野々村友紀子さん「大人の一歩を踏み出した子どもには、責任を教えて見守る」
キャリア、仕事、人間関係、健康、家族、恋愛…。悩み多き、現代女性たちに寄り添う人気企画「お悩み相談室」。放送作家の野々村友紀子さんが働く女性のお悩みに答えます。今回は子育てに関する2つのお悩みが登場。高校1年生と3年生の娘を育てる野々村さん。親として意識してることを語ります。
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野々村友紀子さん
1974年8月5日生まれの放送作家。大阪府出身。2丁拳銃・修士の妻。
芸人として活動後、放送作家へ転身。現在は吉本総合芸能学院(NSC)の講師、書籍・脚本等の作家業に加え、メディア出演など多方面で活躍中。
2021年12月に7冊目の著書『アカンヒトズカン』(学研プラス)を出版。
大学生の子どもが勝手に医療ローンを組んだ
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野々村さん「独り立ちの第一歩と捉え、“責任”について教えよう」
同じ親としてこれは頭が痛い問題ですね。勝手な行動に腹が立つのもわかりますが、大学生ともなれば自分なりの考えがあるはずです。諭すにしても息子さんの気持ちを理解した上で寄り添うことが大切なのではないでしょうか。
まず、私たち世代は「脱毛」に対する意識を変えなければならないですよね。先日、講師を務めているNSCで聞いたところ、男子生徒の約半数が脱毛をしていました。まだしていなくても今後考えている人は8割くらいに感じましたね(あくまでも私調べ)。もう私たちの世代の意識とはまるで違うんです。
脱毛をしないと友だちより遅れてしまう、女性を意識した時に脱毛していないと後ろめたさを感じる…そういう思いを10代・20代は抱えているということを、理解してあげましょう。
その上でも、子どものために貯めてきたお金を、まさか脱毛に使われるなんて…と、ショックですよね。私もよく子どものための貯金の使い道を考えることがあります。では一体どういう使い方が正解なのでしょうか? 手に職つけるための資格? 将来のためになる経験? これはただの親の理想です。親が納得したいだけでそもそも正解なんてないのではないでしょうか。
我が家の高校1年生の娘は、おばあちゃんからのお年玉を休暇中のネイルとまつ毛エクステに使ってしまいました。親としてはつっこみたくもなりますが、娘はめちゃくちゃ喜んでて。おばあちゃんも「孫が喜んでるならええんちゃう?」 と。親が思う理想のお金の使い方なんて子どもはしないかもしれない。でも、それを悪いことと捉えるのではなく、子どもが自信を持つきっかけになったり、楽しい生活を送れるという部分に目を向けてみてはどうでしょう。
むしろ、子どもが自分のやりたいことのために自分でお金を使うというのは、独り立ちの一歩と、プラスに捉えても良いのかなと思います。
ただ、独り立ちの第一歩を踏み出したのなら、行動には責任を伴うということをいま一度自覚させる必要があります。だからこそ、勝手にローンを組んで親を頼るのは話が違う。改めてローンのリスクをきっちり教え、自分で返させた方が良いと思います。
18歳って、まだまだ未熟な部分もあります。ローンのリスクを知らないままだと、それこそ誰かの連帯保証人になってしまうこともあり得ると感じます。
子どもの成長をポジティブに受け入れつつ、自分が組んだローンは自分で返済させる。その経験を通して責任を取るとはどういうことか、教えてみてはいかがでしょうか?
「仕事を辞めたい」息子にどうより添う?
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野々村さん回答「子どもの人生には、口出しせずに見守ること」
子どもが何かやりたいと言う時よりも、辞めたいと言った時の方が親としては悩むんですよね。習い事にしろ学校にしろ部活にしろ、やりたいことはどんどんやらせてあげたいと思うけど、「辞めたい」は子どもがいくつになっても頭を抱えます。
相談者の方の職場に同世代の部下がいるということですが、まずは絶対に比べないこと。会社で上手くやれるかなんて人によるし、環境にもよります。息子さんの置かれている状況や苦しい心は本人にしかわからないのですから、全く違う環境でうまくいっている人と比べても意味はありません。その上で、相談者の方も言っているように、もう社会人なのだから本人に任せて、親は見守るしかないと感じます。
私の経験上、ある程度育った子どもに親がなにかアドバイスを言っても、子どもはあまり聞いていません。子どもには子どもの意思があって、親にも言えないことを抱えている可能性もあります。
人生ですから、紆余曲折あるはずです。私だって幼い頃から習い事は続かないし、バイトも3日で辞めたり仕事を転々としたりと、逃げてばかりの人生でした。でも、そういった道のりがあったからこそ、「これだ!」って思えることに出会った時、何としてでも頑張れるようになるのです。私の場合、それがお笑いだったんですけどね。本気を出したのは、コンビを解散した25歳くらいの時。何をやっても中途半端な自分は嫌だと思って変わったんです。
結局のところ、人は自分で変わるしかないんですよ。息子さんはもう親に相談することなく自分で全て決めて一人で生きてもおかしくない年齢の社会人です。一人の大人として見て、彼のことを一回信じてみるのはどうでしょう。どこにたどり着くかはわからないけど、「幸せになってね」という気持ちで。
この方の息子さんも、会社を辞めたら次の環境ですごく幸せになれるかもしれない。でも、それは自分で行動しないとわからない。子どもの選択を「良いんじゃない。何かあったら相談してね」という距離感で見守ってあげてはいかがでしょうか。
回答まとめ
・子どもは、親の願うお金の使い方や人生の選択をしないこともある
・ただし、ローンやお金に関するリスクは、親から教えて
・子どもが独り立ちの一歩を踏み出したら、口出しをせずに見守る
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