管理職は有給休暇を使えない?有給の基本と取得義務について
近年、働き方改革の影響を受けて、有給休暇を積極的に取得することが奨励されています。しかし、それでもなお、業務の都合や責任感から有給休暇を取得し辛かったり、そもそも取得できるのかと疑問に感じていたりする管理職も多いようです。
本記事では、管理職の有給休暇に関する基本的な知識や、取得を促進するための取り組みについて解説します。
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管理職に有給休暇はある?

管理職も非管理職と同様に有給休暇を取得する権利があります。
2019年4月に労働基準法の改正により、すべての企業において、有給休暇が10日以上付与される労働者に対して年5日の有給休暇を取得させることが義務付けられました。(労働基準法 第39条)
管理職の中でも「管理監督者」とみなされる場合、労働時間や休憩に関する規定が一部適用除外となることがありますが、有給休暇の取得は管理監督者にも適用されます。従って、企業は管理職に対しても年間5日の有給休暇を取得させなければなりません。
「管理監督者」と「管理職」の違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
参考:名ばかり管理職は違法?判断基準や問題点、防止方法などを解説
https://bemyself.pasonacareer.jp/skill/skill-3466/
管理職が有給休暇を取得する際のポイント
とはいえ、責任のある管理職についていると、有給休暇を取得しづらいと感じる人もいるのではないしょうか。ここでは、そんな「取得しづらさ」を解消するために、管理職が有給休暇を取得する際のポイントを紹介します。
休暇取得のタイミングを考える
業務の繁忙期や重要なプロジェクトの進行中に休暇を取得すると、業務に悪影響を及ぼす可能性があります。業務の状況を考慮し、決裁や判断が必要になるタイミングを避けて休暇を取得することが望ましいです。
職場の業務調整を行う
管理職は職場の責任者です。管理職が不在となることで業務に支障が出ないよう、事前に業務の割り振りや調整を行う必要があります。
自身が休暇をとっても、仕事が回る状況を事前に整えましょう。
部下への影響を考える
部下の業務に支障が出ないよう、休暇日程は事前に部下に共有し、緊急時のエスカレーション先についても周知しておくと良いでしょう。
また管理職が休暇を取ることで、結果的に部下が有給休暇を取得できない、ということになってはいけません。部下の労務管理も管理職の仕事に当たるので、部下の有給休暇日程との調整も必要です。
部下の労務管理については下記の記事もご参考ください。
参考:管理職が知っておくべき!労務管理の基礎知識
https://bemyself.pasonacareer.jp/skill/skill-2105/
管理職の有給休暇取得促進のための企業の取り組み
続いて、管理職の有給休暇取得を促進するために、企業が実施できる取り組みをご紹介します。
休暇取得状況の把握
企業側は、管理職の休暇取得状況を定期的に確認することが大切です。これにより、取得率が低い場合は、原因を分析して改善策を検討できるようになります。
労働時間が一定を超過し、休暇取得が行われない場合は、時に人事が介入して労働時間調整を行うことも必要です。
業務の偏りの改善
また、有給休暇の取得を促進するためには、管理職のみに頼る属人的な環境を解消することが重要です。
チーム全体で業務を共有し、助け合える体制を構築することで、管理職が安心して休暇を取得できる環境を整えることができるでしょう。
休暇取得の推奨
休暇取得の文化が根付いていない企業では、有給休暇を取得するハードルが高くなりがちです。そのため、企業が率先して休暇取得を推奨すると良いでしょう。
例えば、企業として有給推奨日を作成し、全社員共通の休暇日として推奨することで「部下も全員休んでいるから」と管理職でも有給を取得しやすくなるでしょう。ゴールデンウィークやシルバーウィーク、年末年始休暇の近辺などに設定して大型連休を取りやすくするのも良いかもしれません。
また有給休暇の取得促進の一環としてワーケーションを導入している会社もあります。従業員や会社員が職場や自宅を離れ、観光地やリゾート地で業務を行う働き方で、業務の合間の日に有給休暇が取得しやすくなるでしょう。
参考:余暇を楽しむ新しい働き方「ワーケーション」のメリットとは?
https://bemyself.pasonacareer.jp/skill/skill-2383/
ツールを導入した効率化
勤怠管理システムや業務管理システムなどのITツールを導入することで、有給申請の簡素化や業務の効率化を図り、管理職が休暇を取得しやすい環境を整えることもできます。
例えば、勤怠管理システムで有給申請を簡単に行える仕組みを整えることで、休暇取得の心理的なハードルを下げることが出来ます。他にも、社内のコミュニケーションツールを導入すれば、部下が業務で疑問が生じた際に、管理職以外にも質問ができるようになります。管理職がいなくても解決できる問題が増え、結果的に、管理職も休暇を取得しやすくなるでしょう。
有給休暇は権利であり、管理職も取得できる
管理職も労働者であり、有給休暇を取得する法的権利があります。休むタイミングや業務の調整を行い、積極的に有給休暇を取得しましょう。
また企業側も、企業文化として「休みやすい風土」を醸成することが大切です。長期的な視点で見ると、社員の持続可能な働き方が実現し、組織の成長にもつながるでしょう。