『“まずはやってみる” 量を重ねることで、自らの可能性は広がる』
インターネット・アカデミー ブランドデザイン 神永 歩さん 【前編】
誰しも迷うキャリアの決断。管理職として活躍する女性はいつ何に悩み、どう決断してきたのか。キャリアの分岐点と決断できた理由を語っていただきます。
今回は、インターネット・アカデミー ブランドデザイン室室長代理 神永歩さんにお話を伺いました。
神永 歩(かみなが あゆみ)さん
インターネット・アカデミー株式会社
ブランドデザイン室室長代理
時間の許す限りスキルアップに費やし、念願のクリエイティブ部門へ異動
- インターネット・アカデミーのブランドデザイン室室長代理を務める神永歩さんは、会社のWebサイトや広告など、あらゆる部門のデザインに携わる立場にいます。しかし、大学などで専門的に学んでいたわけではありませんでした。キャリアのスタート時に考えていたことを、このように振り返ります。
- 「就職活動の時に考えていたのは、これから先、仕事に人生の多くの時間を投じることになるからこそ、『自分が本気で好きなことや得意なことを仕事にしたい』ということ。そして、それをもって『社会に価値を提供していきたい』ということでした。
業界については、すでに成熟して安定した業界ではなく、これからの可能性が広がる新しい業界に行きたいと思っていましたね。ちょうど私が就職活動を始めたのは、mixiなどのSNSが広まっていた頃。でも、IT業界はまだまだ新しく『これから先の見通しが予想しづらい業界』というのが、世間一般の認識であったように思います。
そのため敬遠する学生もいましたが、私は業界が未成熟で不確実性がある反面、チャンスも大きいところが自分の性格に合っていると思い、IT業界に行きたいと考えるようになりました」
- 「好きなこと、得意なことを活かして働きたい」と考えた神永さんは、クリエイティブな仕事に就きたいと考えました。
- 「昔からクリエイティブなことが好きだったんです。でも、専門的な勉強はしたことがありませんでした。大学を選ぶ時にも、美大という選択肢はあったものの、その時点で美大を選択することへの決断ができませんでした。
ところが、いざ何を仕事にしようかと考えた時、やはりクリエイティブなことに関わりたいと思って——。IT業界でクリエイティブな仕事に挑戦できる企業を探す中で出会ったのが、現在勤めているインターネット・アカデミーでした。
インターネット・アカデミーでは1995年から、未経験者でもIT業界で活躍できるスキルを身につけられるような教育を提供していました。そのサービス内容やコンセプトと、当時の自分自身の境遇に多くの共通項があると感じたんです。『ここに入れば、好きなことに挑戦できるのはもちろん、自分と同じように未経験からクリエイティブを学びたい方のサポートもできる』と思い、入社を決めました」
- 入社当初は、インストラクターとしてスタートを切った神永さん。制作局(現在のブランドデザイン室)への異動が決まったのは、入社から4年後でした。
- 「入社1年目はインストラクターを担当し、お客様に教えながら自分自身もデザイン知識やテクニックを習得していきました。その後、上司からの打診があって営業部門に異動。インターネット・アカデミーの教育サービスを利用する前のお客様に対して、キャリア相談やカウンセリング、受講サポートなどを行っていました。その他にも、マーケティング部門での集客も経験し、幅広い業務に関わらせてもらいましたね。
制作局へ異動したのは、入社から4年が経った頃。『クリエイティブ部門への希望が今も変わっていないなら、やってみる?』と打診をいただき、異動が決まりました。
デザインについては入社後、自社の教育カリキュラムを利用して必死に勉強していました。ありがたいことに、社員は自由に講座を受講できる体制になっているので、業務時間外は時間の許す限り勉強に費やしていましたね。また、ただ知識をインプットするだけでなく、実際に自分でデザインしてみないことには上達しないと思い、デザインを制作しては先輩に見てもらいフィードバックをもらうなどして、地道にスキルを高めていました」
社内のあらゆるデザインに携わる
- 念願のクリエイティブ領域への異動が実現したものの、それと同時に「自分にできるだろうか」という不安も抱えていたと神永さんは語ります。
- 「私が配属された頃は、集客ツールが紙媒体からWebサイトへと移行していました。集客の要であるWebサイトがいくつかあり、それらのデザインの質が集客効果に直結します。もし質が著しく低下すれば、お客様を逃してしまうことになるので、会社にとって大きなダメージです。
これまではただ『クリエイティブな仕事に携わりたい』という思いだけでしたが、自分が手掛ける制作物に対して責任が生じるようになった時、大きなプレッシャーも感じるようになりました」
- 責任の重みを感じながらもさまざまなプロジェクトに携わり、さらなる知識やスキル、そして社内での信頼も得ていった神永さん。2020年には、ブランドデザイン室の室長代理という管理職に昇格します。
- 「ブランドデザイン室は、インターネット・アカデミーで提供する教育サービスの一連のサイクル全てに関わります。マーケティング部門の集客に始まり、キャリア相談やコースの提案をする営業部門、インストラクター部門、学習ツールの開発・制作部門、講座以外の部分をサポートする部門——どの部門が欠けてもインターネット・アカデミーの教育サービスは成り立たちません。管理職になって直属の部下のマネジメントをするとともに、私たちは常にあらゆるところに目を配り、デザインを通じたブランドイメージの向上を図っています」
- 社内のあらゆるデザインに関わる神永さん。仕事を進める上で、次のような工夫をしていると言います。
- 「多くの部門と連携しながら仕事を進めるため、自分の業務のタスクマネジメントが最も大変です。どうしても相談やミーティングに取られる時間が多くなるのですが、そこを遅らせると全体の進捗も遅くなってしまいます。ですので、スケジュール調整を円滑に進めるため、連絡手段をシンプルにしたり、予め定期的にミーティングを設定したりといった工夫をしています。
また、なるべく認識の齟齬が生まれないよう、文面で残しておいた方が良さそうなことは文面でやりとりし、反対にテキストだけでは表現しきれないデザインの話などは、直接顔を合わせてやりとりするなど、内容によって柔軟に切り替えるようにしています。抽象度の高いデザインの話をしたいときには、相手にきちんと伝わるよう、何かしらデザイン案を持って具体的に見える形で話を進めることも意識しています」
管理職はやりがいに満ちていると伝えたい
- 管理職に昇格したことに対し、「不安はあったが、なって良かった」と神永さんは語ります。
- 「管理職になることに対して、最初は不安がありました。しかし、今はやらせてもらって良かったと思っています。
確かに、自分の仕事のことだけでなく、自分以外の誰かのことも含め全体を俯瞰して仕事をしなければならないため、仕事への向き合い方はガラッと変わりました。大変さを感じることもありますが、自分が部下をサポートし、部下がまた他の部署の誰かをサポートしていける体制を作っていくことは、本当に意義深いことだと感じます。
また、そのような体制ができると、組織や社会に対して自分が取り組みたいと思うことを実現させたり、挑戦したい仕事をスケールさせたりすることに、大いに役立ちます。世の中には、「管理職=大変そう」というイメージが強いように思いますが、今の私の立場からは、非常にやりがいのある仕事だと伝えたいですね」
→後日公開の「後編記事」に続きます
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写真:MIKAGE
取材・執筆:北森 悦