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仕事に効く話

中園ミホさんインタビュー② 働く女性が「機嫌よく過ごす」ためにできること

『やまとなでしこ』『ハケンの品格』『Doctor-X 外科医・大門美知子』『花子とアン』など、大ヒットドラマの脚本を手掛けてきた脚本家・中園ミホさん。女性の生き方と本音を描いてきた中園さんは、占い師としての顔も持っています。運を引き寄せるための簡単な習慣をまとめた、近著『運をつかんで幸せになる強運習慣100』(エクスナレッジ)も大ヒット中です。

そんな中園さんが30代、40代の頃はどんな女性だったのか? 振り返っていただきながら、頑張りすぎて自信を失くしてしまった働く女性たちへエールをいただきました。

※前後編、後編です。前編はこちら

 

 

<プロフィール>

中園ミホ(なかぞのみほ)

脚本家。日本大学芸術学部卒業後、広告代理店勤務、コピーライター、占い師の職業を経て、1988年に脚本家デビュー。07年『ハケンの品格』が放送文化基金賞と橋田賞を、13年『はつ恋』『Doctor-X 外科医・大門未知子』で向田邦子賞と橋田賞を受賞。大河ドラマ『西郷どん』、連続テレビ小説『花子とアン』など、執筆作多数。また現在も四柱推命の占い師としての活動を継続中

働く女性が大変な思いをしている現代、少しでも楽しいことを考えてもらいたい

―数多くの働く女性を描いてきた中園さんですが、現代の働く女性の姿についてどう感じていますか?
中園:脚本の取材を通して、働く女性とお話しをすると、みんな大変そうだなと感じます。

私たちが30代、40代の頃って、まだ夢見がちなところがあったんです。日本にもまだバブルの名残があったので、どんなキャリアを歩む女性でも「いつか王子様が現れて自分をどこか違う世界へ連れてってくれるんじゃないか」みたいなフワフワした感覚を持ってました。

でも、『ハケンの品格』(2007年、日本テレビ系列)の取材で働く女性に話を聞いた時に、愕然としたんです。皆さん「自分の身は自分で守らなければいけない」と感じていて。例えば、最初のお給料で「保険に加入しました」という人が多かったのも印象的。私の世代では、初任給では「ずっと欲しかったブランドバッグを買う」「親にブランドのスカーフをプレゼントする」などが定番だったので、その差にかなりショックを受けましたね。

現代の女性にとって「働く」ということは、自分の可能性を磨くためのものというより、生きていくためのものになってます。明日、来月、来年に不安を感じているのだということは、当時より今の方が強く感じるようになりました。

でも、心配ばかりしていても、辛くなっちゃうじゃないですか。少しは楽しいことを毎日考えてほしいなと思っています。だからこそ「明日も頑張るぞ」「会社でいっぱい嫌なことあるけど、明日も会社に行くぞ」という明るい気持ちになれるドラマをずっと書いてきたつもりです。
―働く女性のそういった「大変さ」「必死さ」のようなものは徐々に強くなっているのでしょうか?
中園:そうですね。今は「人生詰んだ」という言葉もあるように、追い詰められがちなのかなと思います。ただでさえみんな頑張っているところでの新型コロナの流行は、不安感にさらに拍車をかけたとも感じます。ネットからは常にネガティブな意見が目に入るから、追いつめられる気持ちになるのもわかりますが。

―その不安感と、どのように付き合っていけば良いのでしょうか?
中園:不安になって過ごすのも、ちょっとほんわか夢見て過ごすのも、結果はあまり変わらないと思うんです。であれば、もうちょっと楽しいこと考えて過ごした方がいいのでは? とは思っています。

私の世代の働きながら子育てしている女性は、もうちょっと根拠のない自信みたいなのをみんな持っていました(笑)。「いつか起業したい」「いつか家を建てたい」といった「頑張ればいいことあるさ」という、いい意味での能天気さがあった気がします。

厳しい世の中なら、せめて自分が機嫌よくいられる方法を知っておいてほしいなと思います。自分が機嫌よくいられれば、多少のことは大丈夫。この年になると食べて寝ていれば大概のことはなんとかなると思うんですよ(笑)。30代、40代の方にもそれくらい明るい気持ちで毎日すごしてほしいなと思いますね。

起きたら窓を開ける、外に出て歩く…機嫌がよくいられる習慣を見つけて

―「機嫌よくいられる方法」について、具体的に教えていただけますか?
中園:新刊の『運を掴んで幸せになる強運習慣100』にも書いたのですが、本当に簡単なことなんです。例えば、「朝起きて窓を開ける」というのは誰がやっても気持ちがいいことですよね。

あとは、歩くのもいいです。リモートワークに疲れたら、ぜひ散歩をしてください。ついでに近所の氏神様にお参りしましょう。私は嫌なことがあったら、「目の前のことを一生懸命頑張りますから、ご加護ください」などのように祈ります。そうすると、不思議と守ってくださる気がするんです。そして願いが叶ったりいいことがあったりしたらお礼に行きます。住んでいる土地と仲良くなると、気持ちがいいですよ。

―中園さんは占いでキャリアを切り開いてきたとおっしゃっていますが、「占い」の上手な使い方も教えていただけますか?
中園:若い頃に占い師をしていた時には、政財界の大物と言われる人もいらしていたのですが、その方たちはみんな「占い」を自分の味方にしていました。だからまず、脅かすような占いは全て信じなくてもいいと思います。世の中厳しいんだから、厳しい占いまで信じなくていいんですよ。逆に占いでいいことを言われたら、その言葉で自分の背中を押して、自分で占いを当てに行く感じで生きていれば、運をどんどん引き寄せられます。占い師の言葉も自分で精査して、「この占い師の言葉を聞いていると、元気になる」という人の言葉は受け入れて、「この占い師の言葉は足を引っ張られる」と感じたら遠ざけてほしいですね。

もちろん、運気は波があるので、悪い時期は誰にだってあります。そういう時は、「悪いことが起こるかもしれないけれど、それは厄落とし。今までやったことのない勉強をして、自分に力を蓄えておく時期」と考えてください。

ちなみに、私は脚本家の仕事で最もハードだと言われているNHK朝の連続テレビ小説の仕事の依頼を占いでは「低迷期」の時に受けています。前回の『花子とアン』(2014年)もですし、2025年春に放送が開始される『あんぱん』も。運の低迷期に逃げずに取り組んだことで、その後豊かに過ごせるんですよ。

プレッシャーを感じたら、神頼みで乗り切ります

―大河ドラマや朝ドラなど、大きなプロジェクトを数々経験されていますが、プレッシャーの乗り越え方は?
中園:私の場合、神頼みです。私の占いの先生が「いつか日本中の人に向けて何かを作る時は伊勢神宮にいくのよ」と教えてくださっていて。朝ドラが決まった時はすぐに伊勢神宮にお参りに行きました。自己紹介して、お礼して、「一生懸命がんばりますから、日本中の皆さんが元気になるようなドラマを健康で書かせてください」って。そうすると「私には天照大御神様がついているから大丈夫」と思えるんですよね。

―時には神様にも頼りながら、自信をもってキャリアを歩む女性でいたいです。最後に、『Be myself』読者にメッセージをお願いします!
中園:まだまだ日本って男社会だと思います。できる女性が叩かれる場面も見てきました。でも、「人が応援してくれる気持ち」って、必ずすごいパワーになります。管理職のように人の上に立つ立場になったのなら、部下たちが応援したくなるようなリーダーになってほしいですね。上にどんな嫌なものがあろうと、力の弱い人たちの思いが必ずあなたを押し上げてくれるから。逆に上の嫌な人たちは放っておけば滅んでいく。力のない人たちを大事にしてほしいと思います。

※前編後編です。前編はこちら

<書籍情報>
『運をつかんで幸せになる 強運習慣100』(エクスナレッジ)

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