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予算管理とは?管理職が押さえるべき基礎知識と実践のノウハウ

企業が設定した目標を達成するために、予算管理は欠かせない業務の一つです。適切な予算管理を行うことで、無駄なコストを削減し、経営の安定性を向上させることができます。

 

この記事では、予算管理の基本から実践的なノウハウ、ポイントなどを詳しく紹介します。

予算管理とは

予算管理とは、企業や組織の事業計画に基づき予算を策定し、定期的に実績を把握・分析して、管理することです。設定した利益目標の達成を目的とし、特に「予算の策定」に重きを置きます。

似た言葉に予実管理がありますが、予実管理はプロジェクトや部門ごとの予算と実績を管理することです。「実績の分析や評価」に重きを置き、短期間のサイクルで取り組みます。予算管理の中に予実管理が組み込まれていると考えて問題ありません。

また、経営管理は予算を含む「ヒト・モノ・カネ」を適切に分配・活用するための管理です。予算管理はこの中の「カネ」の部分にあたり、経営管理の一環といえます。

予算管理の目的

予算管理の一番の目的は、利益目標の達成・最大化です。

適切な予算を立てることで、事業活動に必要な資源を効果的に配分でき、無駄なコストを削減できます。また利益を出すことで、将来的により大きな事業計画を実行可能にし、経営の安定性を確保するための土台作りができます。

予算管理のメリット

適切な予算管理を行うことで得られる具体的なメリットも紹介します。

財務を可視化できる

まず、財務を可視化できるのは大きなメリットです。予算を立てるためには、過去の収入や支出を明確にしなければいけません。現状を正しく理解することで、経営判断がしやすくなり、早期に問題を発見して対策を講じることができます。

コストの削減

財務を可視化することで、予算を組み立てる際に適切な予算の配分が可能になります。今までどこに無駄なコストがかかっていたかも可視化できるため、不要な支出を削減できるのも大きなメリットでしょう。

経営判断の精度向上

また、予算管理が適切にできていれば、利益を生み出す部門や商品、そのために必要な支出項目などをより正確に把握できるようになります。判断材料が大幅に増えるので、経営判断の精度は向上するでしょう。

予算管理で扱う予算の種類

予算管理で扱う予算には、主に売上予算、原価予算、経費予算、利益予算の4種類があります。それぞれの予算がどのように機能するかを理解し、バランスよく運用することが重要です。

ここでは4つの予算について解説します。

売上予算

売上予算とは、企業の売上目標のことです。

売上予算は、過去の売上実績などを踏まえ、今期の経営戦略に基づいて策定されます。過去の売り上げ実績をそのまま利用するのではなく、今期新しく取り組む事業や縮小する事業などを考慮しながら、目標とする売上額を設定していきます。

管理職は、売上予算に基づいて営業戦略や販促活動を計画する責任があります。

原価予算

原価予算とは、製造やサービス提供に必要な原価の見積りです。

売上目標や原材料の高騰などによっても変動するため、定期的に見直し、調整する必要があります。

経費予算

経費予算とは、人件費や広告費など、事業運営に必要な支出の見積りです。

人件費や労務費、広告宣伝費や光熱費など、企業活動に必要な経費全てを含みます。予算管理の際に削減対象となるのは経費予算が一般的です。

労務管理についてはこちらの記事もご覧ください。
参考:管理職が知っておくべき!労務管理の基礎知識

利益予算

利益予算とは、企業の利益目標です。
売上予算から原価予算・経費予算を差し引いた数字がこれに当たり、利益予算の目標を達成するために予算管理を行います。

予算管理のプロセス

ここからは予算管理の具体的なプロセスを解説します。

予算編成

まずは、企業の経営戦略や各部門の目標に基づいて、必要な予算を策定します。予算管理の中でも予算編成は最も重要なプロセスです。

予算を作る方法には、経営層が全社の予算計画を立てて現場に下ろす「トップダウン方式」と、現場から予算計画を吸い上げ全社予算を組み立てる「ボトムアップ方式」の2種類があります。

最終的には企業の経営戦略に基づき、各部門と調整しながら決定します。

経営戦略については下記の記事をご覧ください。
参考:経営戦略とは何か?経営戦略の概要やポイントをわかりやすく解説

計画の実行

予算編成が完了したら、計画に沿って実行に移します。

管理職は、策定した予算に基づいて、自チームの目標を達成するために予算やリソースの配分を行います。進捗状況は定期的に確認し、イレギュラーが起きた場合は次回の予算策定の際に参照できるよう記録を残すようにしましょう。

評価と改善

計画が実行された後は、定期的に実績と予算との差異を分析し、その原因を特定します。

この評価を基に、必要に応じて予算の調整や改善を行います。評価と改善を行うことで、次回の予算編成や計画実行に向けて、より良い予算管理ができるようになります。

予算管理のポイント

次に予算管理を効果的に行うための重要なポイントを解説します。

月次で管理する

まず予算管理は年単位ではなく、月次単位で行うことが効果的です。

年単位で評価し次年度に改善するよりも、月毎にPDCAサイクルを回す方が、より時勢に合った計画を立てることができます。リスク管理にも効果的ですし、事業のチャンスも掴みやすくなるでしょう。

また月次で管理すると、次年度の計画を立てる時に一気に資料を集めたり入力したりする必要がないので作業がスムーズです。

現場を理解する

予算を設定する際には、数字だけで判断せず、実際の業務内容や現場の状況を十分に理解することが大切です。

現場の担当者とコミュニケーションを取り、どのような課題があるかを把握し、現実的な予算設定を行いましょう。現場の視点を反映させた予算管理を行うことで、計画が破綻するリスクが低くなり、結果的に企業全体の運営がスムーズに進みます。

目標値の根拠を明確にする

予算に設定する目標値には、明確な根拠を持たせることが大切です。

予算編成の意思決定には通常複数の人間が関わります。経営陣の合意や現場の納得感を得るためには、過去のデータや市場動向など根拠を明確にし、誰が聞いても一定の説得力があるデータを提示することが重要です。

予算管理の注意点

最後に、予算管理を進めるにあたって、いくつか注意点を解説します。

予算管理の本来の目的を見失わないようにする

予算管理は企業の成長を支える手段であり、目的そのものではありません。

予算管理の目的は利益目標や経営目標の達成です。必要があれば計画を変更することもありますし、状況に応じて大幅な見直しが必要になることもあるでしょう。

例えばプロジェクトで大きな問題が起きて追加の工数が必要になったとします。策定した数値にこだわるあまり、不当に社員に残業させたり、追加の人員のアサインを渋ったりしては元も子もありません。本来の目的を見失わないようにしましょう。

外部要因を考慮する

予算を立てる際には、内部だけでなく外部環境の影響も考慮しましょう。

近年は社会の変化が激しく、「例年通り」が通じないことは予算管理においても往々にあります。例えば、原材料費の急騰や、求人倍率の上昇などは予想外の支出を生む可能性があります。

これらの外部要因を踏まえ、ある程度柔軟に対応できる予算計画を作成することが重要です。

目標の粒度に留意する

予算目標は細かすぎても粗すぎても問題を引き起こす可能性があります。

細かすぎる目標設定は現場の負担を増し、過度な管理を求めることになります。一方で、粗すぎる目標は達成度が不明確になり、効果的な改善が難しくなります。

管理職や現場の社員が具体的なイメージを持つためにも、目標の粒度は重要でしょう。

まとめ:適切な予算管理を行い、組織の成長を促進しよう

予算管理は、企業の経営安定と成長に欠かせない要素です。適切な予算管理を行い、経営状況を把握することで、組織の成長を促進していきましょう。

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