマネジメントスタイルです。

 

アチーブ・マネジメントは、売上や販売数、アポイントメント数など、具体的な数値目標を達成しなければならない組織を管理する際に有効とされています。具体例としては、BtoB事業における営業部門やインサイドセールス部門、BtoC事業における販売部門などが挙げられます。

 

◆長所
「ノルマさえ果たせば、やり方は各々の自由」という形をとるため、メンバーがノルマ達成にフォーカスして、創意工夫を施すようになります。そうした、メンバー個々の自発性の発揮が組織全体としてのパフォーマンス向上に繋がりやすい点が最大の特徴です。状況にマッチすれば、成果を生み出しやすいマネジメントスタイルともいえます。また、結果に対してメンバー自身でPDCAサイクルを回すことが求められるため、管理職が指導やフィードバックにかける時間は少なく、管理コストが低いのも特徴です。

 

◆短所
アチーブ・マネジメントでは、管理職の管理コストが低い反面、経験の浅いメンバーなど、指導やフィードバックを必要としているメンバーのパフォーマンスが停滞するリスクがあります。また、メンバー個々が自分のノルマ達成にフォーカスし過ぎた結果、チーム内での競争が激化し、足の引っ張り合いやチームワークの欠如などが見られやすくなります。そのため、メンバーの組織への帰属意識が高まりにくく、成果に見合った報酬を支払い続けない限り、離職されるリスクが高まります。

 

 

-アチーブ・マネジメントを機能させるポイント-

 

1.アチーブ・マネジメントでは、①メンバーの力量や特性に見合ったノルマの設定と②メンバーの満足度を十分に満たすインセンティブの設定が肝となります。そのため、1on1ミーティングなどを通じて、メンバーの力量やモチベーション、組織への帰属意識を慎重に見極めることが重要になります。

 

2.メンバーが個人のノルマにフォーカスし過ぎた結果、部分最適に陥り、メンバー間で足を引っ張り合う状況が生まれることがあります。そうした状況下で、管理職がいかに両者のモチベーションを落とすことなく全体最適を図れるかがポイントになります。当事者となっているメンバーに対する適切な情報開示、説得に向けての丁寧な説明が重要です。

 

3.経験の浅いメンバーなどを想定し、大枠となる行動基準(マニュアル)を組織内で共有しておくとよいでしょう。また、メンバーの特性、力量によっては、システマチック・マネジメントがマッチするケースもあるため、メンバーごとに指導やフィードバック・トレーニングを加える度合いを調整する必要がありそうです。

 

4.良くも悪くも、メンバーが個人主義に走りがちなマネジメントスタイルです。そのため、メンバーはノルマ達成に繋がらない行動(他のメンバーのサポート、本業以外での組織への貢献など)を敬遠しがちで、チームワークが醸成されにくい面があります。チームワーク醸成への貢献も評価項目に含めるなどの工夫が大切になります。

 

カイゼン・マネジメント
【ボトムアップ型 × 行動指示スタイル】

カイゼン・マネジメントは、メンバーに対し“行動レベルでの精緻な管理”を行いつつ、現場からの提案やフィードバックも重視するマネジメントスタイルです。

 

基本的に、上位者からの指示やハイパフォーマーの業務手順を行動基準化(マニュアル化)し、それをメンバーに徹底させる管理手法をとります。

 

しかし、それに留まらず、メンバーの現場体験を踏まえた提案、フィードバックなどを反映して、必要に応じて、行動基準(マニュアル)がアップデートされる点が大きな特徴です。

 

カイゼン・マネジメントは、画一的かつ安定的な処理が求められる領域において非常に有効ですが、マニュアルが柔軟にアップデートされる分、マニュアルの周知徹底度合いは、システマチック・マネジメントと比べて下がる傾向にあります。

 

そのため、業務上のミスが生命・身体などの大きな損害に直結するようなセンシティブな領域で用いるときには、十分な注意を払う必要があります。

 

その意味では、どちらかというと、接客、営業等のホスピタリティが求められる領域にマッチしやすいマネジメントスタイルとされています。

 

◆長所
定まった行動基準(マニュアル)に基づいてメンバーが画一的に業務を行うため、組織として、ミスが少なく効率性が良い安定的なパフォーマンスを発揮することができます。また、メンバーの意見を吸い上げながら行動基準(マニュアル)がアップデートされるため、行動基準(マニュアル)が陳腐化しにくく、さらに、現場のフィードバックを有効に取り入れることで効率性のさらなる追求も可能になります。加えて、メンバー視点では、自分の意見が採用されることで、自発性や組織に対する参画意識、エンゲージメントが高まる利点もあります。

 

◆短所
システマチック・マネジメントと比べると、メンバーの自発性の発揮が期待できますが、カイゼン・マネジメントにおいても、基本的には、メンバーは指示された行動を忠実に遂行することが求められます。そのため、イレギュラーな事態への対応力は依然として低い傾向があります。また、システマチック・マネジメントと異なり、「行動基準(マニュアル)はメンバーの意見で変更可能なもの」という組織内の認識が、行動基準(マニュアル)の不徹底に繋がるおそれがあります。さらに、行動基準(マニュアル)の更新の際、メンバーへのヒアリング、上位レイヤーからの指示やハイパフォーマーの業務手順との慎重な照らし合わせ、新たな行動基準(マニュアル)の周知徹底などが必要となり、その点が管理職にとって負担となる可能性があります。

 

 

-カイゼン・マネジメントを機能させるポイント-

 

1.明確な指示と丁寧な監督が求められます。そのため、メンバーとの業務上のコミュニケーション頻度を高めなければなりません。また、システマチック・マネジメントと異なり、「メンバーからの改善提案への対応」も発生するため、システマチック・マネジメントよりも、管理職の負荷は高まる傾向にあります。メンバーへの確認やフィードバックの頻度を柔軟に調整する必要があります。

 

2.システマチック・マネジメントほどではありませんが、メンバーにとっては仕事のやりがいを見出しにくいマネジメントスタイルになります。そのため、業務内容以外の部分でメンバーの満足度を上げることが重要になります。具体的には、メンバーが働きやすい環境を整備すること、メンバー間の人間関係に常に気を配り一体感を醸成すること、メンバーと良好な関係を保ち、自身に対する信頼性を高めることなどが求められます。

 

3.行動基準(マニュアル)にメンバーの意見が反映されうることで、メンバーの参画意識を高める利点がありますが、同時に、意見が採用されない場合のメンバーのケアも必要になります。なぜ、意見を採用できないのか、言葉を尽くして丁寧に説明することが大切です。

 

オブジェクティブ・マネジメント
【ボトムアップ型 × 結果主義スタイル】

オブジェクティブ・マネジメントは、メンバーの管理手法として、目標とインセンティブの設定で管理する手法をとります。メンバーと対話しながら目標を定め、目標達成時の報酬を事前に取り決めたうえで、メンバーの目標達成の有無を確認するやり方です。

 

このスタイルは、アチーブ・マネジメントと似ていますが、目標を決める際に管理職がメンバーの意見を聴くか、独断で決めるかという点に大きな違いがあります。また、アチーブ・マネジメントは具体的な数値目標を「期限付き」で求められる組織で多く採用されるのに対し、オブジェクティブ・マネジメントは、定性的な目標が設定される組織においても幅広く採用されるのが特徴です。目標設定においてオブジェクティブ・マネジメントは、アチーブメント・マネジメントと比較したときに、目標の強制度は低く、インセンティブも低めとなる傾向があります。

 

◆長所
メンバー自身が目標設定に関わり、それをメンバー自身の創意工夫で達成する形をとるため、メンバーの主体性がより育まれやすいスタイルです。そのため、管理職が指導やフィードバックにかける時間が比較的少なく済む傾向があります。また、アチーブ・マネジメントと比較して、目標の強制度が低くなる分、組織内での過当競争、足の引っ張り合いといった現象がアチーブ・マネジメントよりも起こりにくいのも特徴です。メンバーに裁量が与えられる分、業務内容に対する満足度も高まりやすく、成熟したメンバーがそろった組織では成果を生み出しやすいマネジメントスタイルです。

 

◆短所
アチーブ・マネジメントと比較したときに、目標の強制度とインセンティブが低くなりがちです。そのため、メンバーの目標達成に対するコミットメント度合いが下がる可能性があり、メンバーによっては十分なパフォーマンスが発揮されないおそれがあります。また、システマチック・マネジメントと異なり、緻密な行動指示を前提としていないため、成熟度の低い(自ら目標達成のための行動を考えられない)メンバーに対しては不向きといえるでしょう。

 

 

-オブジェクティブ・マネジメントを機能させるポイント-

 

1.オブジェクティブ・マネジメントが有効なのは、業務スキルとマインドの両面で成熟したメンバーに限られます。まずは、メンバーとオブジェクティブ・マネジメントとの相性を慎重に見極めることが重要です。そのうえで、オブジェクティブ・マネジメントがマッチしないメンバーに対しては、その特性、成熟度に合わせて、アチーブ・マネジメントシステマチック・マネジメントを使い分ける必要があります。

 

2.アチーブ・マネジメントほどではないにせよ、メンバーが個人の目標達成に近視眼的になり、結果的に他のメンバーと足を引っ張り合う構図が生まれることがあります。メンバー視点では、それぞれが目標達成に真摯に向き合った結果なので、そこに管理職からストップをかけられると、メンバーの不満が増幅するおそれがあります。管理職として、いかに両者の調整を行い、全体最適を図れるかがポイントです。

 

3.オブジェクティブ・マネジメントでは、メンバー個々の目標設定をメンバーの意見を聞きながら行いますが、メンバーからは“達成の可能性が高い目標”を提案されがちで、メンバーの力量に対して、やや低めの目標設定となるおそれがあります。メンバーの意見、メンバーの力量、性格を見極めたうえで、メンバーの育成にも繋がるような適切な負荷のある目標を設定する必要があります。

 

メンタリング・マネジメント
【ディスカッション型 × 結果主義スタイル】

メンタリング・マネジメントは、組織の目標設定やメンバー個人の目標設定、ときには組織作りに関する事項まで、組織内のあらゆる意思決定のプロセスにメンバーが深く関与する点が最大の特徴です。よりメンバーの自由度が高いマネジメントスタイルと言えます。管理職はメンバーに対し組織のビジョンを示し、メンバーは非常に大きな裁量のもと、自発性を発揮して組織及び個人の目標の実現に向かいます。

 

管理手法としては、目標管理が主となりますが、管理の側面は弱く、どちらかと言うとメンターのような立ち位置で、メンバーの壁打ち役やアドバイザー役となります。

 

メンタリング・マネジメントは、ビジョンを持った創業者とそれに共感したハイパフォーマーで立ち上げたスタートアップ企業などで多く見られるマネジメントスタイルです。それ以外でも、ビジネス環境の変化が激しく、イレギュラーな課題に挑む機会の多い領域にマッチしやすい手法といえます。

 

◆長所
メンバーが組織内のあらゆる事項に主体的に関わることができるため、各メンバーの参画意識を高めることができます。そのため、メンバーのモチベーション、エンゲージメントを高く保つことができます。また、メンバーが管理職の示したビジョンにフォーカスし、自発性を発揮して業務を遂行するため、仕事の目的や使命、組織の存在意義などを見失いにくいのも特徴です。その分、組織としての創造性、課題解決力が高まる傾向があります。加えて、管理職がメンバーを管理するコストが低いのも特徴です。

 

◆短所
意思決定のプロセスに多数の人間が関わり、議論やヒアリングなどを行うため、メンバーの成熟度によっては、意思決定の質やスピードが落ちる可能性があります。また、管理職による管理の度合いが低いため、課題に直面したメンバーが、かえって孤立を感じる場面もあります。

 

 

-メンタリング・マネジメントを機能させるポイント-

 

1.メンタリング・マネジメントを採用する大前提として、メンバーが監督の必要がないほどに高い業務スキルとマインドを備えている必要があります。そのため、まずはメンバーの力量の見極めに注力する必要があります。

 

2.メンタリング・マネジメントでは、“組織のビジョンへの共感”がメンバー間の絆を強め、仕事のモチベーションを高める要素となります。そのため、管理職はメンバーを惹きつけ、納得させられるビジョンを描き、語らなければなりません。

 

3.メンバーの能力を十分に発揮させられるかがポイントとなるため、管理職はメンバーに対し、快適な業務環境(十分なリソースとツール)を提供できるよう力を尽くさなければなりません。

 

4.メンタリング・マネジメントの欠点として、メンバーによるディスカッションが迷走し、意思決定の質とスピードが低下するリスクが挙げられます。管理職は必要に応じて、本質的な問いを投げかけ、ディスカッションを適切な方向に導く必要があります。

 

5.メンタリング・マネジメントでは、管理職による管理の度合いが低いために、組織内の問題発覚が遅れるおそれがあります。メンバーが管理職に相談しやすい関係性や仕組みを作り上げること、いつでも助け舟を出せるようメンバーの状態の“観察”に力を注ぐことが重要です。

 

6.管理手法としては“目標管理”が主となりますが、目標の達成度の確認の主目的は、メンバーの査定ではなく、「メンバーが直面している課題を具体化し解決をサポートするため」と心掛けた方が、メンバーの能力を十分に発揮させられるでしょう。

 

 





【制作】Be myself 編集部
【参考】ラリー・E・グレイナー『Evolution and Revolution as Organizations Grow』、曽和利光氏『人事と採用のセオリー』、『EQ こころの知能指数』、バーナード・M・バスが提唱した変革型・取引型リーダーシップ理論、フレデリック・ラルーが提唱した組織フェーズの5段階理論(『Reinventing Organizations』)