男性育休経験者が語る! 管理職だからこそ育休を取る理由のイメージ画像

リーダーズ座談会

男性育休経験者が語る! 管理職だからこそ育休を取る理由

今回は特別編として、育休を取得した男性管理職のオンライン匿名座談会を実施。仕事の調整は? 育休期間中の生活は? 復帰後どうだった?  などなど、気になる不安を男性目線で本音で語ってもらいます!

 



【参加者】
Aさん(30歳):6名の部下を抱えるリーダー職。現在お子さんは3歳。産前2週間から半年間の育休を取得。

Bさん(32歳):ユニットリーダー職。約2ヵ月間の育休を取得。現在お子さんは7か月。

Cさん(35歳):9名の部下を抱えるリーダー職。約1ヵ月半の育休を取得。現在お子さんは3ヵ月。

育休中はメールチェックも電話も禁止! 完全に仕事から離れる準備を

ーー徐々に増えている男性育休ですが、取得に踏み切った理由について教えてください。
Aさん:里帰り出産をしないと決めていたことが一番の理由です。パートナーと話し合い、“一緒に”子育てをしたいという想いから取得しました。また、一旦仕事から離れて自分を見つめ直す期間を作りたいという僕自身の気持ちもありましたね。

Bさん:私も夫婦ともに実家が遠方なので、Aさんと同じく同じく里帰り出産をしなかったことが決め手ですね。また、同じ部署にも育休取得経験がある男性の先輩社員がいて「取得するべきだよ」と言ってもらえたことで、背中を押されました。

Cさん:沐浴体験や産後の話を聞くイベントに影響を受けたことが大きかったかもしれないです。妻の妊娠が分かった時には2週間くらい休めたらいいなと考えていたのですが、実際に母体の状態や沐浴対応の大変さを知っていく中で、最低でも1ヵ月は休まないと意味が無いと気づいたので。会社に相談したところ、承諾してもらえました。

Aさん:会社や取引先も、男性が育休を取ることに好意的ですよね。私の場合、半年間という比較的長期間の取得だったのですが、快く送り出してもらえました。
ーー仕事の調整はどう工夫しましたか?
Aさん:一般的な引継ぎはもちろん、育休中は一切仕事をしなくて良いように連絡も取れない旨を明言していたし、「育休中、完全に担当から離れます」と頭を下げて回った記憶があります。

Bさん:たしかに。「メールはチェックしています」「緊急時は連絡ください」と言ってしまうと、結局仕事から離れられないですもんね。私も強制的にPCとスマホが会社に返却されて見られない状況でした。ただ2ヵ月間で急展開するような案件もあまりないので、メイン案件に絞ってしっかりと引継ぎを行いました。

Cさん:僕の場合は、チームメンバーがやや多かったこともあり、3ヵ月ほどかけて徐々に業務を割り振って、休暇前には一人で対応する業務をなくしましたね。また上長に相談し、メンバーの中から副責任者を立ててもらい、2ヵ月間の管理職業務を任せました。

Bさん:なるほど。メンバーの成長や次期管理職育成にもつながりそうですね。

思い付きではなく、「なぜ育休を取得するか」夫婦で明確に

ーー育休期間中の1日の生活について教えてください。
Aさん:基本的な家事は自分がメインで担当していました。最初の1ヵ月は食材の買い出しから朝昼晩のご飯作りも行い、妻には授乳をはじめとした子どもの世話に専念してもらうように。子どもの成長とともに徐々に分担し始めましたが、半年間、ずっと食事を作っているか、家事をしているか。飲み会に行ったり趣味の時間をとったりもしなかったですね。ちなみに、妻の授乳が終わるまでは大好きだったお酒も一緒に禁酒していました(笑)。

Bさん:私もほとんど同じですね。午前中は掃除、洗濯、買い物、料理、昼寝の寝かしつけ。午後はお風呂に入れて、夜一緒に寝て、という生活でした。元々妻の産前から家事は分担していたので、そこに料理が追加された感じですね。

Cさん:私も同じく、家事をメインで担当していました。日常との違いは料理が追加されたことと、ミルクと母乳の混合で授乳をしていたので、夜間のミルクづくりや哺乳瓶洗いをしていたことですかね。

Aさん:私は正直、妻の産前はきちんと家事分担をできていなくて「気付いた方がやろう」というスタンスで。妻の出産を機に、どう分担するかの話し合いをしました。

Cさん:たしかに、妻の出産を機に家事への意識は変わりますよね。私は元々家事は好きだったのですが、立ち会い出産をして出産がいかに命がけかを見たので、とにかく妻に体を休めてほしくて。むしろ家事はやらないでくれというスタンスでしたね。

Bさん:たしかに、実際に出産や育児の大変さを知っているか知らないかで、育休中の意欲にも変化があるかもしれないです。私の場合、大学生の時に姉が里帰りで子どもを産んだのを見ていたので、産後の大変さを若いうちから見ていました。里帰りしてもこんなに大変なのだから、里帰りしないなら、男性側が育休を取らないとやっていけないなと思っていました。

Aさん:そうですよね。ここだけの話、SNSやネット記事でも「家事をしない夫」が炎上することがありますよね。そういったのを見て「こうはなりたくないな」とは思っていました。そこから夫婦で「じゃあどんな夫婦になりたいんだっけ」という認識を擦り合わせて、今があります。

Cさん思い付きで育休を取るのではなく、なぜ取るのかを自分でも理由を明確にした上で、取得前に夫婦でどう分担するかまで話し合うことも大事ですね。

育児の不安や孤独も、2人でいるから乗り越えられた

Bさん:そして実際に育児休暇を取得すると、いかに育児が大変かさらに身に染みますよね。育児以外のことに時間を使うことがほとんどできなかった!

Cさん:本当にその通りですし、授乳・寝かしつけ・おむつ替え、家事をしているだけで1日があっという間に終わります。

Aさん:育休中は、コロナ禍でベビーカーで外を出歩くこともままならず、来客もなかったのでストレス解消が大変な部分もあったかもしれないです。子どもの体重がなかなか増えなかった時に相談できる身近な人がいなくて、夫婦でノイローゼ気味になっていました。

Bさん:私の子どもも早産だったこともあり、生育状況はずっと不安でした。特にネットには大体ネガティブな情報があふれていますもんね。

Cさん:孤独感や悩みも夫婦だからこそなんとか乗り越えられますよね。一人では抱えきれなかったかもしれません。

男性育休を取ることで、チームとしてのプラスも

ーーでは、育休を取得して良かったと思うことを教えてください。
Aさん:たくさんありましたが、1番は妻との信頼関係が強くなったこと。常に話し合い、共感しながら子育てができたので。そして、生まれてから大きくなるまで子どもの成長を間近で見ることができたのは、大きな財産です。

Bさん:赤ちゃんの頃って、1ヵ月で顔つきが変わりますもんね!ちょっとした成長を、写真ではなく妻とリアルタイムで見られたことは宝物です。

Cさん新生児期の嬉しいことも大変なことも一緒に経験してきたからこそ、この後の育児の壁も一緒に乗り越えられるのではないかと思います。そして、自分が育休を取得したからこそ、部下も育休申請してくれたり、女性の部下からも育児と仕事の両立の相談を受けることも増えたり、チームとしてもプラスだったかなと思います。

Aさん:たしかに、社内で男性から育休について相談されることは増えましたよね。自分もそうでしたが、男性っていざ育休を取りたいと思っても相談先がなかったり、気軽に経験者の意見を聞けなかったりもするので。

Bさん:私もいまちょうど周りが出産ラッシュなので、「育休どうだった?」「産後何が大変だった?」など、相談はよく受けますね。社内で男女問わずそういった不安を共有できるようになると、もっともっと男性の育休も取りやすくなるかもしれませんよね。

Aさん:あと、男性育休の不安として、収入が減るのではないかという不安もあるかもしれません。でも実際のところ、社会保険料が免除されたりと、手取りで考えると大きなダメージはなかったので、そこは安心してほしいですね。

Cさん:育休を通して働き方も明らかに変わりましたよね。できるだけ残業をしないよう日中の業務に集中することと、定時を超えたタイミングで明日に回しても問題ないか判断し、残業する時間を減らすようにしています。「明日でも良い」と思える仕事は潔く明日に回しています。

Bさん仕事と家庭のどちらも大事だからこそ、仕事にばかり集中しないようコントロールするクセがつきましたよね。これを言ったら元も子もないですが、仕事には自分の代わりがいるかもしれないけど、家庭に自分の代わりはいませんから。

Aさん:そうですよね。僕も時間の使い方が変わりましたし、3歳になったとは言え、まだまだ育児は大変。育休を経験したからこそ2人で家事・育児をするという大前提ができあがっているので、お互い日頃から感謝を伝え合う習慣がついている気がします。

Bさん:いま、夫婦ともにフルタイム勤務とのことですが、普段どのように分担していますか? 今後の参考までに……。

Aさん:スケジュールはアプリで共有して、お迎えにどちらが行けるかを週の始めに話し合っています。そして夕飯に関してはミールキットに頼ったり、外注できるところは外注したりして仕事にもお互い集中できる環境を整えています。

男性の育休取得率上昇のためには、組織の余裕が大前提

Bさん:やっぱり育児をする上で時間の余裕って何より大切ですよね。育児に参加したくても、職場の環境が整っていなくて難しいという話も男性側からよく聞きます。

Cさん:育休取得のためには、組織がぎりぎりの人数ではないことは大前提かもしれないですね。そのために管理職としてはメンバーの日々の育成によってメンバー自身やチームのキャパシティを広げることも大切かもしれません。

Aさん:そうですね。男性の育休取得はあくまで「手段」ではありますが、家族で過ごす貴重な時間となることは間違いないですから、ぜひ管理職でも取ってほしい。半年間育休取得をし、パートナー・子ども、そして自分自身、働き方と向き合う良い期間となりました。

Cさん:“育児”という言葉に囚われると男性に求められている役割を見失う気もするので、“家族休暇”として家庭のことを全般やるつもりで休暇を取得すると良いかなと思います。母乳育児の場合には、最初の1か月間で男性が子どもに対してできることは1割ないくらいでしたので。家事が苦手な場合は、事前にできるようになっておくことをオススメします。

Bさん:一生に一度しかない新生児期に、長く一緒に時間を過ごすことはどんな仕事でもできない経験です。人生100年時代と言われている中で、数か月くらい100%家族の時間に充てても良いはずです。実際私は、育休を取得したことで仕事に対しての考え方・働き方もプラスに働いているので、ぜひ男性管理職の方にもどんどん取得してほしいですね!

妻にとって一番大変な時期である産後を一緒に乗り越えたか乗り越えないかで、その後の夫婦としての信頼関係も変わるはず。徐々に増えつつある男性の育休取得。女性も男性も当たり前に取得できる未来まであと少しかもしれません。

  • line
  • リンクトイン

RANKINGランキング

  • 週間
  • 月間