現代の管理職の役割と、求められる能力とは?詳しく紹介
管理職になると、肩書きだけでなく、成果の出し方や人との向き合い方が変わります。一方で、その役割や求められる能力について、体系的に学ぶ機会は意外と多くはないかもしれません。
本記事では、ビジネスコーチとして多くの管理職を支援してきた小川由佳さんの監修のもと、管理職とは何か、どのような役割を担い、どんな能力が求められるのかを整理して解説します。
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〈監修者:小川由佳〉
株式会社FAITH 代表取締役
津田塾大学卒業後、沖電気工業や外資系メーカーで、物流やSCM業務に従事。
i2テクノロジーズジャパンに転じ、コンサルタント、マネージャーとして、クライアント企業に対するSCMソフトウェアの導入や、それに伴う業務改革のコンサルティングを実施。このときの経験を通じて「企業の根本は人だ」という想いに至り、人材育成分野に関心を持つ。
ジレットジャパンのSCM部門で管理職を経験後、ジェネックスパートナーズへ参画。コンサルタントとして、クライアント企業における業務改革や組織変革の支援を行う。また、研修やコーチングを通じて、クライアント企業のリーダー育成やチーム活性化に従事。
2011年に独立し、各種研修プログラム開発および講師やコーチとして活動中。
株式会社FAITH
管理職とは
管理職という役職について、法的定義はありませんが、基本的には、組織の中で自分のチームの成果を出すことをミッションとしている人と考えて良いでしょう。
企業は一つの大きなチームであり、世の中に価値を提供することが求められる存在です。しかし、一つのチームといっても、企業の規模が大きくなればなるほど、メンバー全員で都度話し合ったり意思決定したりすることが難しくなります。そこで役割分担をして、企画、開発、製造、営業、人事、総務・・・などの、いわば「サブチーム」を作り、それぞれのチームのリーダーを立てます。そのチームのリーダーがまさに管理職です。
管理職は「会社の中の結節点」と表現されることもあります。会社の目指す方向を 一人ひとりのメンバーにまで共有し 、全員でベクトルを合わせていく役割を担っています。
管理職の役割
企業によって管理職の役割定義は異なりますが、一般的には大きく2つに分けられます。
1つ目は「仕事のマネジメント」です。会社の目指す先を踏まえて組織内でのチームのミッションや役割を把握し、目標設定、業務計画立案、メンバーへの業務指示、進捗確認、トラブルシューティング、業務改善、リスク管理などを行います。
2つ目は「人のマネジメント」で、チーム内のコミュニケーション、メンバー育成、人事評価、他部署や上司との連携などが含まれます。
管理職は「人を通じて成果を出す」
プレイヤー(実務担当者)と管理職の違いはいろいろありますが、特に、違いとして押さえておきたいのは、管理職は「人を通じて成果を出す」ことが求められているという点です。
プレイヤー時代は自分一人が頑張って成果を出せば基本的にOKですが、管理職はメンバー一人ひとりに成果を出してもらい、チームとしての成果を最大化することが求められます。このマインドセットの転換ができるかどうかが、管理職としてうまくやっていけるかどうかの分かれ目になります。
管理職に求められる「支援型リーダーシップ」
変化が激しく予測困難なVUCAの時代。 管理職が、自身の過去の経験や知見のみを頼りに意思決定し部下に指示命令をする、「指示命令型リーダーシップ」が機能しづらくなってきています。代わりに、メンバー一人ひとりがビジョン達成のために、主体的に考え行動し、チームとして協働し合い 、それを リーダーが支援するような、支援型のリーダーシップが重要になってきています。
管理職が目指すべき「支援型リーダーシップ」とは、オーケストラの指揮者のような存在をイメージすると良いでしょう。オーケストラにおいて、指揮者は「こういう音楽を生み出したい」という自分のビジョンを持つリーダーです。一方、バイオリンはバイオリン奏者が、ビオラはビオラ奏者が一番よく知っている…というように、メンバーそれぞれが、自分の“業務”については一番よく知っています。指揮者はビジョン達成のために、メンバーと相談し、一人ひとりの力を引き出しながら楽曲を作り上げていきます。管理職もメンバーに対してそのような関わり方が今求められています。
管理職に求められる能力
管理職に求められる能力は「カッツモデル」というフレームワークで説明することができます。
カッツモデルとは、アメリカの経営学者ロバート・L・カッツが1955年に提唱したフレームワークです。役職に応じて求められるスキルを「テクニカルスキル(業務遂行能力)」「ヒューマンスキル(対人関係能力)」「コンセプチュアルスキル(概念化能力)」の3つに分類しています。
「テクニカルスキル」は専門知識や、業務遂行力を指し、「ヒューマンスキル」は他者と関係を築いたり効果的に関わる力を指します。「コンセプチュアルスキル」とは、答えのない状況で情報を整理・分析し、課題設定や課題解決を行う思考的な力です。
管理職の中でもポジションが上がるほど「テクニカルスキル」の重要度は下がり、「ヒューマンスキル」と「コンセプチュアルスキル」が重要になります。
「カッツモデル」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
https://bemyself.pasonacareer.jp/skill/skill-3434/
現代の管理職は、コミュニケーション能力が非常に重要
労働力不足や人材の多様化が進む現代においては、いかに多様な人の力を引き出せるかが重要になっています。さらに在宅勤務やフレックス勤務などが浸透し、働く環境が変化していることも、管理職に影響を与えています。
目の前に部下がいないと「部下が何をやっているか見えない」「部下に指示が伝わっているかわからない」といった状況に陥りやすく、コミュニケーションの難しさが増しています。そのため、管理職はより意識的にコミュニケーションを取る必要があり、定期的な面談や1on1ミーティングの重要性が高まっています。
自然発生的なコミュニケーションが減った分、管理職側から意識して部下と向き合う時間を作らなければなりません。例えば、月1回程度の定期的な1on1を実施することで、普段の5分程度の雑談では聞けないような、メンバーの仕事への思いやスキルアップの希望などを把握することができます。また、メンバーの力を引き出すような対話をすることも可能となります。
「コミュニケーション」は、管理職が陥りやすい課題でもある
管理職の悩みで特に多いのも、部下とのコミュニケーションや部下のやる気をどう引き出すかという関わり方についてです。
部下とのコミュニケーションがうまくいかないときの要因の一つとして、そもそも、自分が「当たり前」だと思っていることと相手の「当たり前」が異なることが挙げられます。そのことに管理職が気づいていないと、コミュニケーションに齟齬が生まれてしまいます。
例えば、管理職である自分は「仕事は全て任される」方が嬉しいタイプ。一方、部下は「仕事は、管理職(上司)と都度擦り合わせしながら進める」方が嬉しいタイプという場合。管理職が自分の「当たり前」に基づいて、部下がやる気になるだろうと仕事を「全任せ」してしまうと、部下はやる気をなくしてしまう…ということが起こりえます。これを解消するためには、相手の「当たり前」を理解すると同時に、自分の「当たり前」、つまり自分の価値観や物事の捉え方を認識することが重要です。
部下とのコミュニケーションに課題を感じたら、まずは自分がどのような捉え方をしているかを把握するようにしましょう。そのうえで、部下はどのような捉え方をしているか考えてみましょう。
管理職になることのメリット
最後に、管理職になることのメリットを紹介します。
見える世界が広がる
管理職になると、自分が関与したり把握したりできる仕事の範囲が広くなり、より会社の事業や経営に近い立ち位置となり、見える景色が変わります。目の前の業務が、最終的に会社の利益や価値提供にどのようにつながっているかも理解できるようになります。
チームの在り方を決められる
管理職になると、業務の権限や裁量が大きくなり 、影響を及ぼせることも増えます。その結果、 チームの在り方を自分の判断で変えることもできます。例えば、自分のチームでは18時以降の会議をなしにするなど、働き方の自由度を高めることも可能。管理職になってからの方がプライベートと仕事の両立がしやすくなったという人もいます。
人材としての市場価値が上がる
管理職になると決裁権限がある立場になることが多いです。そのため、例えば社外での交渉の場などでの自身の発言が「重要な発言」として受け取ってもらえるようになる可能性も高く、人材としての市場価値の向上にもつながります。
まとめ
管理職は、権限が増えることで見える世界も広がるので、会社を動かす一因になっている実感も得られます。また「人を育てる」こと自体にも面白さを感じる方も多くいます。管理職になることは大変な一方で、やりがいも多く、面白い側面も多くあるのです。
管理職の役割や求められる能力は、時代や働き方の変化とともに進化し続けています。本記事を参考に、管理職としての現在地を見つめ直し、「どんなチームをつくりたいのか」「メンバーとどんな関わり方をしていきたいのか」を考えてみてはいかがでしょうか。





