Z世代を辞めさせない方法とは? 管理職がすべきマネジメント6選
チームに新入社員が配属される今の季節。イマドキの若手社員をどうマネジメントすべきか悩む管理職も多いはず。若手社員を「辞めさせない」ために管理職としてできることを、ミホさんとマユミさんが紹介します。
34歳独身。明るく人懐っこい笑顔で、愛され上手。一方で、ややがさつな面もあり、不用意な一言で周囲をヒヤリとさせることも。営業職から企画職に移り、そろそろマネジメントを任されそう。親からは早く結婚するよう急かされているのも、モヤモヤのタネ。
42歳既婚。いつも落ち着いていて、気配り上手な優しい先輩……というのは表の顔で、実は些細なことで悩みがちな小心者。寝る前はその日の自分の言動を振り返ってモヤモヤするのが定番。現在はミホさんの隣の課の課長。小学生男子の子育て中。
目次
管理職には「部下を辞めさせない」マネジメントが求められている
ミホさん
私が所属するチームにも新入社員が配属されました。いわゆるZ世代なのですが、どう指導していくべきか、悩んでいます。そもそもイマドキのZ世代ってどんな特徴があるんですかね?
マユミさん
Z世代って、1990年代半ばから2010年代序盤に生まれた世代のことを指すと言われているから、年齢も11歳〜28歳頃までと幅広いんだよ。
ミホさん
そうなると、一括りにしてはいけませんね。
マユミさん
そうだよね。これはZ世代というよりスマホでなんでも調べられる今の時代の特徴なんだけど、何をするにもきちんと情報を確認して動きたい人が多い傾向はあるかも。例えば、上司からの指示も意図を確認してから納得して動きたい、といったように。
ミホさん
気になった情報はすぐに調べるのが当たり前の時代ですもんね。ひと昔前のような「上司から言われた指示には絶対従う」という働き方よりも、「どういう意図があるのか」をまずは自分で理解したいというのはわかります。
マユミさん
あとは終身雇用という感覚が薄れてきているから、転職しながらキャリアを磨いていくという考えの人が増えているよね。
ミホさん
たしかに。わりと入社して早い段階で転職する社員も増えてきましたよね。
マユミさん
だからなのか、私も管理職として、上司から「部下を辞めさせないように」とは言われている。それに実際、部下が退職したらやっぱりへこむものだよ。
ミホさん
そうですよね。マユミさんがこれまで実践してきた「若手社員を辞めさせないマネジメント」、私にも伝授してください!
辞めさせないマネジメント① さまざまな仕事を経験させて、「得意」を伸ばす
マユミさん
まず私が心がけているのは、目線を合わせてフラットに接すること。「私がこの若手社員を育てる」という意識ではなく、「仕事に若手社員を育てさせよう」という意識が大切。
ミホさん
仕事に若手社員を育てさせる、とはどういうことでしょうか?
マユミさん
若手社員に対して「まずは初歩的な仕事から」と先輩社員のサポート作業ばかりを与えるのではなく、得意そうな仕事をどんどん与えて、得意なことを伸ばしていくの。
ミホさん
だとすると管理職は、若手社員は何が得意でどんな仕事が向いているかを理解していないといけませんよね。
マユミさん
それが難しいところでもあるんだけどね。でも、何が向いているかは挑戦してみないとわからないから。とりあえず1回仕事を与えてみて、マッチしていなかったらどんどん仕事を変えてあげるくらいの感覚が必要かな。
ミホさん
たしかに、内向的だと思っていたら意外と社交的だったり、豪快なタイプだと思ったら意外と細やかな気配りができたり、仕事を通してしかわからない得意なことってありますよね。
マユミさん
仕事を与えることでそのメンバーの強みがわかる。そして苦手なことを克服させるよりも、その強みを伸ばす方が本人の成長につながるんだよ。経験上、強みが伸びると本人に自信が生まれて、苦手な部分も埋まってくるんだよね。
ミホさん
そうやって自信が生まれると、モチベーションに繋がって楽しく仕事を続けられそうです。
辞めさせないマネジメント② 仕事の本質を見せる
マユミさん
モチベーションアップという意味では、どんな細かい仕事でも、今取り組んでいる仕事の本質を示すことも大切。そして、仕事の本質とその社員の入社時の志望動機や企業理念とをリンクさせてあげる。
ミホさん
自分の仕事に「意味がある」と思えたら、前向きに取り組めますもんね。
マユミさん
そうだよね。転職ではよく「自分に合う仕事を探そう」と言われるけど、私は「仕事を通じて自分を探す」感覚の方が大切だと思うんだよね。
ミホさん
今取り組んでいる仕事も自分探しのうちと思えば、簡単に会社を辞めようという感覚にはならない気はします。
辞めさせないマネジメント③ 1on1の時間を確保する
マユミさん
そしてチームの風通しを良くするために、1on1で管理職と若手社員の対話の時間を確保することも大切かな。管理職も人間だから、チーム内でどうしてもコミュニケーションに偏りが生まれるし、大なり小なり世代間ギャップはある。だからどの部下とも均等に話しをする時間を確保することで、価値観を理解することもできると思うんだ。
ミホさん
たしかに。上司とはコミュニケーションをとる回数が多いほど信頼関係が育まれます。
マユミさん
そうなの。ただし、1on1はただの進捗報告になってはいけない。あまりテーマを絞らず、仕事の話を基本に「最近どう?」くらいの広いクエスチョンから入るといいかな。
ミホさん
あくまで部下の話を聞く場ということですよね。
マユミさん
そうだね。だから1on1では、できるだけ管理職は喋らない。沈黙の時間が生まれても遮らない。部下より前を歩かないイメージで、部下に一通り喋ってもらう。
ミホさん
忍耐力が必要そうですね…。ついアドバイスしたくなる場面もありそうです。
マユミさん
そうだよね。でも、アドバイスはどうしても上から目線になってしまうから、フラットに接することから遠ざかってしまう。
ミホさん
だとすると、管理職は部下の話にどんな反応をすればいいのでしょうか?
マユミさん
私の場合は、あくまで自分の感情を伝えるようにしているよ。良いことには「すごいね!」「私も嬉しい!」「あなたのおかげで本当に助かった!」とかね。
ミホさん
なるほど。自分の感情だったら嘘はないですし、まさにフラットな目線になりますね。そうやって上司から本音で褒められると、認めてもらえていると思えて、やる気にも繋がります。
辞めさせないマネジメント④ 管理職は「暇そう」に見せる
マユミさん
そうそう、あと風通しの良い職場づくりのために、管理職が周囲とちょっとした無駄話を積極的にすることも実は有効なんだよ。「いま暇ですよ」という印象を与えることで、若手社員から管理職へも話しかけやすくなるでしょ?
ミホさん
たしかに。若手社員からしたら、ただでさえ管理職に対して距離を感じますもんね。それでいていつも忙しそうだったら、さらにコミュニケーションにハードルを感じてしまいます。
マユミさん
「気軽に話しかけても大丈夫なんだ」と思ってもらうことで、ちょっとした報告や相談もしやすくなる。そうするとチームの雰囲気も良くなると思うんだよね。
辞めさせないマネジメント⑤ 新入社員の指導はチーム全員で
ミホさん
なるほど。でも管理職と良い関係値が築けても、喋りかけづらい先輩がいると、若手社員は委縮してしまいますよね。これは解消できるのでしょうか?
マユミさん
若手社員の指導をチームの全員で役割分担することがオススメだよ。この資料作成はAさん、この営業活動はBさん、この事務処理はCさんといったように、管理職は項目別に最終責任者を決めるの。
ミホさん
たしかに、それなら若手社員は先輩社員全員とコミュニケーションを取らざるを得ない状況になりますね。
マユミさん
そうそう。それに、役割を与えられた先輩社員側も育つんだよね。責任感が生まれるし、「若手社員にカッコ悪いところを見せられない」とみんな頑張って準備もしてくれる。ミニ管理職が生まれて、先輩社員側のモチベーションアップにもつながるんだよ。
ミホさん
チーム全体の意識が上がってとても良い取り組みですね!
辞めさせないマネジメント⑥ 社外ネットワークづくりを推奨する
マユミさん
あとは、社内だけでなくて社外の横の関係性づくりを推奨するのも良いと思う。例えば、セミナーや研修には積極的に顔を出した方がいいよと伝えるとか。視野が広がると、自分の状況を俯瞰することができて、突発的に「辞めよう」という感情にはなりにくいと思う。
ミホさん
わかります。仕事に行き詰った時こそ、第三者の視点を取り入れると、道が開けることもありますよね。
マユミさん
だから、本を読んだり読書会に参加するのを促すこともオススメ。仕事に結びつくこともあるし。ネットワークはあるに越したことがないということを、管理職は若手社員にも伝えていくべきだと思うな。
POINT
①モチベーションアップのために、若手社員にはたくさんの仕事を経験させる
②管理職は業務中「暇そう」な雰囲気で過ごし、定期的に部下と1on1を行なう。
③若手社員の育成は、チームの全員で取り組む
監修者:竹野潤
1on1ミーティングプロフェッショナルコーチ。日本産業カウンセラー協会認定産業カウンセラー。三井住友海上火災保険株式会社三重支店部長。マネジャーとして業績全国1位などを維持しながら、指導した部下は8年間で1人も辞めていない。『離職率ゼロ!部下が辞めない1on1ミーティング!』(自由国民社)著者。