高山都さんが語る、自分の居場所を見つけ、キャリアを広げる方法
モデル、俳優、ラジオパーソナリティ、商品ディレクション、SNSでの発信など、幅広いフィールドで活躍する高山都さん。けれど、そのキャリアは最初から順風満帆だったわけではないそうです。
今回は、高山さんに、キャリアの転機となった挫折や、自分の居場所を見つけるまでの道のりについてインタビュー。さらに、SNSを使う時にメンタルを守るために意識していること、人と比べて落ち込んだときの向き合い方についても伺いました。
高山都(たかやま みやこ)
1982 年生まれ。モデル、執筆業、商品のディレクションなど幅広く活動し、丁寧な生き方を発信するinstagramも人気。
趣味は料理、ランニング、器集め、旅行、和装。
2024年11月に4年ぶりの著書『高山都、もの語り ひとりごと、ふたりごと』(宝島社刊)を出版。
6月にはYouTube【高山都miyakoto!?】を開設。
「このままでは生き残れない」挫折をきっかけに見つけた、自分だけの武器
- ーモデルとしての活動を始めた頃、今のように幅広く仕事をする未来は想像されていましたか?
- 高山:全く想像していませんでした。今から20年以上前、10代の頃からモデルとして表に出る仕事をしていたので、自分の働き方や立場だけでなく、時代も今とは大きく異なります。
自分を商品として扱うモデル業は、ある意味で「世間に消費される仕事」とも言えます。10代や20代前半は「どこまで先があるんだろう」「どこまで受け身の状態で仕事を続けていけるんだろう」という気持ちが強く、未来に対して希望を持っている…とは言えませんでしたね。
- ー不安とは常に隣り合わせで働いてきた…ということでしょうか。
- 高山:そうですね。自分で自分を保証するしかないという不安は常にありました。私の場合、もしモデルという仕事を辞めても履歴書に書ける内容が無いんですよ。会社員ではないので、失業保険もありません。特にキャリアをスタートしたての頃は、周りの友人はみんな大学に進学していたので、私だけ違う道を選んだことに対する不安もありました。
- ーそういった状況から、俳優やラジオパーソナリティ、商品ディレクションなど、仕事の幅を広げた転機は?
- 高山:転機は挫折ですね。20代半ばで、自分の商品価値がどんどん下がっていくのをリアルに体感しました。「可愛さ」だけではやっていけない仕事なのだと痛感し始めた頃です。じゃあ自分には何ができてどんな実力があるんだろうって見つめ直した時、何も思いつかなかったんです。
その挫折をきっかけに、何もない自分がこの業界で生き残るにはどうしたら良いのか模索し始め、自分がやれること、得意なこと、好きなことを売りにしていくことはできないかと考えるようになりました。
そこで自分は「音楽が好き」ということを見つけて。でも、音楽好きの人はたくさんいるので、それだけでは絶対に勝負できません。もっと的を狭く小さくして「この中でだったら一番を取れるかも」というところまで掘り下げました。私の場合、音楽の中でも「日本のインディーズの若手バンド」という的まで絞り、このジャンルで一番になれば多少目立って印象に残れると思ったんですね。広いジャンルで一番は難しくても、狭い世界で自分の役割を見つければ、そこが自分の立ち位置になるかなと思いました。
所属している芸能事務所も大手だからこそ、事務所から「売りたい」と思われる要素がないと前に出ることは難しくて。頼れるのは自分だけという状況だったので、20代後半の時に、自分の写真と「日本のインディーズの若手バンドの知識」を持って、事務所には黙ってTOKYO FMのオーディションを受けました。そこで音楽情報番組のパーソナリティになることができたんです。4年間、毎週月・火曜の20時から22時までの生放送を担当し、そのラジオの仕事からどんどん仕事の幅が広がっていきました。
「自分の居場所は、自分でつくる」ラジオで培った自分軸
- ーラジオのレギュラー番組を持ったことで、具体的にはどのような変化がありましたか?
- 高山:自分の居場所を自分自身でやっと見つけられたという感覚が大きかったですね。
私はどこかの媒体の専属モデルになることができなかったので、毎回異なる媒体で、毎回異なるスタッフさんと作品を作る働き方でした。だから自分の居場所なんてないし、毎回の仕事が「負けられない戦い」のような感覚で、ずっと危機感の中で働いていて。当時はしんどかったですね。
一方、ラジオ番組は一人で喋る仕事。番組中に起こったことは、たとえ自分のミスではなくても全て私の責任ですし、投げ出せません。準備不足や力不足だったら努力するしかありません。とにかく自分のことを自分で叩き上げた時期でした。番組を進行することは当然プレッシャーもありましたが、代え難いやりがいもありました。
- ープレッシャーはどう乗り越えたのでしょうか?
- 高山:足りないところは努力で補い、他者と比べすぎないことを意識しました。比べるのは過去の自分と今の自分だけ。他者と比べてしまうと軸もブレてしまいます。横を見ている時間があるのなら、前を見る!
ラジオパーソナリティーを始めた頃は、リスナーさんからの批判的な意見も多くて、気になることもありました。インターネットでエゴサーチをして傷ついたりもしていましたが、自分の信念を変えずに努力していったら、批判が徐々に応援に変わっていきました。努力することで、信じてくれる人が増えたんですよね。
SNSで発信しているからこそ、人と比べすぎない
- ーInstagramなどSNSでのライフスタイルの発信も人気ですよね。発信で意識していることはありますか?
- 高山:ありがとうございます。ラジオパーソナリティをしていた当時、ディレクターさんに「ラジオは一人で喋る仕事だけど、マイクの向こう側に聞いてくれる人がいると思って喋りなさい」とよく言われていました。リスナーさんの顔は見えないけれど、どんな顔をしていて、今何をしながら聞いているのか想像力を持ってメッセージを届ける。それが今のSNS発信の仕事のスタンスに繋がっています。エゴな発信ではなくて、受け取り手が何が見たいのか、聞きたいのかをイメージすることを意識しています。
- ー求められる自分と自分らしさのバランスはどう取っていますか?
- 高山:悩みながらではありますが、やはり人と比べすぎないことですかね。SNSってちょっと中毒性もありますが、誰かと比べ始めると本当にキリがないので。
「なぜこの人が売れているのか」「なぜこの投稿がバズってるのか」といったリサーチはしますが、だからといって全部真似したり比べたりはしません。リサーチをした上で、良いと感じた部分は取り入れつつ、自分の軸は変えないようにしています。
- ー人と比べてしまうことはないのでしょうか?
- 高山:もちろん、時にはありますよ!女性の場合、生理周期などで心身ともに波がありますよね。自分の調子が良くない時に落ち込む出来事などが重なってしまうと、他人がキラキラして見えてしまいます。「自分は頑張っていないんじゃないか」とか、普段は持ち出さない妬み・嫉み・僻みの感情が出てきてしまって。
自分自身で、醜い感情が出てきてしまっていることに気づいたら、最近はノートに書くようにしています。今何に悩んでいるかを冷静に書き出すと、自分自身を俯瞰して見られるんです。何が嫌で何ができるか頭の中が整理されて、マイナスな感情も成仏するんですよね。
★後編では、40代になった現在の働き方の変化や仕事を選ぶ軸を伺います
(取材・執筆/菱山恵巳子)





