部下の育成やチームづくりの悩みに効く本
このコーナーでは、本の要約サービス『flier』のフライヤー編集部が、リーダーやリーダーをめざす方々が抱えがちなお悩みの解決や学び直しに効く“本”の処方箋を紹介していきます。テーマは、メンバーとのコミュニケーション、部下の育成、リーダーシップ発揮、チーム力アップなど。あなたの「ブックメンター」が見つかりますように。
第2回のテーマは、「部下の育成やチームづくりの悩みに効く本」。メンバーの価値観や働き方が多様化するなか、部下の育成やチームづくりに関する悩みは尽きません。メンバー一人ひとりが力を発揮できるチームになるためのヒントがつまった本を紹介します!
目次
これからのチームは「ヒエラルキー型」から「フラット型」へ
「チームの目標がなかなか達成できず焦っている」「メンバーのモチベーションに温度差がある」。こうした課題を持つリーダーの指針になってくれるのが、『「僕たちのチーム」のつくりかた』です。
著者は、『1分で話せ』などのベストセラーを生み出してきた伊藤羊一さん。伊藤さんは、これからのチームの形は「ヒエラルキー型」から「フラット型」へと変化していると語ります。フラットなチームにおけるリーダーの役割は、メンバー一人ひとりが成果を出せるようにサポートすること。それぞれの才能と情熱を解き放てば、チームの力を最大化できるというのです。
本書では、その具体的な方法が惜しみなく紹介されています。特に印象的なのは、1on1を、メンバーの「もやもや」を解消する場にしよう、というメッセージです。そこから、メンバーの気づきを促すためのプロセスは必読です。一人ひとりが成長するだけでなく、チームとしての学びが蓄積されていく。そんな理想のチームに向けて、一歩を踏み出してみませんか?
「メンバーの成長を促すリーダー」をめざすならこの一冊
どうしたらメンバーが自ら動いてくれるだろうか? こうした問いに対し、「成人発達理論」に基づいた本質的な気づきと指針を与えてくれるのが、『なぜ部下とうまくいかないのか 「自他変革」の発達心理学』です。
成人発達理論とは、「知性や意識は生涯を通じて発達する」という考えのもと、人の成長・発達プロセスやそのメカニズムを解き明かそうとする学問のことです。「なんだか難しそう」と思うかもしれませんが、この本は対話形式になっていて、とってもわかりやすいのでご安心ください。部下との関係に悩む課長が、ある人財コンサルタントとの対話を通じて、部下の育成と組織マネジメントに対する自信を見出していくというストーリーです。課長の変化を追体験するなかで、「上司には従順だが自分の意見を言わない部下」「自律性が強すぎて他の人の意見を無視する部下」などとの関わり方も見えてきます。さらには、リーダー自身も視野が広がり、物事の深みや機微を認識できるようになるはずです。
成長という終わりなき航海をリードしてくれる羅針盤として、悩めるマネジャーやリーダーにおすすめしたい一冊です。
『なぜ部下とうまくいかないのか 「自他変革」の発達心理学』要約リンク(flier)
メンバーの「しなくちゃ……」が「したい!」に変わる方法
「なんとなく、自分の会社に閉塞感を感じている」「ミーティングで本音を言い合うのが難しい」。こんな悩みをもつリーダーやマネジャーの心に寄り添ってくれる一冊が、『だから僕たちは、組織を変えていける』です。
著者は、経営者として活躍し、「幸せ視点」の経営を学べるオンラインスクールを運営している斉藤徹さんです。「自走する組織・チーム」をつくるための科学的なメソッドを、豊富な図解とともに体系的に解説してくれています。成功循環モデル、心理的安全性、ホールネス、パーパス。こうした組織論やリーダーシップ論のキーワードが線でつながっていく読書体験にワクワク感を抱く方も多いのではないでしょうか。
誰であっても、たった一人からでも組織を変えられる――。そう教えてくれる本書は、メンバーの「しなくちゃ……」が「したい!」に変わるような、やる気に満ちた組織・チームづくりのバイブルです。読むと勇気が湧いてくることでしょう。
『だから僕たちは、組織を変えていける』要約リンク(flier)
人的資本経営の時代にリーダーが磨いておきたい7つの力とは?
これからは、人的資本が企業価値の源泉となる時代です。マネジャーやリーダーには、メンバーの力を最大限発揮させることがますます求められています。『人的資本の活かしかた』では、そうした役割を果たす現場のリーダーを、TMO(チーム経営責任者:Team Management Officer)と呼びます。TMOに求められる7つの能力と、それを磨く方法は何なのでしょうか? 7つの能力のうちの1つ「キャリア支援力」を高めるアドバイスを簡単に紹介します。
キャリアを築く際のアプローチには、「山登り型」と「川下り型」があります。前者は先に目標を決めて、そこへ向かって一歩ずつ進んでいく方法のこと。一方、後者は、大きな方向感は持ちつつも、ゴールに固執せず、自分の価値観を軸に、目の前の仕事に一生懸命取り組んでいくやり方です。変化の激しい時代では、「山登り型」を追求していると、そのゴール自体がなくなるおそれもあります。そこで著者は、TMOにメンバーのキャリア支援でも「川下り型」を尊重することをすすめています。
こんなふうに、チームづくりだけでなく、リーダー自身のキャリア構築にも大事な視点を与えてくれる一冊です。人的資本経営の時代にマッチした育成の秘訣を学んでみませんか?
リーダーにできるのは、「成長する環境を整え、変化を促すこと」だけ
「リーダーというと、自信をもって人を引っ張っていける人が向いているのでは? 統率力のない私にチームをマネジメントできるのだろうか」
特にリーダーやマネジャーになりたての頃は、こんな悩みを抱えている方もいるかもしれません。ですが、リーダーシップの世界的名著である『サーバント・リーダー』を読むと、心が軽くなるのではないでしょうか。
本書が提案するのは、「サーバント・リーダー」という考え方。権力を行使して人を支配し動かすリーダーではなく、傾聴し、感謝や称賛を与えながら、周囲の人のニーズを満たし、人を導くリーダーのことです。歴史を振り返っても、インド独立の父・ガンジーのように、「奉仕と犠牲」によって影響力を高め、信頼を得てきたリーダーの例には事欠きません。私たちの職場に置き換えると、メンバーの意見にしっかり耳を傾ける、困ったことがあれば一緒に解決策を考えてメンバーが前進できるようサポートするといったことが挙げられます。
心に響いたのは、「人を変えることはできない」という内容です。できるのは、正しい環境を提供し、人が成長することを選択するよう、刺激を与えることだけ。リーダーがグイグイみんなを引っ張っていくのではなく、成長を促すような関わりを大事にすればいい。そんな応援のメッセージがこめられた名著は、リーダーの心の支えになってくれるのではないでしょうか。
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いかがでしたか? 心の拠り所になるような「ブックメンター」が見つかれば幸いです。
今後もフライヤー編集部は、リーダーの背中を押してくれるような本を紹介していきます。
株式会社フライヤー / Flier Inc.
本の要約サービス「flier(フライヤー)」は、ビジネス書の新刊や話題のベストセラー、名著の要約を1 冊10 分で読める形で提供し、良書との出合いを促進するサービスです。通勤時や休憩時間といったスキマ時間を有効活用し、効率良くビジネスのヒントやスキル、教養を身につけたいビジネスパーソンに利用されているほか、社員教育の一環として法人契約する企業も増えています。