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マイキャリアストーリー

選択した道に“責任”を持つ―
人事・採用を通じて発信したい想い

誰しも迷うキャリアの決断。先輩たちはいつ、何に悩み、どう決断してきたの? 現役で活躍し続ける女性たちに、これまでのキャリアの分岐点と、決断できた理由を語っていただきます。

今回は、株式会社セブン&アイ・ホールディングス人事企画部の土岐綾子さんをインタビュー。やりたいことを定め、明確に選びとっていく姿勢はどう作られたのか、お話を伺いました。

土岐 綾子さんのイメージ画像

土岐 綾子さん

株式会社セブン&アイ・ホールディングス
人財本部 人事企画部

新卒にて、人事業務のアウトソーシングサービス会社に入社。製薬業界を中心に、約5年間で10社以上の人事・労務のアウトソーシングに携わる。その後、セブン&アイグループの子会社の一つである株式会社セブン&アイ・ネットメディアに転職、人事関連業務を幅広く経験する。現在は、株式会社セブン&アイ・ホールディングスの人事企画部に異動し、キャリア業務を担当している。

“おせっかい”な性格が、人事への興味につながった

― セブン‐イレブンやイトーヨーカドーなど、私たちの生活に身近なコンビニエンスストアや総合スーパーのほか、フードサービスや金融、ITサービスなど幅広い事業を手掛けるセブン&アイグループ。そのグループ全体の統括・管理を担うのがセブン&アイ・ホールディングスです。 2016年にグループ会社の人事として中途入社した土岐さん。現在、ホールディングスの人事企画部でキャリア採用を担当し、各部門長との求人内容のすり合わせ、人物要件の整理から始まり、紹介会社などの社外関係者との交渉・連携、面接設定や内定者へのフォロー、入社時研修に至るまでの一連の業務を担っています。 社会人キャリアのスタート時から、「人事の仕事がしたい」と明確な意思を持っていたという土岐さん。どのように、仕事選びを進めていたのでしょう。
「もともと“おせっかい”な性格なんです。誰かが悩んでいたり困っていたりすると、何か解決できないかなと行動するのが好きで、周りの役に立てることに喜びを感じるタイプでした。学生時代は、世話好きな特性を生かして保育士になろうと思ったこともありました。成長を見守り、サポートできる仕事は、自分に合っているだろうと思っていたんです。
そんな特性もあり、就職活動での仕事選びの軸は、『誰かのお世話ができる仕事』でした。調べる中で、企業の中の人事職が、自分に合っているだろうと考えました」
ー ただ、職種別採用を行う企業は限られていたため、入社後に確実に人事の仕事を任されるかはわかりません。どうしたら人事配属になるのかと、さまざまな企業の「人事職の採用条件」を調べていったところ、実務経験を求めるところが大半でした。 そこで、いずれは企業人事に挑戦できるようにと、人事業務のアウトソースをしている企業への入社を決めたそうです。
「約5年間で10社以上を担当し、人事・労務の一連の実務を学ばせていただきました。担当したクライアントの中でも、大きく成長させてもらえたと感じるのは製薬業界の担当になった時でしたが、従業員50人~4000人規模のさまざまな企業にかかわったことで、自分のやりたいことやキャパシティを知ることができました」
ー 企業ごとに異なる就業規則の中、人事の仕事を学ぶ上ではとてもいい環境だったと話す土岐さん。一方、アウトソーシング先という立場上、担当クライアントの従業員の方々と一時的なかかわりしか持てないことに、少しずつもどかしさを感じるようになりました。
「アウトソーシングという立場は、あくまでも一時的な問い合わせに対する対応に留まり、長期的な視点でサポートできないことに物足りなさを感じるようになったんです。ただ、それは入社前から予想していたことだったので、実は入社時から5年で経験やスキルを身につけて企業人事に転職しようと考えていました。そして、その通りに、5年経ってからやりたかった人事の道に進むことにしました」
ー 明確な思いを持って、キャリアの道を設計し、動いていく土岐さん。それは転職活動の軸においても現れています。
「さまざまな企業規模を経験したときに、私が企業人事として従業員を直接見るのなら、300人が上限かなと思っていました。せっかく人事に挑戦できるのなら、従業員一人ひとりの思いやバックグラウンドを理解して、踏み込んだコミュニケーションで信頼関係を築けるような存在になりたかったんです」
ー そこで選んだのが、セブン&アイグループの子会社の一つである株式会社セブン&アイ・ネットメディア。まさに、入社当時は従業員300人前後の組織だったといいます。 就活時からやりたいこととやるべきことに軸を持ち、計画的に動けてきたのはなぜなのか。そう聞くと、「今振り返ってみると、道がつながっているだけですよ」と笑顔を見せます。
「一つ影響しているのは、母からの言葉かもしれません。
我が家では、親から何かを“やりなさい”と言われたことがありませんでした。何かをやるにしても、やりたいのかやりたくないのかを自分で選びなさい、というスタンス。勉強も宿題もやれと言われたことは一度もありませんでした。母は、『何をやるにしても、結局、本人のやる気次第だから、やってもやらなくてもどっちでもいい』と言っていましたね(笑)。
これはある意味シビアで、例えば習い事を辞めたくなっても、『あなたがやりたいって言ったんだよ』と返されるのでぐうの音も出ません。でも、“自分で選び取る経験”を重ねてきたからこそ、『これは自分がやりたいことなのか』と考えるようになり、『選択したこと』に対して責任を持つようになったのかもしれません」

未経験なのにチャレンジできる! 新たに学べる機会がうれしかった

ー 株式会社セブン&アイ・ネットメディアに入社後は約4年間、やりたかった“事業会社での人事関連業務”を担当してきました。
「改めて、自分のしたことが従業員に直接伝わる責任の大きさを実感しました。前職のアウトソース会社では、頭のどこかで、最終的にはクライアントの人事担当者が判断し責任を持つ、という意識がありました。ここでは当事者として、より意思を持って取り組まなければいけないんだと身が引き締まりましたね」
ー その後、親会社であるセブン&アイ・ホールディングスの採用担当として異動を告げられました。採用は初めての挑戦でしたが、だからこそ「学びたい」という思いが先に湧いてきたと話します。
「未経験なのに初めての仕事を任せてもらえるなんて、恵まれているな、と思いました。今このタイミングでしかできないことには、全部チャレンジしたい。採用をやってほしいと伝えてきた上司に、『頑張りたいです!』と答えたのを覚えています」
ー ただ、当時セブン&アイ・ホールディングスでは採用業務が確立していなかったため、実質、土岐さんがイチから仕組みを作っていくことになったそう。「いい意味でも悪い意味でも何もない」環境を手探りで進んでいきました。
「何もないというのは、自分で調べて自分で形を作っていく面白さがあるんですよね。私自身も人を採用するのに何から始めるべきかがわからなかったので、紹介会社の皆さんに一つひとつ聞いていって、たくさん助けていただきました。
求人情報はどう書けば企業の魅力につながるのか、面接官をどう選出するのか、面接のアポイント設定はどう進めるといいのか。細かなことまで調べて、聞いて、やってみて、直していく。その積み重ねで、各部門の面接官の皆さんや紹介会社さんなど社内外の人と協力し合い、私たちなりの採用のあり方を作っていきました」
ー 社内外に仲間を作りながら巻き込んでいく採用の仕事。周りからのサポートを引き出すために、土岐さんが心がけている行動はあるのでしょうか。
「小さなことですが、お願いをするときは極力対面で、それでもメールになってしまう時は電話を加えて…と、直接伝えることを心がけています。人事には日々さまざまな相談事が舞い込んできます。相談や質問は、従業員とコンタクトをとる貴重なチャンス。その人と社内で顔を合わせたら『その後、仕事はどうですか?』などと必ず声をかけて、つながりを大事にしています。

あともう一つ。すごく地味なことですが、プライベートの自分の部屋をキレイに保つようにしています。部屋の乱れは、心の乱れ。時間がなくてもキレイに整理された状態にしておくことで、任せていただく仕事の幅や量が増えても、受け入れられる心の状態を保つことができるんじゃないかなと思っています」

やりたいことは自分で考え、選び直しながら進んでいってほしい

ー 物事のいい面をポジティブに捉えて自分の学びにしていく。土岐さんの言葉からは、そんな姿勢が感じられます。 仕事をする上で、大事にしている思いや考え方には、どのようなものがあるのでしょう。
「どんな仕事をするにしても、自分が選んだものに対して“責任”を持つことを、いつも大事にしています。
人は、すべてを選択することはできませんよね。女性はライフイベントによって選択を迫られる場面がより多いと思うんです。だからこそ、後悔しない選択をしていきたい。誰かに言われたのではなく自分で選んだと思えるように、検討して判断した上で、選んだことがよかったと思えるような行動にしていく。それが責任を持つことかなと思っています」
ー その思いは、採用においても共通していると話します。
「候補者にも、後悔してほしくないという話を必ずしています。一度の人生の、大事な仕事の選択なので、きちんと納得してチャレンジしていってほしい。ですから、働き方や働いている従業員のことなど、私が提供できる情報は、いいものも悪いものもウソ偽りなくお伝えします。その上でどんな判断をするか、それぞれの思いを大事にしたいなと思うんです」
ー 現在、土岐さんはセブン&アイグループ全体で進める「女性エンカレッジメントセミナー」に、参加しています。グループ横断で多様な働き方を広げていくために、70人ほどのメンバーが、経営トップや役員の女性のセミナーを受講したり議論を深めていったりするといいます。 制度・規則面でも、「セブン&アイグループは子育て世代が働きやすい会社」と話す土岐さん。ただ、さまざまな思いを持つ個人がいるからこそ、納得できる選択が大切だといいます。
「選択に正解はありません。でも、『家族にこう言われたから』『周りから求められている気がして…』と、自分の選択に後悔してうまく進めていない人もたくさん見てきました。
選んで、見直してまた選んでいくことを、みんなが主体となって取り組んでいってほしい。人事として、そんな発信を続けたいなと思っています」








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写真:龍ノ口 弘陽
取材・執筆:田中 瑠子

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