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仕事に効く話

中園ミホさんインタビュー① 働く女性が「本当の自信」をつける方法

『やまとなでしこ』『ハケンの品格』『Doctor-X 外科医・大門美知子』『花子とアン』など、大ヒットドラマの脚本を手掛けてきた脚本家・中園ミホさん。女性の生き方と本音を描いてきた中園さんは、占い師としての顔も持っています。運を引き寄せるための簡単な習慣をまとめた、近著『運をつかんで幸せになる強運習慣100』(エクスナレッジ)も大ヒット中です。

そんな中園さんが30代、40代の頃はどんな女性だったのか? 振り返っていただきながら、頑張りすぎて自信を失くしてしまった働く女性たちへエールをいただきました。

 

<プロフィール>

中園ミホ(なかぞのみほ)

脚本家。日本大学芸術学部卒業後、広告代理店勤務、コピーライター、占い師の職業を経て、1988年に脚本家デビュー。07年『ハケンの品格』が放送文化基金賞と橋田賞を、13年『はつ恋』『Doctor-X 外科医・大門未知子』で向田邦子賞と橋田賞を受賞。大河ドラマ『西郷どん』、連続テレビ小説『花子とアン』など、執筆作多数。また現在も四柱推命の占い師としての活動を継続中

人のために動き出した時からが、人生の本番

―中園さん自身が30・40代頃どのように過ごしていたか、詳しく教えてください。
中園:30代前半はすごく怠け者の脚本家でしたね(笑)。お酒も旅行も大好きだったので、連続ドラマは受けたくなくて、単発ドラマばかり書いていました。「連ドラはやりたい人がやればいい」って。それでは脚本家として今後生き残れないとはわかっていたけど、あまりに過酷な先輩達を見て「私には無理!」って思っていたんですよね。
でも、今思うとそれは自信の無さの裏返しだったのかもしれません。本心は、せっかく脚本家になったのだから連続ドラマも書いてみたいし勝負してみたい。だけど失敗したらカッコ悪いと思っていた。自分の才能の無さに自分で気が付くのが怖いという感情が入り混じっていたんです。

―ご自身の若い頃を「ぐーたら」とも称されていますよね。そのような姿は想像できないのですが…。
中園:…。
中園:「こんな怠け者の脚本家は見たことがない!」と言われていましたよ(笑)。例えば、『世にも奇妙な物語』(フジテレビ系列)の立ち上げ時、私は初期メンバーとして呼ばれていたのですが、宿題のプロット(物語の大筋)を全く書いていかなかったんです。当時、デビュー間もない北川悦吏子さんや「踊る大捜査線」シリーズの君塚良一さんなど、今となっては錚々たるメンバーが、無記名でプロットを出し合ってドラマ化するストーリーを決めていたんです。私、その会議に何も書かずに参加して、その後の飲み会だけは張り切るみたいな感じでした(笑)。

―ある意味、勇気があると感じてしまいます(笑)。
中園:なんとかなるだろうって思っていたんですよね。「私が考えたものをみんなでドラマ化してくれたら素敵だな」ってフワフワと夢を見ながらそこに座っていました。
でもある日、プロデューサーに、「中園さんひょっとしてプロット出してないんじゃない?」ってバレたんですけどね。それで、「ほかの監督が思いついた話があるんだけど、脚色してみますか」と振ってくれた仕事が『幸福の選択』の脚本。キャリア女性の生き方についてのお話なので、管理職女性におすすめです。レンタルできるかもしれないので、ぜひ見てみてください。

―その後、中園さんはどういうきっかけで「ぐーたら」な考え方から変わったのでしょうか?
中園:34歳で未婚の母になったことです。分娩室で子どもを産んで目が合った瞬間、「この子をとにかく幸せにしなくちゃいけない」と思い、やっと人生に気合いが入りました。「もう連続ドラマも断らない」と誓ったし、“ぐーたら”な自分からは想像つかないくらい変わりましたね。
多分、人のために動き出した時からが、人生の本番なのではないかと思います。責任ある仕事を任されたとか、子どもを授かったとか、「ぐーたら」な男をなんとかしなくてはいけないとか…。「自分のための仕事」だと、失敗が怖いという感情が先に立つけど、人のためならば失敗しようがなんだろうが、やるべきことはやらなきゃならなくなるので

いま生きづらくても、歳を重ねるといいことがある

―ちなみに、中園さんにとってロールモデルはいますか?
中園:向田邦子さんですね。特に彼女の『手袋をさがす』というエッセイは、今でもよく読み返しています。
向田さんが22歳の冬、気に入った手袋が見つからなかったから素手で過ごしていたんです。すると男性上司から「君の今やっていることは、ひょっとしたら手袋だけの問題ではないかもしれない」「そんなことでは女の幸せを取り逃すよ」と言われるんです。
それを言われた帰り道、彼女は一人で寒い中を歩きながら、不幸になったとしてもこのワガママな感性を守っていこうという結論を出すんですよ。その孤独な覚悟とかすごくかっこいいなと。その後、彼女は結婚もせず、研ぎ澄まされた向田ワールドを作っていく。私はこの生き方に強く影響を受けました。
女性はある年齢になると親や周りの人が「あなたのために」と色んな事を言ってきます。でも、やっぱり自分の人生なのだから自分で決めるべき。結婚・出産・仕事とフルコースで手に入れたい人もいれば、そうでない人もいる。私は自分の感性を貫くことにすごく憧れていました。
―たしかに、仕事も結婚も子どもも全て手に入れなくてはいけないし、さらにそれらを完璧にこなさなければいけないと、焦ってしまうこともあります。
中園:こんな先の見えない日本で生きているだけですごく偉いのだから、さらにお仕事していたら十分ですよ!その上で子どもがほしい人は産めばいいし、誰かと一緒に居たい人はいればいいし。
ただ面白いのは、そういった女性の生きづらさって、歳を重ねるとなくなってくるんです。例えば私の場合、一度は解散していた中学の同級生グループが55歳頃からすごくまた仲良くなって、今では毎日LINEをするようになりました。
女性の30代、40代って結婚の有無、子どもの有無で話が合わなくなってきますよね。その時は傷つけあったり、どっちがキレイだ金持ちだに囚われたりすることもあるけど、それも乗り越える。属性が変わっても元々の価値観は変わらないし、思い出話もできるし、会っていなかった空白の時間の話もできる。女性の人生って楽しいと思う。歳をとると、いいことありますよ

いっぱい失敗することで、「本当の自信」が手に入る

―では、現代の「自信が持てない働く女性」にアドバイスをお願いします。
中園:仕事での失敗だけでなく、失恋、失業、失敗…。「失」という言葉が付く時こそチャンスだと思ってほしいです。成功している人の共通点は、みんな失敗していることなんです。大きく成功している人は大きな失敗をしています。失敗を「もうおしまいだ」と捉えるか、「これを乗り越えれば次の成功につながるはずだ」と捉えるかで、成功への差がつくと思っています。
失恋だって何回してもいい。10回失恋したって、11回目の素敵な人に出会うためのものだから。失恋しても「もっとこれでいい男に出会えるんだ」って思っている人は、現実にそうなっています。
生きていると、必ずとても大切なことを失ってしまう時が来ます。でも、その時こそ、「ここからが自分の本番の人生なんだ」って思ってください。
私だって日々のお仕事で毎日失敗するし、大きな失敗もある。そういった時に「なんで失敗したんだろう」と考えると、いくつか思い当たることがあるんですよ。今度はそれは二度としないようにできる。いっぱい失敗することで成功できるようになってきます。
そもそも才能・能力って試さなければわからないわけですから。いっぱい失敗して、成功した時に「本当の自信」がつくのだと思います。

※後日公開の後編では、厳しい現代を生きる女性こそ実践してほしい「自分をご機嫌にする方法」についてお聞きしました。

<書籍情報>
『運をつかんで幸せになる 強運習慣100』(エクスナレッジ)

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