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仕事に効く話

働く女性に大切な「自己肯定感」~後編~
すぐに実践できる、自己肯定感の高め方

自己肯定感の第一人者で心理カウンセラーの中島輝さんに、自己肯定感に関する様々なギモンについて詳しく解説いただく当企画。後編は、「自己肯定感の高め方」についてお聞きしました。

 

中島輝さん心理カウンセラー、メンタルコーチ。「自己肯定感アカデミー」代表。心理学、脳科学、NLPなどの手法を用い、独自のコーチングメソッドを開発。アスリート、上場企業の経営者など1万5000名以上のメンターを務める。『自己肯定感の教科書』『自己肯定感ノート』(SBクリエイティブ)など著書多数。

自己肯定感は、6つの要素で構成される

―前回、自己肯定感には人により総量があり、状況によって上下してしまうとお伺いしました。なぜ自己肯定感は簡単に上下してしまうのでしょうか?
中島さん自己肯定感は6つの要素で成り立っているからです。①自尊心、②自己受容感、③自己効力感、④自己信頼感、⑤自己決定感、⑥自己有用感です。この6つの感覚に支えられているからこそ、それぞれの感覚がダメージを受けると、自己肯定感のバランスが崩れ、下がってしまいます。また、自己肯定感は『木』に例えることができ、それぞれの感覚を木の要素として捉えるとわかりやすいと思います」

―6つの要素について、詳しく教えてください!
中島さん「まず①自尊心は、自分には価値があると思える感覚で、木で例えると『根』。つまり、全ての土台となる部分です。自尊心が上がれば、高いセルフイメージを持つことができて、生きがいを見つけることができます。例えば、苦手な仕事を頼まれた時に、自尊心が高ければ『今回がチャンスかもしれないからやってみよう』と思えて、一つの仕事に対してやりがい・生きがいを見つけることができます。しかし、自尊心が低いと『苦手なことなんてやれるわけがないよ』と思ってしまうのです」

―同じ仕事でも人によって取り組む姿勢が変わるのは、自尊心の違いだったのですね。
中島さん「続いて②自己受容感は、ありのままの自分を受け入れる感覚で、木の『幹』のように安定している必要があります。つまり、人間には短所もあれば長所もある、不完全な生き物ということを受け入れること。実は、自己受容感は、マネジメント能力に直結します。なぜなら、自分の短所を知っていれば、誰かに助けを求めることができて、しなやかに働くことができるからです。

そして木の『枝』である③自己効力感は、『自分にはできる!』と思える感覚で、伸び伸びと広げていくことが大切。自己効力感があれば、あらゆることに伸び伸びと挑戦をすることができますよね。一方で自己効力感が低いと、『そもそも自分はできない』という前提に立って物事を考えてしまうので、新しいアイディアすらうまれなくなります」

―発想力にも自己効力感が影響しているのは驚きです。
中島さん「さらに木の『葉』の④自己信頼感は、自分を信じられる感覚。自己信頼感が高まると、『自分には無限の可能性がある』と自信を持つことができる。その結果、『あらゆることは自分で決定できる』といった感覚の⑤自己決定感につながり、主体的に『花』を咲かせることができます。一方、自己信頼感がないと、『私には自信がないからこの先起こる嫌なことは我慢すればいい』となり、自己決定を諦めてしまいます。自己決定感が低いと、言われた仕事だけをこなすようになり、積極的に取り組めなくなります」

―いわゆる「マニュアル通りの仕事」や「指示待ち」しかできなくなってしまうということですね。
中島さん「その通りです。最後の木の『実』である⑥自己有用感は、『自分は役に立っている』という感覚。これがあると他人と自分の人生がリンクしていることがわかり、仲間と協力し合える関係が築けて、社会の中で実を結ぶ。ビジネスパーソンにとって、この感覚はとても重要です」

自己肯定感を瞬間的に高める、
「自力」と「他力」の手法

―6つの要素が影響し合う繊細な自己肯定感ですが、「下がった」と感じた時に簡単に高める方法はあるのでしょうか?
中島さん「もちろんあります! 高めるための方法は、『一瞬』『習慣』という軸と、『自力』『他力』という軸による、4つの窓のメソッドで表すことができます。『一瞬』は、自己肯定感が下がったと感じた時にすぐに高めることができる手法で、『習慣』は、長期的に取り組むことで、自己肯定感が高い状態を保つ、つまり自己肯定感の総量を増やすことができる手法です」

中島さん「まず①『一瞬/自力』は、身体を使って心を上向きにすること。例えば、両手を挙げて大きく元気な声で『ヤッター!』と叫ぶ。すると本当に気分が上がるんです。他にも、『今の仕事、自分のためになってやりがいもあるけど、給料が低い。お金がなくて困っているし、辞めようかな』と悩んだ時も、元気よく手を挙げて『お金がなーい!』って叫んでみる。すると自然と気持ちが高まる。その結果、目先の利益だけでやる・やらないを判断するのではなく、未来に向かってやった方がいいか・やらない方が良いかを考えられるようになります」

―両手を挙げながらネガティブ思考になるのは逆に難しいですもんね。かなり効果がありそうです。
中島さん「②『一瞬/他力』は、自分以外の力を利用して心を整える方法。例えば、仕事で嫌なことがあって、しかも明日重大な決断が迫っていて、イライラしている……といった、瞬間的に自己肯定感が下がっている時には、帰り道に花を買って自分の部屋に飾る。その後にPCを開けば、華やいだ気持ちになって気持ちが落ち着いて仕事に取り組めるはずです」

自己肯定感の総量を増やすために、
思考の「枠組み」を変えよう

中島さん「そして長期的に取り組むべき③『習慣/自力』は、考え方の枠を変える『リフレーミング』をすること。例えば、コップに水が半分入っていたとして、『もう半分しかない』と考えるのではなく、『まだ半分も残っている』と肯定的に物事を捉える。さらには『この空いている部分で何をしよう? カルピスでも入れてみようかな?』とワクワクする発想ができたら、より自己肯定感は高まります。

ちなみに、キャリアでつまずいたと感じた時も、リフレーミングは意識した方が良いです。例えば『今のプロジェクトを続けるのは心が折れそう』と捉えるのではなく、『心が折れそうということがわかった。では折れないためには具体的に何をやるべきか』を考える。さらに『この状態を克服すると、自分の人生にとってどんなメリットがあるか』まで考えられると、自分のキャリアのプラスになりますよね」

―ネガティブ思考の方がいきなりポジティブ思考になるのは難しいと思っていましたが、「物事の捉え方を少し変えてみるだけ」と思えば、ハードルが低いです。
中島さん「また、『習慣/自力』の手法として、一人の時間を充実させることも有効です。一週間に一時間は自分のために映画を観たり、音楽を聞いたり、趣味に打ち込んだり、自分のために時間を使うこと。これも自己肯定感の総量を増やすための習慣です」

自己肯定感の輪は連鎖する。
ポジティブな集団に自分の身を置くことも大切

中島さん「最後の④『習慣/他力』は、ポジティブな人と関わるよう、人間関係を変えていくこと。自己肯定感は連鎖するので、ポジティブなコミュニティに自分を置くようにしてください。例えば新しく習い事を始めるなら、ポジティブな人が多い教室がいいですね。この4つをバランス良く行うと、自己肯定感がどんどん高まり、総量も上がっていきます」

―どれも意外と簡単な方法ばかりですね。「私は自己肯定感が低いからもうダメ」と諦めていた方にも、希望となるお話でした。
中島さんもはや『諦める』という概念すら捨ててしまうべきなんです。生きていく上では、いつも自分の中で『こうありたい』『こういう生活をしたい』という山の頂を見据えて、現在地を把握することが大切です。そして紆余曲折があるものと理解した上で、どのように登っていくかを考える。その道中で壁にぶつかった時でも乗り越えられる力が自己肯定感です。自己肯定感があれば高い山も登れて、結果的にメンタルも経済的にも自立できます。自己肯定感は、女性がもっと輝きながら働くために、絶対に身に付けるべき力なのです

ーおっしゃる通りだと思います。ご紹介いただいた方法でさっそく自己肯定感を高めていきたいと思います! ありがとうございました。
中島さん「自己肯定感があれば、仕事もうまくいって経済面でもメンタル面でも自立することが可能です。よりよい人生のために、ぜひ実践してみてください」
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