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システマチック・マネジメント
【トップダウン型 × 行動指示スタイル】

システマチック・マネジメントとは

システマチック・マネジメントは、組織にまつわる意思決定の場面で、管理職がほぼ一人で決断を下すスタイルです。管理手法としては、メンバーに対する行動レベルでの精緻な管理を行います。具体的には、管理職として“メンバーそれぞれに行って欲しい行動”をリスト化し、それが適切に実行されているか否かを厳格に確認する手法になります。

業務上、“ミスをしないこと”に重きが置かれる領域や定型的な業務が多い領域などにマッチしやすいマネジメントスタイルです。

金融・保険、不動産などの官公庁からの規制が厳しい業界や、医療・製薬、建設、運輸、製造など業務上のミスが身体・生命に直結しやすい業界などが例として挙げられます。また、経理部門をはじめとして、その業務上のミスが会社の大きな損害に直結しやすい職種においても、システマチック・マネジメントは有効です。

システマチック・マネジメントの長所と短所

◆長所
明確な行動指示があることで、メンバーのミスを減らし、業務効率を高めることができるため、組織のパフォーマンスが安定するメリットがあります。また、経験の浅いメンバーがいる場合でも早期に戦力化できる点も強みになります。そのため、メンバーの入れ替わりの多い組織でも、常に一定レベルのパフォーマンスを期待できます。

◆短所
行動指示から逸脱した行動が推奨されない分、メンバーの自発性が発揮されにくく、イレギュラーな事態への対応力が下がる傾向にあります。また、メンバー視点では、自由を制限されていると感じやすく、仕事のやりがいの低下に繋がるおそれがあります。加えて、法改正や行政官庁からの新たな通達、社内ルールの変更等の変化に応じて行動基準(マニュアル)を随時更新し、メンバーに周知徹底する必要があるため、管理コストが高くなりがちです。

システマチック・マネジメントを機能させるポイント

1.システマチック・マネジメントは、メンバーの自由が制限される分、不満を醸成しやすいマネジメントスタイルです。「そもそも、システマチック・マネジメントが有効な場面なのか」を慎重に判断して活用する必要があります。

2.システマチック・マネジメントの最大の利点は、メンバーのパフォーマンスの“再現性の高さ”にあります。そして、システマチック・マネジメントを採用する以上、その“再現性”を阻む要因は排除する必要があります。それは、メンバーの創意工夫による業務手順の変更、管理職以外の者からの親切心による業務の助言なども含まれます。

3.行動基準(マニュアル)の作成や更新の際、法令やガイドライン、社内規程、ときに上位レイヤーからの指示の落とし込みを要するため、これらのルールの理解を深め、改正動向等にも常にアンテナを張ることが重要です。

4.“指示の明確性”と“丁寧な監督”が求められるマネジメントスタイルとなるため、①解釈の余地のない具体的な行動基準(マニュアル)の作成と②メンバーとの高頻度でのコミュニケーション(確認、指導)が必要になります。

5.仕事のやりがいの低下を招きやすいマネジメントスタイルとなる分、メンバーが働きやすい就業環境の整備や業務内外での良好なコミュニケーション、メンバー間のチームワークの醸成などを通じ、管理職あるいは組織に対する愛着をいかに高められるかが、モチベーション向上のポイントになります。



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【制作】Be myself 編集部
【参考】ラリー・E・グレイナー『Evolution and Revolution as Organizations Grow』、曽和利光氏『人事と採用のセオリー』、『EQ こころの知能指数』、バーナード・M・バスが提唱した変革型・取引型リーダーシップ理論、フレデリック・ラルーが提唱した組織フェーズの5段階理論(『Reinventing Organizations』)

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