前田有紀さんインタビュー② どんな人でも「自分らしく」働くためにすべきこと
元テレビ朝日アナウンサーで、現在フローリストとして活躍されている前田有紀さん。プライベートでは7歳と3歳の男の子の母でもあります。後編では、仕事と家庭の両立や、自分らしく働くための「自分時間」のとり方で意識していることを伺いました。
※前後編、前編です。前編はこちら
目次
前田有紀さん
フローリスト。株式会社SUDELEY(スードリー)代表取締役。1981年生まれ。2003年、新卒でテレビ朝日にアナウンサーとして入社。2013年、退社。その後、イギリス留学とフラワーショップでの勤務を経て、2018年に移動販売などを行うフラワーブランド『gui(グイ)』を立ち上げ。2021年に実店舗『NUR flower(ヌア フラワー)』を東京・神宮前にオープン。現在は店舗運営やイベント装飾、ワークショップ開催なども行なう。オンラインゼミ「好きを仕事に研究会」も主催。
働く女性の一番の味方は、自分自身。
- ―前田さんは、仕事で自信を失くすことはありますか?
- 前田:失敗することも多いですが、落ち込んでいる暇がないというのが正直なところです。下を向いていたとしても次の日は来るし、やらなきゃいけないことはやらなきゃいけない。だから前を向くしかない。そう思ううちに、どんどんたくましくなりました。
- ―働く上で必要なそのたくましさ、どうしたら身に付くのでしょうか?
- 前田:人と比べるのではなく、自分起点で物事を考える。そして自分の一番の味方は自分自身だと考えることですかね。失敗したとしても、頑張ってきた過程を自分自身が認めていれば、決して無駄ではないわけで。失敗を勉強だと捉えて、次の成長に繋げられたら良いのかなと思います。
子どもには、好きなことに夢中で働く親の姿を見せたい
- ―現在、2人のお子さんの子育て中ですが、仕事とプライベートはどのように両立していますか?
- 前田:フローリストの仕事は早朝の搬入や深夜の撤収もあるので、子どもと一緒に過ごせない時間が多いのは事実です。だからこそ、一緒にいる時は思いっきり子どもに向き合い、楽しむことを大切にしています。「子育ては大変」と言われることもありますが、楽しい部分がとてもたくさんあります。そんな楽しいことに目を向けて、日々仕事と家庭を両立しています。
- ―ご夫婦での協力体制もとりながら、というところでしょうか?
- 前田:そうですね。家事・育児は生きていくために必要なことなので、夫婦で半々で担っています。あとは、両立のためには完璧を目指さないことですね。
私の母世代の「お母さん」像は、いつも家にいて、習い事に送迎してくれて、食事も全部作ってくれて…というイメージです。今の自分は、そのイメージとはかけ離れた母親です。でも、子どもたちは私が夢中になって仕事と向き合っていることを理解しています。なので私が「明日市場の仕入れがあるから、朝はいないよ」と言っても「OK! いってらっしゃい!」と、私が不在なことを何もおかしいことだと思っていません。私は私らしいお母さんとして、子どもと接することができているのかなと感じています。
それに、子どもたちには、好きなことに夢中になって働いている大人の背中を見せてあげたいなと。そうすることで、好きなことを何か一つ見つける大切さを伝えていけたらと思っています。
忙しくても、自分軸で物事を考える時間を作って
- ―前田さんのように自分らしいキャリアを歩むために、働く女性にとって必要なことはどんなことだと思いますか?
- 前田:現代は、何も考えずにいるとつい自分を後回しにしてしまう社会だと感じています。仕事でも会社から指示された「やるべきこと」が優先されますし、家庭でも家族の都合を優先することがすごく多いです。そんな中でも、きちんと立ち止まって自分自身にとって何が心地よくて何が幸せかを考え続けることが大切です。「人に言われたからこうしよう」では、幸せな人生にはつながらないと思います。自分を見つめ、自分の軸で人生を生きることを意識すると、自分らしい働き方ができるのではないでしょうか。
- ―時には立ち止まる勇気も必要ですね。
- 前田:そうですね。私も、どれだけ仕事が好きでも、やっぱり忙しすぎると心と体のバランスを崩すことがあります。そういった時、海に行ってリフレッシュしたり、短時間でもカフェでお茶したり、小さな「自分時間」が意外と自分を助けてくれると実感しています。
会社員であれば有給休暇などをうまく使って、自分が自分でいられる時間を作ってほしいですね。会社員の権利をどんどん主張してください(笑)。
また、私は好きなことを仕事にするために転職しましたが、人によっては仕事とプライベートは完全に切り分けて、休みの2日間を好きなことにあてる、という働き方がフィットすることもあります。働き方のベストは人によって正解が異なるので、自分がどうしたいかをきちんと自己分析することが大切だと思います。
幸せなキャリアは「自分自身がどうありたいか」を知るところから
- ―今後のキャリアについて、どのようにお考えですか?
- 前田:お花の仕事に就いてちょうど10年が経ちました。やっと自分のお店を持つことができて、今年は市場の買参権(※)も取得できて、今の仕事が徐々に持続可能なかたちになってきていると実感しています。まずはこの10年間で培った基盤を大切にしながら、事業を継続していけたらと考えています。また、今後は小さな子どもがお花に触れる機会を増やしていく活動もしたいです。そして、お花の業界全体が持続可能なかたちで続いていけるような働きかけもしていきたいと思っています。
(※)市場で卸売業者からお花を買うことができる権利のこと。
- ―最後に、Be myselfの読者にメッセージをお願いします!
- 前田:何かを考える時、社会の目や年齢、肩書きを念頭に置きがちです。実際、社会を軸にして物事を考えることはラクな気もします。でも、幸せなキャリアを積んで生きていくためには、「自分自身がどうありたいか」を軸に考えることがとても大切です。一旦自分の胸に手を当てて、自分軸で物事を見つめ直す時間を持ってほしいなと思います。
→「前編記事」