人の心を動かし大きな成果を生む「影響力コミュニケーション 」
私たちの生活の多くの場面で重要な役割を果たしているコミュニケーション。人はコミュニケーションに基づき、意思決定し、他人と団結し、好感を抱き、または不快感や不信感を抱いたりします。実際、このコミュニケーションが原因で、問題が発生し、人間関係に誤解が生じたことがある人も多いのではないでしょうか。
この、普段何気なく取っているコミュニケーションに、目標達成、すなわち“コーチングの視点”を加えた『影響力コミュニケーション』を実践することで、コミュニケーションの質と影響力を一気に高めることができます。
相手の心を動かし、望ましい結果を導く『影響力コミュニケーション』。今回の記事では、この『影響力コミュニケーション』について解説します。
(前回記事はコチラ)
目次
栗田 梓 さん
Pranaztrini Coaching Academy 代表
『他人軸で生きる自分を変えたい』という思いから海外留学を決意し、6歳の娘と渡米。本場アメリカでのカウンセリングを通じて自己理解を深める。当時の英語レベルはお買い物英語程度で、授業についていくのは困難だったが、できない自分を受け入れ、意欲的に学習に取り組み、大学での成績はオールAを実現。帰国後、心理療法やNLPを学び、2019年にメンタルコーチとして起業。メンタルコーチ養成可能な4つの国際トレーナー資格を生かし、セッションで最も効果的だったものから「実現力最速化メソッド」を考案。女性の自己実現に貢献している。受講生の9割が女性で、受講満足度は98%。セッション人数は500人以上。
一歩先をいく「影響力コミュニケーション」
皆さんにとってコミュニケーションとは、どのようなものでしょうか?
「何かを伝える手段」「相互理解」「意思の疎通」など、さまざまな答えが浮かぶかもしれません。
しかし本来、コミュニケーションとは「望む結果を引き出すための手段」です。この観点から見たときに、世の中の9割の人が、コミュニケーション不足と言われています。
コミュニケーションを取る際、私たちは常に何らかの結果を望んでいます。たとえば、「何かを頼みたい」「合意が欲しい」「何かを避けたい」「好感を持たれたい」「楽しみたい」など、コミュニケーションの目的はさまざまです。
それらの目的を叶えるために、まず知っておきたい大前提があります。それは、「他者や状況をコントロールすることはできない」ということです。
一時的にコントロールすることはできるかもしれませんが、他者や状況をコントロールするためのコミュニケーションは、最終的に反発や反感を生む結果となるため、本末転倒に終わることが少なくありません。
では、相手をコントロールせず、どうやって目的を叶えればよいのでしょうか?その答えが、相手の心を動かすアプローチである『影響力コミュニケーション』です。
具体的には、「目的を叶えるため、望ましい着地点へと相手の心をリードしていく、言語・非言語による質の高いコミュニケーション」を私は『影響力コミュニケーション』と名付けています。
ここからは、『影響力コミュニケーション』を実践するための3つの重要なポイントをご紹介します。
1:コミュニケーションの“目的”への一貫性
コミュニケーションがうまくいかない場合、多くは、当初から“目的”が曖昧であったり、自分自身の感情や場の状況に振り回され、途中で“目的”を見失ったりすることが原因です。
“目的”への一貫性が失われる結果、本来の“目的”から離れて別の方向へ議論が向かってしまい、チャンスを逃してしまうことがあります。
逆に言えば、“目的”を明確にし、意識を常にそこに置き続けることで、望ましい着地点へと相手の心をリードしやすくなります。
分かりやすい例として、「成績を上げたい母」と「勉強を嫌がる子供」のケースを見てみましょう。
母親は子供の成績を上げたい一心で、ドリルを解かせたり、塾に通わせたり、家庭教師をつけたりしますが、親の心子知らずとはよく言ったもの。子供にはその気持ちが伝わりません。勉強する気がない子供に対して、母親は叱り、ゲームを取り上げるなどの罰を与えたります。
それでも言うことを聞かない子供に対し、叱責と罰はエスカレートしがちですが、子供がやる気を出すことはなく、母親の悩みは深まるばかりです。こうしたご家庭は少なくないのではないでしょうか。
このケースは、コミュニケーションの“目的”がずれてしまった典型的な例です。母親はもともと、「子供の成績を上げること」を“目的”にしていましたが、いつの間にかそれが、「子供に言うことを聞かせること」、「自分のやり方が正しいと証明すること」にすり替わってしまっています。
叱られたり、ゲームを取り上げられたりするのを避けるために勉強を続けた場合、子供の中で勉強に対する嫌な印象がさらに強まり、ますます勉強嫌いになってしまいます。勉強への意欲が湧かないばかりか、親子関係まで悪化しかねません。
「子供の成績を上げること」を第一に考えるのであれば、嫌々ながら強制的に勉強をさせるアプローチではなく、子供が自ら勉強に対してやる気を持てるようなアプローチを採った方が遥かに効果的です。
「どうすれば、子供が自ら勉強に対してやる気を持てるようになるのか?」という点にフォーカスして子供とのコミュニケーションをとれば、また違った結果が見られたのではないでしょうか。
2:「Win-Win」の前提を持つ
前述したとおり、私たちは原則として、他者や状況をコントロールすることはできません。だからこそ、相手の心を動かし、望ましい結果を導く『影響力コミュニケーション』が大切になります。
そして、この『影響力コミュニケーション』が本来の力を発揮するには、常に「Win-Win」の概念を持つことが必要です。
「Win-Win」ではなく、自分の目的だけを果たす「ひとり勝ち」のパターンは、一時的な利益にしかなりません。このようなアプローチでは、やがて「信頼」という何にも変え難い大切なものを失い、将来的に悪い評価として自分に返ってくるおそれがあります。
ここで言う「Win-Win」とは、「自分の望みも、相手の望みも叶うこと」。自分と相手、組織と自分、コミュニティと自分、社会と自分、さらには地球と自分──あらゆる関係において、全てにWinであることが重要です。
そして、この「Win-Win」な状態を作るうえでカギとなるのが、「相手の目的や望みを知ること」です。
人は、基本的に自分に利のないことはしたくない生物です。逆に、自分にとっての喜びがあると分かれば、人の心は動きます。
相手の目的や望みに真摯に耳を傾け、それを尊重し大切に扱うからこそ、相手の心は動いてくれるのです。
だから、「どうすれば、自分と相手の望みが満たされるか」という問いに真剣に向き合い、柔軟性を持ってコミュニケーションを進めることが、『影響力コミュニケーション』の真価を発揮させるうえで重要になります。
3:伝える前の土台作り
『影響力コミュニケーション』が真価を発揮するために重要なポイントがもう一つあります。それは、「相手に話を聞いてもらえる土台を作ること」です。
コミュニケーションの場面では、しばしば、“目的”から外れ、双方が自分の正しさを主張し合うケースを見かけますが、そうなると、お互いの溝が深まり、分かり合うことは難しくなります。
『影響力コミュニケーション』を行うにあたり、「正しい・間違っている」という概念は必要ありません。なぜなら、人はそれぞれの立場で常に最善を尽くしているからです。
たとえ、自分の目には、間違い・未熟に映ったとしても、その人の中ではそれが最善を尽くした結果であったりします。逆もしかりで、相手から批判されている自分の言動は、自分の中で最善を尽くした結果であることが多いのではないでしょうか。
だからこそ相手に対し、正誤のジャッジはせず、相手の想いを丸ごと受容することが大切です。
気持ちがパンと張り詰めている時には、言葉を聞ける隙間はないものです。しかし、その相手の気持ちを、否定も肯定もせず、「そうなんですね」「そう考えていらっしゃるんですね」とただ受け止めるだけで、相手の張り詰めた気持ちがゆるみ、少しの隙間が生まれます。その隙間にこそ、言葉は入っていくのです。
要するに、「相手が心から話を聞いてくれるから、自分も相手の話を聞ける」ということ。こうした土台ができて、初めて人は相手の話を聞ける状態になります。
影響力コミュニケーションは相互理解と柔軟性
『影響力コミュニケーション』と聞くと、人をコントロールする魔法のような難度の高いスキルを想像される方もいるかもしれません。
しかし、『影響力コミュニケーション』は、本来の“目的”から意識を離すことなく、柔軟性を持って相手との「Win-Win」な着地点を見つけることを心がけることで、誰でも実践できるものです。
相互理解と柔軟性を基盤とする『影響力コミュニケーション』が習慣化すると、 “目的”を達成できる場面が大幅に増え、人間関係も劇的に改善されると思います。ぜひ、お役立ていただければ幸いです。
第一回記事:「成功する人・そうでない人の決定的な違いと “成功者マインドセット”の整え方」
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