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疲労を軽減してパフォーマンス向上!疲れの原因とメンタルスケジューリングの10ステップ

忙しい日々の中、女性管理職として活躍している方や、これから管理職としてさらに活躍の場が広がる方の中には、仕事だけでなく、家庭でもたくさんの役割を担っている方が多くいらっしゃると思います。

そのような中で、スケジュール管理は重要な課題です。

 

仕事の予定だけではなく、家庭での予定も外せないことがたくさんある中、どうしても自分のことは後回しになってしまう、なんていうことも少なくはないのではないでしょうか。

多くのタスクや責任を抱え、限られた時間の中でバランスを保つことは簡単なことではありません。

私のカウンセリングルームに来室される方の中にも、家庭と仕事が忙しく、「“好きなことをしてもいいよ”と言われても、自分が何をしたいのかわからない」とお話しになられる方がいます。それくらい、みなさん自分自身に意識を向ける時間が減ってきてしまっているんですね。

 

健康を維持し、自分自身を労ることは、パフォーマンスを向上させ、継続的に活躍する上で欠かせないことです。

 

今回はそんな方におすすめしたい、スケジューリングについてお伝えします。

ストレスの源は「コントロールできない感覚」「見通しの立たない」こと

さまざまな役割を担っているみなさんは、毎日忙しさに満ちていると思いますが、忙しさ自体は変わらなくても、私たちは予測を立てることができます。メンタル面を保ち、パフォーマンスを向上させるためには、まずは自分自身について予測をたてることが重要です。
疲労が倍増する要因として、「コントロールできない状況(コントロール不全感)」と「見通しが立たない状況」というものがあります。


今からお伝えすることをイメージしてみてください。

①「目隠し」または「目をつぶり」、家の中を1周歩いてください。
②「目隠し」または「目をつぶり」、近所の公園を3分歩いてください。
③「目を開けて」①と②と同じところを好きに歩いてください。
①~③の状況を頭の中でイメージした中で、どれが安心して歩くことができたでしょうか。

おそらく③の状況が安心できたかと思います。そして次に①の状況が歩きやすさを感じ、②の状況が一番不安を感じ、歩き終えたときにはへとへとになっている、なんていうこともあるかもしれません。
実はこの「不安」がたくさん生じることで疲労を増幅させてしまうのです。
そして、この「不安」を少しでも取り除いていくためのスケジューリングが「メンタルスケジューリング」です。

メンタルスケジューリングとは

メンタルスケジューリングでは、1日の細部の計画を立てて行うことはせず、メンタルのスケジュールを立てていきます。
「疲労と回復を予測していく」ことであり、その上で「休息を意図的に取る」ことを意識して、「休息」をスケジューリングしていきます。

「休息」というと難しく捉える方もいらっしゃるかもしれませんが、肩の力を抜いて考えてみてください。

たとえば旅行に行くことも休息ですし、仕事の合間に軽くストレッチをしたり、深呼吸をしたり、好きな飲み物を味わって飲むことも休息です。
時間として1,2分でできるものから数日間にわたって取り組む休息がありますので、まずはあなたにとって「休息」になるアクションをできるだけたくさんアウトプットしてみることをおすすめします。

メンタルスケジューリングの手順

では実際に、具体的なスケジューリングの方法をお伝えいたします。
<準備するもの>
手書きのスケジュール帳、またはデジタルのカレンダーを用意しましょう。できれば両方用意するとより効果的ですが、どちらかだけでもかまいません。
① すでに決まっている予定をメモ帳やメモ機能に書き出す
まずは「固定の予定」「打ち合わせなどの仕事の予定」「家族との予定(しなければならないこと)」など、すでに決まっている予定を書き出しましょう。
②  締め切りや提出期限があるものはその期限を書き出す

③ ①と②について、自分に以下のように尋ねてみる
「この予定に取り組むために、私はどのくらいの心身のエネルギーを必要としそうですか?」

それぞれの予定の横に、必要なエネルギーのポイントをあなたの主観で記入、または入力してみましょう。
参考)全くエネルギーは必要なさそう : 0pt 〜
   ほどほどに必要としそう :50pt~
   非常に負担が大きくエネルギーを必要としそう:100pt
例) 新しい事業の業務の割り振り        :30pt
外部との打ち合わせ             :20pt
   家族の用事で役所に行く           :10pt
④  1週間のエネルギーのポイントの合計を算出する
合計得点を見て、まずはあなたの主観で「来週の大変さ」を予想します。

⑤ 休息をスケジューリングする
来週1週間で楽しみなこと、ワクワクすること、リフレッシュできること、のんびりできそうなことに関する予定を書き出します。

⑥ ⑤について、自分に以下のように尋ねてみる
「この予定を通して、私はどのくらいの休息が取れそうですか?」
それぞれの予定の横に、必要なエネルギーのポイントをあなたの主観で記入または入力してみましょう。
なお、楽しみな予定や心のリフレッシュになる予定には「+」をつけて記載します。※1

参考)全く休息にならない : 0pt~
   ほどほどに休息が取れる :+50pt~
   非常によく休息が取れる :+100pt
例) 友人と食事へ行く :+20pt
   習い事へ行く         :+30pt
   家族で出かける        :+30pt 
⑦ ⑥のポイントを④のポイントから引き算する(④ - ⑥)
算出されたポイントを見て、主観で「休息が足りているか」を確認しましょう。

⑧ 【⑦の時点で十分な場合】このままスケジュール帳に書き込む
「やらなければいけない予定」と「休息の予定」を色分けして書き込むことをおすすめします。

⑨ 【⑦の時点で休息が十分でないと感じる場合】新たに休息をスケジューリングしていく
長時間を必要とする休息ではなく、5分や10分でも構いません。アウトプットとそれについてのポイント予測、計算を繰り返して「これならやっていけそう」と感じるところまで繰り返しましょう。

⑩ 【いつもよりエネルギー消費が大きいことが予想される日があった場合】その日も「休息」をスケジューリングしていく
職場でもできるセルフケアを中心に「休息」をアウトプットし、どの時間帯に取り入れたいかを考えて、該当する時間帯にざっくりと記入または入力します。
※1 休息には「動的な休息」と「静的な休息」があります。
「動的な休息」は外出をしたり、体を動かしたり、発散ができる(例:ジムに行く、買い物に行く、散歩にいく等)タイプの休息で、「静的な休息」はゆっくり過ごすリラックスができる(例:本を読む、好きな映画を見る、ハーブティーを味わって飲む等)タイプの休息です。身体的な疲労が予測できる場合には「静的な休息」を意識的に選択することをおすすめします。

この10ステップを1週間に一度行ってみてください。
このスケジューリングを繰り返していく中で、あなたにとってどのような予定にどのくらいの負荷を感じるのかという傾向が見えてくることで、自分のメンタルについての予測が経ちやすくなり、忙しい時期でも心身のエネルギーの余力を残して取り組むことができるようになります。

まとめ

いかがでしたか。
休息を取るということに抵抗がある方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、心と体に余裕を作るためには必要不可欠です。
そして、管理職であるあなたにも「休息を取る」権利があることを忘れないでくださいね。
ぜひメンタルスケジューリングを取り入れて、あなた自身の労いをはじめてみてはいかがでしょうか。

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臨床心理士・公認心理師 古山 あかりさん

臨床心理士・公認心理師としての10年、年間1000件ほどのカウンセリング実践の経験から、心理学やメンタルヘルス、そしてパフォーマンス発揮のためのメンタル術についてのセッションやWSを得意とし、多くの方に提供している。 1対1のカウンセリングセッションはもちろんのこと、毎日を輝かせたい方に向けて、カウンセリング的問題解決思考、自律神経調整レッスン、思いを伝えられるコミュニケーション術など、心理学やメンタルにまつわるさまざまなテーマのセミナーも得意としています。 モットーは今ある問題を解消することを第一に、「健康を維持しながら活躍できるメンタルヘルスケアを」。

<読者へのメッセージ>
メンタルヘルスやセルフケアというと「難しそう」「自分とは無縁そう」と思う方も少なくないと思います。
人ぞれぞれ性格や考え方、そして活躍する場所は違うと思いますが、心の健康を維持していくためには「知識×セルフケア」がどんな人にもポジティブな影響をもたらすことができます。
皆さまのご活躍の一助となるよう、日々取り入れやすいメンタルヘルスに関する情報をお届けしていきます。



『プロフェリエ』の古山あかりさんのページはこちら



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