「管理職に向いてない」と感じたら。不安になった時の対処法
企業でキャリアアップを目指すと、管理職への昇格が視野に入ってきます。
「面談で管理職を打診されたけれど、自分に管理職は向いているのだろうか?」
「実際に管理職に昇格したけど、自分は向いていない気がする」
このように管理職への向き不向きに悩む方のために、この記事では管理職に向いていないと感じた場合の対応策を具体的に解説します。
目次
管理職に向いていないと感じる理由
まず「管理職に向いていない」と思う理由は、具体的にどういったものがあるか見ていきましょう。
チームをうまくまとめられない
部下のマネジメントは管理職の大きな仕事の一つです。部下への理解を深め、成長を促すためのコミュニケーション能力なども求められます。
そのため「部下の考えていることが分からない」「思うように動いてくれない」といった状況が続くとチームをうまくまとめられず、自信を喪失する原因になるでしょう。
プレイヤーとしての能力が低い
一人あたりの業務量が多すぎる場合も、残業時間は当然削減できません。業務量が多い原因は、仕事ができる人へ業務が集中していたり、処理能力と業務量が見合っていなかったり、そもそも社員数が不足していたりする場合があります。
社員一人ひとりにとって適切な業務量を把握し、必要があれば新規の採用などを検討しましょう。
すぐに落ち込んでしまう
気持ちの起伏が激しく、思い通りにいかないことがあるとすぐに落ち込んでしまうタイプの人も管理職に向いていないと感じるかもしれません。
そういった人は「自分は部下から信頼されていないのではないか」「頼りにならないのではないか」などと考え込んでしまい、自身の管理職適性に対して不安になってしまうのでしょう。
成果が出ない
プレイヤー時代は自身の役割を全うすれば良かったのですが、管理職になると部下の育成やチーム全体の成果に対しても責任を負わなければなりません。自身がプレイヤーの時は成果を出せても、マネジメントに回ると途端にチームで成果を出せなくなるということは多々あります。
成果を出せないと「自分はプレイヤーのままでいた方が良かったのではないか」と感じてしまう人も多いでしょう。
「管理職に向いてないかも」と思ったら
では「管理職に向いていない」と思ったらどうすればいいのでしょうか?具体的な対応策を順を追って紹介します。
向いていないと思った理由を分解する
まずは、自分がどうして管理職に向いていないと思ったのか、理由を分解してみましょう。前段で挙げた理由はもちろん、それ以外にも「向いていない」と思った瞬間があるはずです。
漠然とした不安に対し解決策を見出すのは難しいですが、不安となった理由が具体的に分かれば対処の方法は考えられます。どんな時に自分は管理職に向いていないと思ったのかを紙に書き出してみるのもいいでしょう。
中間管理職が抱えがちなストレスにもヒントがあるかもしれません。中間管理職の方は、こちらの記事もご参考ください。
中間管理職はストレスを抱えやすい?ストレス要因や対策を解説
自分に足りていない能力を考える
向いていないと感じる理由がわかったら、その理由を解決するために必要な能力を考えてみましょう。
例えば「チームをうまくまとめられない」と悩んでいる方は「コミュニケーション能力」が不足しているのでしょう。もっと分解すると「人を客観的に理解する力」や「ビジョンを打ち出す力」「プロジェクトの管理能力」「相手を前向きにする力」かもしれません。
「プレイヤーとしての能力が低い」「成果が出ない」と悩む方は、職種ごとの具体的なスキルが不足している場合と、管理職に必要な「進捗管理」や「判断力」などが不足している場合があります。
「すぐに落ち込んでしまう」という方は「セルフコントロール」が苦手な人かもしれません。
漠然と「管理職に向いていない」と思うのではなく、どの能力が不足していて仕事がうまくいかないかを、客観的に見ることが解決の第一歩です。
ここで「何が足りないのかうまく言葉にできない」という方は言語化能力が不足している可能性もあります。言語化能力についてはぜひこちらの記事もご覧ください。
「伝える力」を伸ばす。言語化能力の鍛え方やポイントを解説
そもそも管理職になりたいか考える
自分が不足している能力を並べた上で、「そもそも管理職になりたいのか」と、一度立ち止まって考えてみる必要もあります。
もしかしたら今ある能力を活かして、管理職ではなくスペシャリストとしてキャリアを歩みたいと感じることもあるでしょう。
そういった本心が見えた場合、一時的に管理職を降りることも選択肢としては考えられます。これは自分のキャリアにとって前向きな理由なので「管理職に向いていないから」とネガティブな意味合いで捉える必要は全くありません。
上司に相談する
「やはり管理職として活躍していきたい!」と思った方は、自分のことをよく知っている上司の意見も取り入れてみましょう。
上司は管理職としての先輩でもあります。つまり、「管理職に必要な能力」も把握しているのです。「管理職に必要な能力」と「いま自分にある能力」とのギャップも、上司の視点を取り入れることでより具体的に見えてくるはずです。
前段で挙げた「自分に足りていない能力」以外に補わなくてはならない能力が出てくる可能性もあります。
そして上司であれば、本当に必要な能力を補うための部署異動や仕事の采配も可能です。
初めから完璧にマネジメントができる人はいない
初めから完璧にマネジメントができる人はいません。また、あなたが不足していると思う能力全てを完璧に持ち合わせた管理職もなかなかいないでしょう。
今は立派で尊敬できる管理職の人でも、最初から何でもできたわけではなく、様々な失敗を乗り越えてきているはずです。不足を埋めるのも大切ですが、自分の得意な部分を管理職の仕事に生かす方向で考えるのも良いのではないでしょうか?
周囲から慕われる管理職になりたい、という方はぜひこちらの記事もご覧ください。
人望が厚い人の特徴とは?周囲から慕われるビジネスパーソンになるために
それでも管理職を辞めたいと思ったら
ここまで考えても「やっぱり管理職を辞めたい」と思う方は、思っている以上にストレスが溜まっているのかもしれません。
向いていないと感じることと、辞めたいと感じることは別です。辞めたいと感じるほどに追い詰められているのであれば、まず休むことが何より大切です。ストレスが溜まっている状態では、冷静に自分を分析することができず、考えることもネガティブになりがちです。
特に責任感の強い人ほど追い詰められる傾向があります。身体にも症状が出ているような場合は、できる限り早く上司や人事に相談するのが良いでしょう。
企業が取り組める管理職への施策
最後に企業が取り組める管理職への施策を紹介します。
マネジメント研修の実施
社員を管理職に昇格させる際には、マネジメント研修の実施がおすすめです。
プレイヤーとして必要な能力とマネージャーとして必要な能力は根本的に異なります。ただ勤務年数が上がったからといって自動的に管理職に昇格させれば、業務のギャップにストレスを感じる社員も増えるでしょう。
マネジメントとは何か、どのような能力が必要か、何に気をつければいいのかなどを事前に周知するだけでも心構えが変わるはずです。
リーダーシップ理論として有名な「PM理論」についての記事はこちら。
リーダーシップ向上のためのPM理論とは?わかりやすく解説
補助となる人員の配置
管理職に就任して間もない時期は、手探りでマネジメント業務を行っていくことになります。業務量も一気に増え、キャパオーバーになるケースも少なくないでしょう。
経験の浅いマネージャーに、マネジメントが難しい部下をつけるのは避け、経験がありフォロワーになってくれるような補助人員をチーム内に配置することを意識すると良いでしょう。
定期的な面談や産業医の配置
中間管理職はストレスがたまりがちなポジションです。ストレスにいち早く気づき、対処するためにも定期的な面談の実施や産業医の配置が望ましいでしょう。
配置換えなどの検討
それでも管理職のストレスが減らない、辞めたいという社員がいる場合、配置換えなどを具体的に検討しましょう。今の部署やメンバーが合わないだけで、他の部署に行けば活躍できるかもしれません。
管理職につく社員は優秀な人です。活躍できる環境を整えることは、組織にとってきっとプラスになります。
まとめ:自分のキャリアや能力を見直し、周囲に相談しよう
管理職に向いていないと感じた時は、そう感じた理由を特定し、自分のキャリアや能力を客観的に見直すことが重要です。
管理職に昇進したり、打診を受けたりするのは、一定の成果を出してきた人です。ステップが分かれば、今の不安もきっと乗り越えることができるでしょう。