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仕事に効く話

「カッツモデル」とは?リーダーが身に付けておきたい3つのスキルセット

「優秀なリーダーになるには、何が必要か?」と質問されたとき、どんな答えが思い浮かぶでしょうか。卓越した専門知識、他者を引きつけるカリスマ性、それとも大胆な意思決定力でしょうか。

実は、リーダーシップを発揮するために必要とされるスキルセットが存在します。その指針となるのが、ロバート・カッツが提唱したカッツモデルです。

カッツモデルとは、あらゆるリーダーが成功するために必要な3つのスキル —「テクニカルスキル」「ヒューマンスキル」「コンセプチュアルスキル」ーを体系的に示したものです。このモデルを理解し、自分のキャリアや役職に合わせてスキルを磨くことで、リーダーシップ能力を飛躍的に向上させることができます。

本記事では、このカッツモデルの全容と、それぞれのスキルを身に付けるための実践的なヒント、そして、その活用方法をご紹介します。

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高衣紗彩(たかごろもさあや)さん

・株式会社ミッション・ミッケ人生デザイン研究所 代表

千葉県出身。英国University of Hullでファイナンス&インベストメント専攻のMBAを取得後、香港で銀行の産業調査部に7年間所属。その後、外資系投資銀行や資産運用会社で証券アナリストやポートフォリオ運用を担当。ステージIVの癌から回復した経験を機に独立し、2013年に「ミッション・ミッケ 」を設立。2015年には独自のメソッドをもとに『人生デザイン構築学校®』を創設し、600名以上の卒業生を輩出。2024年、初の著書『プロのポートフォリオ・マネジメントで一生お金に困らない人になる!』(すばる舎) を出版し、全国のビジネス書ランキングで1位を獲得するなど注目を集める。現在も「才能を輝かせる人生デザイン」の普及に尽力している。

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カッツモデルの3つのスキルとは?

カッツモデルでは、リーダーシップにおけるスキルを次の3つに分類しています。それぞれのスキルは、職位や役割によって重要度が異なります。

画像引用:『働く人と組織を豊かにーサンライトコンサルティング』 https://sun-light-consulting.com/ より


1. テクニカルスキル(Technical Skills-業務遂行能力)
日々の業務遂行に必要とされる、具体的な「知識」や「スキル」のことです。現場での問題解決や業務効率化を図るスキルで、特定の専門分野での実務を遂行していく上での実践力が求められる場面で活躍します。
• 具体例:データ分析、プログラミング、マーケティング施策の設計
• 対象リーダー: 特に現場のリーダーや中堅社員に求められるスキルです。


2. ヒューマンスキル(Human Skills-対人関係能力)
他者と効果的に関わり、信頼関係を築く能力を意味します。このスキルは、チームのモチベーションを高めたり、意見の対立を調整したりする際に不可欠です。
• 具体例: チームビルディング、感情知能(EQ)、交渉力
• 対象リーダー: 複数の部下をまとめる組織内の中間管理職やプロジェクトリーダーなどに最も必要とされるスキルです。


3. コンセプチュアルスキル(Conceptual Skills-概念化能力)
物事を俯瞰的に捉え、戦略を立てる能力を指します。複雑な課題を整理し、全体のビジョンを明確にするための洞察力が求められます。目の前に見えている具体的な現象から課題やプロジェクトを推進するための突破口を推論する力や、それらを抽象的な概念として俯瞰して洞察する力などがこれに含まれます。
• 具体例:ビジョンや経営戦略の立案、リスク分析、未来予測、
• 対象リーダー: 特に経営の方向性や戦略を決める経営層や上級管理職において重要です。

職位ごとのスキルの重要度

カッツモデルの大きな特徴は、職位や役割に応じて必要なスキルの割合が異なる点にあります。

ローワーマネジメント(リーダー層): 実務を遂行するためのテクニカルスキルが最重要。ヒューマンスキルも必要ですが、コンセプチュアルスキルの比重は低めです。

ミドルマネジメント(管理職層): ヒューマンスキルが最も重要。テクニカルスキルとコンセプチュアルスキルのバランスが求められます。

トップマネジメント(経営者層): コンセプチュアルスキルが最重要。組織全体を俯瞰し、長期的な視野で意思決定を行う力が不可欠です。

3つの層に共通して必要なスキルがヒューマンスキルであることも、押さえておきたいポイントです。

カッツモデルを活用したスキルアップの方法

カッツモデルを活用してスキルアップを行うための具体的な方法を3つご紹介します。

1.自己分析を行う
まず、現在の自分の現在地を把握しましょう。職位や目標に応じて、3つのスキルのどれが不足しているのかを明確にします。例えば、日々の業務に追われてヒューマンスキルを磨く余裕がないと感じている場合、その分野に焦点を当てたトレーニングを開始するためには、どのように時間配分を行ったら良いかを考えます。


2. 弱いと思うスキルを身につけるための戦略を立てる
テクニカルスキル: 職種によって、必要とされる知識・スキルは異なります。まずは自身の業務遂行に必要な知識・スキルを具体的に可視化することが重要です。AIなど新しい技術やツールなどを学び、実務に生かせるものを取り入れてみましょう。

ヒューマンスキル: チーム内でのコミュニケーションを改善するためには、人間行動の原理原則や本質を理解することが重要です。行動経済学や行動科学、心理学の基礎を学び、人間とは、一般的に何があると行動を起こすのか、などの人間理解を深めることが、第一歩になります。

コンセプチュアルスキル: 上司や同僚との会議で、具体的な問題や課題の細部に捕われるのではなく、全体像を俯瞰して問題の本質を理解し、その観点からの発言を心がけてみましょう。抽象度を高めた視座を持てるように、そのような視点を持った人と壁打ちをすることなども役にたちます。


3. 外部リソースを活用する
外部のリーダーシップ研修など、各スキルのアップを支援するリソースを活用することも、役にたちます。

まとめ

カッツモデルは、シンプルでありながら、職業生活全体を通じてどのスキルが重要であるかを視覚化し、計画的にスキルを伸ばす指針となる強力なツールです。カッツモデルが示す3つのスキルセットは、リーダーとしての成長に何が必要かを明示しています。

これらのスキルをバランスよく磨き、自分のキャリアや職位に応じて適切に活用することで、次のステージに行くための準備として、リーダーシップの質を大幅に向上させることができます。

あなたのキャリアを次のステージに進めるために、まずはカッツモデルを意識したスキル開発を始めてみましょう。
次回は、どの職位にも共通して必要なヒューマンスキルに焦点を当てて、その本質と、ヒューマンスキルの高め方などをお伝えして行きます。





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