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リーダーズ座談会

“出世したくない部下”の扱いってどうしてる? 成果を出すために管理職ができること

社内では相談しづらい悩みや本音を語る、女性管理職のオンライン匿名座談会。今回のテーマは、「出世したくない部下の扱い方」について。イマドキ社員と自分が若手だったころの“出世欲”に違いはあるの? 出世したくない部下のモチベーション管理は? など、実体験を語ります。



【参加者】
Aさん(30歳):IT業。アプリケーション運用部署の部長。部下は6名。

Bさん(35歳):観光業。8名の部下を抱えるマネージャー。

Cさん(42歳):金融業。7人の部下を抱えるマネージャー。育児時短勤務中。

「出世に興味がない」部下は意外と多い!?

ーー皆さん、自分の部下が「出世したいかどうか」、つまりは部下の“出世欲”に関して把握していますか?
Bさん:おおよそ把握していると思います。毎年行う目標設定では「どのようにキャリア形成をしていきたいか」も会話するので、おのずと出世したいかどうかは分かります。

Aさん:私も把握できていると思います。定期的な面談の時にはそういった話になりますよね。

Cさん:会社の意向で1on1の機会も増えたので、部下の現状の悩みや近い将来どうなっていたいかは把握しやすくなったかと感じます。で、出世に興味がない部下が8割です(笑)。

Bさん:たしかに、特段出世にこだわっていない部下も多いですよね。それよりもワークライフバランスを優先したい! という雰囲気はあります。

Cさん:長時間労働や仕事に一生懸命になることは「ブラックだ」といった風潮もありますもんね。労働そのものにマイナスイメージを持つ若手も多いのかなと感じてしまいます。

Aさん:本当ですか。社風なのか、うちの会社は「出世したいです!」という部下が半数以上です。私自身は、管理職になる前は「とりあえず管理職に挑戦してみようかな」程度の感覚で、具体的な出世のイメージを持っていなかったので。逆にガッツがあって良いなあと感心するレベルですよ(笑)。

Cさん:あ、たしかに私自身にもあまり出世欲はなかったですね。なんなら今もこれ以上出世しなくていいかなと思うので、出世欲がない部下には共感することが多いです…。

Bさん:なるほど。私の場合は、年次的になんとなく管理職になったのですが、いま現在は、思っていたより管理職の仕事は面白いと感じています。「今の領域でよりキャリアを積めたら」と、管理職になってから出世欲がでてきました

Cさん:素晴らしいです。私自身がこれ以上出世したくないと思うのは、現状管理職とは言うもののどうしてもプレイングマネージャーになりがちでとにかく忙しいからです。しかも育児との両立もあり、これ以上は余裕が無い! というのが本音です。でも、そんな本音を部下に気付かれたらそれこそ部下の出世欲がますます削がれるので、気を付けてはいます。

Aさん:「管理職って楽しいよ!」という姿を部下に見せることで、部下の出世欲も刺激されそうですよね。

出世以外のキャリアを提示し、モチベーションを保ってもらう

ーーでは、出世欲がない部下のマネジメントで気を付けていることは?
Bさん:たとえ出世欲はなくとも仕事上の成果を出してもらわないと困りますからね。できるだけ本人にとって低コストで最大の結果を出せるようなキャリアの提案・支援を行ってます。
私の会社は、ある程度の年次でマネージャー職に進むかスペシャリスト職に進むかを選択できるんです。出世欲のない部下がいても個人が目指したい道を後押しするようなマネジメントを心がけています。

Aさん:出世欲がない部下には色んなキャリアの提示も必要ですよね。ただ、こちらがあれこれと提案しても本人が当事者意識を持たないと意味がないので、コミュニケーションに大きなコストがかかることも悩み…。

Cさん:私の場合、「報酬を上げてほしい」というスタッフが多いので、「報酬を上げるためには成果を出さないといけない」といま一度伝え、手を抜いていると感じられることはきちんと指摘するようにしています。

Aさん:そう、「出世欲がない」というのは仕事の手を抜く免罪符ではないですからね! だからこそ、一人一人の働き方を把握して、何ができないのか、何がしたいのか、何に不安や不満があるのかなど、定期的なヒアリングは必要かなと。

Bさん:それがわかっていれば、組織のゴールのために活躍できる場を他に探したり、支援の形を変えて少しでもできることをやってもらえたりしますよね。

管理職になれば、 ワークライフバランスも充実する!

Cさん:先ほど「これ以上出世はしたくない」とは言いましたが、管理職になって良かったことも多いと思っていて。例えば、管理職になる前は、管理職って「とても偉い人」のイメージがありましたが、自分含め、どんな職業の人もいい意味で「ただの人」だなあと。肩書きによる色眼鏡が少し外れて、気づき・学びが多くなったと感じます。

Bさん:指わかります! 管理職って実際やってみると全然普通の人(笑)。どんなに上の人も元々は初心者で普通の人だったと思うと、新しいことに挑戦したり上の人に話しかけることのハードルが下がった気がします。

Aさん:そういう視点が持てたことは、仕事だけではなく人生を豊かにしますよね。管理職になることはまさにワークライフバランスの充実にもつながるんじゃないかと…。

Bさん:たしかに。それに、管理職になってチームとしての成果に責任を持ち、多様な人と関わると、一人で仕事をしている時よりも成長スピードが上がりますよね。仕事の裁量も広がって、やりたいことにも挑戦しやすくなる。

Cさん:管理職は、良い意味で自分の部署を「思い通り」にできますよね。もちろん責任は伴うけれど、会社以外の場所でのふるまいや転職をした場合にも活かすことができる。自分の人生の可能性を広げるためにも、管理職経験は絶対にプラスだと感じます。



女性管理職もまだ少ない中で、部下が出世に対する不安を抱えるのは仕方がないことなのかもしれません。しかし、出世欲と成長欲はまた別の話。出世欲に関わらず、個人が組織の中で輝けるようなマネジメントを3人とも心がけていました。また、管理職になることが結果的にワークライフバランスの充実にもつながるという話は印象的。そんな管理職の姿がロールモデルとなり、次世代の管理職も増えていきそうです。

 

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